生きて生きて
生きて生きて生きぬいて
飽くことなくただ生きぬいて
生きぬいてから死ねたなら―――
「そんなもん。何がどうしたって無理に決まっているじゃないか。」
美味くもない飯をかき込みながら仲間の一人が言うと、その通りだと他の仲間たちも同意し始めた。
水をがぶがぶと飲み、青年たちは続ける。
「俺たちは君主の奉為に、この国を守るために、この命を捧げるのだからな。」
「そうだとも。我ら君主のお心のままに、この国を守るんだ。」
「この身を捧げられることに誇りを持て。」
「そうだ。そうだ。」
あちこちで賛同の声が上がり、薄暗い食堂は青年たちの一種活気に満ちた意気込みであふれた。
違和感を、感じはしないのだろうかと、長身の青年は思う。
集団催眠にかかったような仲間たちを少し離れた場所から眺める。
彼らは違和感を感じないのだろうか、と。
明日死ぬのだ。それも必ず。
そんな時に顔も見たことのない君主や、国といったいわば箱のために命を捨てれるのだろうか?
明日最後に、この命の最後に胸に思い描くはきっと、いとおしい、恋しい、家族のことだと、それが要だと長身の青年は思う。
僕らは明日、からなず死ぬ。
戦闘機が飛ぶ。まっすぐにかどうかはよくわからない。風の抵抗がすごい。それだけがわかった。
右横から速度を上げた仲間の戦闘機が見えた。
もうすぐ僕らは死ぬ。
「――― ぉ…ぁ……」
唇からこぼれた音に、恐怖が込み上げてきた。
おかあさん。
おとうさん。
「ぅぁ……ああああああああああああああっ」
昨日の仲間たちは正しかった。違和感を感じて輪に入らなかった自分が間違いだった。
だって、そうだ、大切な人を思い出しながら死ねるわけがない。
「わあああああああああああああああああああああああああっ」
生きて生きて生きぬいて
飽くことなくただ生きぬいて
生きぬいてから死ねたなら
ただ大切な人を胸に、死ねただろうか――。




