仮
すべての欲は、憎まれるため私の中にある。
自らを否定しきってしまった人間であっても
自らを信頼しきってしまった人間であっても
同じ人の子よ。
違いなどはないというておるに
人間が人間らしく生きて何がおかしいというのだ。
ああ純粋な欲を憎もう、憎もう。
自信など何の役に立つ。
自身は儚き人の身よ
吐き気がするというておるに
感情を消して過ごした名もなき時よ
すべてがまやかしであったのか
捨てられ、ちぎられ、けがされ
この心に日なたなどあるものか
復讐心より醜き、欲の塊。
貴様は何故私の中に棲みついた?
この世界は病んでいる。
希望などまやかしまやかし・・・・
仮の話よ
皆、仮の生きざまを生きてゐる。
ゆえに己に期待する。
妄想の類よ
魑魅魍魎がばっこしていたところで
貴様らは同じように生きるよ
いかれた子供など、いかれる必要もないというに
吐き気だけが増す。
これくらいでやめておこう
これほどの苦痛が続くから
文豪たちは苦しかったのだろうか。
なら、仮の仮面もいいかもしれない。
私のこの疲労を
まやかしの笑顔で隠そう。
どんなでもみんな生きている
死にたくない。だから生きよう。
出来損ないどもに捧ぐ。