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正射必中
ゆうりは肩にかけていた細ながーい筒を開けると、弓と矢を取り出した。
そう、ゆうりは弓道部で1番の腕を持つ女子なのだ。その実力は折り紙付きで、全国大会にも出ている。
さらにそこで、ベスト8にまで上がったのだ。昨日の武道館でゆうりの中3の夏は終わったのだが、こんな形で実力を発揮する時が訪れた。
よーく相手の体を狙って………
ここまで部活で頑張ってきた弓道を使ってこんなことをしてもいいのだろうか。昨日までは的しか狙ったことが無かったのに。
しかし、友達の命がかかっている。
でも、相手の命もかかっている。
どうしたらいい?
刻一刻とあみは離れていき、もう少しで弓の射程から外れてしまう。
冷静に考えろ、間違ったことをやっているのは黒の男2人だ。
よし、
「ハッー」
「ヤーーーーーーーーっ」
甲高い声とともに弓は一直線に飛んでいき、あみを抱えている男の元へ。
グサッとささり、
「oh......、ウァーウァーわわわ。」
ドンあみがほおり投げられたに違いないという音がした。
「痛ーっ。」