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『習性』
……ガブッ
「いったあああああ!!!??」
ーー
「……いてて…寝起きのかぶりつきモーニングコールは流石にキツイな…」
忙しく働きながらも手の噛み跡をさする。甘噛みなんかもよくしているのだが、朝のこれはどうしてか本気で噛み付くため、完全に怪我になる。
「(猫にそんな習性あったかな……そこらへんはあんまり覚えてないや…)」
ーー
「ただいま〜……」
バイトを終え、疲れに疲れた僕を待っているのは、最近ではお馴染みとなった
「ニャン!」
この声。
「ただいま黒。いい子にしてたか?」
サラサラとした髪を撫で、部屋に入る。
「……ってあれ…部屋が…」
で、いざ部屋に入ってみると、そこら中に物が散乱していた。
……恐らく、いや、まず黒の仕業と見て間違いないだろう。
「……黒…」
僕が名を口にすると、ビクッと反応する。
「……はぁ…これからは自分で片付けてね?それならいくら散らかしてもいいから。」
が、僕はあまり怒らず、諭すような口調で言った。
「…ニ、ニャン!」