アルファはAIなんだと。それも他の星で作られた。
ついにアルファの正体が明らかになります
耳をつんざくような、不快なサイレンの音はやはり警察だった。それも大量の。
隣でアルファが潤んだ目をして
「おねがい。協力して。ゆうや。」
「何を?って言うかなんで俺の名前知ってんの?一応、遠い惑星から来たんだよね?」
正直かなりビビってしまった。が、しかし最後にちゃんとジョークを挟んでおく。すると直ぐに答えは返ってきた。
「あなたの名前が特定出来たのはあなたが握っている、その薄い電子機器の中の情報を読み取ったからです。それから、私は一応なんかではなく、本当に遠い惑星から来ましたよ。」
わざわざ最後の勝手な遊びにも真面目に答えてくれたことに少し感動したが、全くびっくりした。こいつに俺のスマホは乗っ取られたのか。まずいことになった。
「お前は俺のスマホハッキングしたのか?」
「それは、スマホと言うのですか。ほほーう。本当ですね。それの中のインターネットと言うやつで調べたら書いてありました。」
「お前はスマホ持っていないのか?」
「持っていないですよ。私の惑星にはそんなものなかったですから。」
「だから、なんでそんなに惑星から来た話を強調するんだよ。笑
まあそこはいいんだけど、どうやって俺のスマホの中の覗いてるんだよ。自分のスマホもないのにハッキングなんかできるのか?」
「簡単ですよ。私の頭の中にはこっちの世界で言うコンピュータなるものが使われていますから。直接ゆうやのスマホと通信すれば“ちょちょいのちょいのあらららあらまぁイージーすぎてビックリぽん”なのであります。」
「おいおい、今のはなんだ。故障か?それともギャグか?」
「それはゆうやがよく打っている言葉で驚くとか簡単とか言う言葉をかき集めてみただけです。」
俺は毎日どんな文章を投稿しているのだろうか。深く考えると後悔しそうだからやめとこう。
「今も俺のスマホの中探ってるのか?」
「もちろんですよ。何か悪いのですか?こっちの惑星のことについて調べるには、そのスマホと言うやつに接続すれば楽に情報が手に入りますね。」
そんなことされたら俺が見たエロ動画の履歴までバレちゃうじゃないか。一応、履歴はこまめに消してるはずだが、どこかに残っているかもと考えたら夜も眠れなくなりそうだ。やばい。そわそわしてきた。落ち着かない。こいつを止める方法はないのか……。
【テンテケテン、テンテケテン、テンテケテケテケテンテケテン】
「うわ!そうだった。警察がついに来た。やばいぞアルファ!お前は不法侵入で逮捕されるぞ。」
「なんですかそれは。私は他の惑星から来たのでこの星のルールで捕まったりはしません。」
ハッキリと言い切るアルファ。つづけて、アルファは言う。
「私はどうしても捕まってはいけないのです。うちの惑星から初めて送り出されたAIとして、ミッションを遂行しなければならないのです。向こうの星で初めて知的生命体が確認されたのがこの地球と言う美しき星だったのです。そこに住む人類というものに初めて干渉を果たした私はこのまま捕まって興味本意で解剖されたらダメなのです。私たちの星のみんながが宇宙を飛び出すことに全力を尽くすように、地球に住む人類も宇宙からやって来たAIをとことん調べようとするはずです。そんなことされたら私は何も役目を果たせずに向こうの星のみんなを悲しませてしまうのです。もしかしたら私の一生すら終わってしまうかも知れません。なのでどうか私に協力してください。お願いします。ゆうやは私が初めて出会えた人類。何十億もいる人類の中でゆうやと初めて会えたことにはなんか意味があると思うんだ。ここまで10万年間も掛けて私はここに着いたの。とてもとても長かった。そしてついにゆうやと話すことが出来たんだ。お願いだから警察にだけは出さないで、ゆうや。」
美しいという言葉だけでは到底表せないような美貌のアルファが泣きそうになっている。僕はアルファの真剣すぎる話に聞き入ってしまった。そして、それを信じてしまった。どうやらこれはあとからやばいことになりそうな予感だけど、ここは協力するしかない。泣きそうなアルファに僕は言った。
「お前を警察になんか渡さない。俺が人類の代表としてアルファを心から歓迎してあげるよ。」
「ようこそ、地球ヘ!」
いかがでしたか?これからのアルファとゆうやの会話に注目です!あと、テンテケテンは家のチャイムの音です。ちょちょいのちょいのあららあらまぁイージーすぎてビックリぽん