テレパシー
最初よりまともな文になってきた。
父と母は眠そうにしながら、と思いきや、目をこれでもかと言うほどぱっちり開けて、俺を見つめながら「ど、ど、どうしたんだい!」
と聞いてきた。
そりゃ聞くだろうね。こんなにパトカーがうるさいんだもん。
そういうことかー。これは俺が悪いことをして警察に捕まったと思ってるんだな。困ったな。でも面倒くさそうに応えてはダメだ。ここはかなり焦った感じで応えよう。そしたら両親の気を引けるからアルファに気づきにくくなるっしょ。もう気づいてたら手遅れだけど。
「ち、ち、ちがうんだ。これは別に俺が悪いことしたとかそういうのじゃなくて、昨日落ちた隕石について、警察に質問されていただけなんだ。」
「すごい慌てようだな、ゆうや。本当は痴漢でもやっ………
それを遮るように次の言葉を俺は言う。
「やってないない。だいたいそんなんだったらこんなにパトカーこーへんやろ。」というかこんな人のいないド田舎で誰に痴漢をするというのだ。満員になる電車すら通っていない自動車移動の村。痴漢とは無縁そうなこの村はそういう点では平和だとしみじみ思う。東京怖いわ。
「まあそれもそうかー。しかし、うちの土地に隕石が落ちたっちゅうのも気になるニュースではあるな。」
「私たちにも聞かせてよ、宇宙好きやろ?」
質問して来るが全然耳に入ってこない。アルファがどうなったか気が気でない。
質問して来る両親をよそに俺は玄関に靴を脱ぎ散らかして、廊下を早足で通過し、電気の消えたままのリビングへ。いない。すると頭にいきなりメッセージが飛び込んで来た。
"2階のゆうやの部屋にいるよ”
ビックリした。こんな感覚初めて。脳内に誰かが話しかけてくるって不思議な感じ。脳の中はいつも自分の考えたことしか出てこないのに、自分ではない誰かが話しかけてくるのは違和感しかない。なんと説明したらいいのか分からない。声でもなく、文字でもなく、感触でもなく、気配でもない。これが人間が持ったことのないテレパシーという感覚なのだろうか。
あいつはタダのAIじゃねぇ。と思った瞬間だった。
子どもの頃からの使い慣れた階段を1段飛ばしでダ、ダ、ダンと駆け上がっていく。
急ぐ俺の背後で廊下から父が叫んだ。
「どうしたんだ、お前ーーー」
ここからが作者としても面白いところや。