Ж蝙蝠不運バッドガール共通① 私は旅にでる
私は村に住む普通の女の子ミロフシア。
「どうした?」
「お兄ちゃん、なんだか背中の……天使なら羽がはえてるとこが痒い」
「肩甲骨な」
―――そう、それだ!
バリバリバリっと掻いてスッキリー……あれ?
バサッ!
「うわ!?」
今日は13歳の誕生日だったんだけど、朝からなんだか体の調子がおかしくて、ただの風邪だと思っていた。
そして、背中が痒くて、かきむしっていたら、背中から黒い羽が生えてきてしまっていた。
「パパママ背中から羽はえた!!」
私は取り乱し、リビングに駆け込む。すると、とんでもないことを両親に告げられた。
「あらもうそんな年になったのね……」
「パパ実は蝙蝠のモンスターなんだ。お前は蝙蝠と人間のハーフなんだよ」
父は大蝙蝠のモンスター。
つまり“蝙蝠と人間の間に生まれた半人”
それが私の正体だったのだ。
「どうすれば元に戻れるの!?」
「それは――――」
◆◆◆◆
背中に生えた翼を元に戻すには、真実の愛を手に入れる必要があるらしい。
「真実の愛ってなんなのよ!!」
「なにを騒いでいるんだ」
「バレル!」
騒ぎにならないようローブを肩から背にかけて、羽を隠しているけど、不自然に浮いてくるため、
咄嗟に背中を押さえた。
彼は武器職人のバレル。
家の近くで鍛冶屋を営んでいる。
私が小さいときに放浪者の彼が一人でこの村に移住して以来、家族ぐるみで親しくしている。
「ひさしぶり……」
相変わらず腕は筋肉質でいかにも職人らしい体型だ。
無意識に視線が、そちらに集中した。
「実は……ううん、なんでもない!」
いくら親しくても、背中から羽が生えたなど、言えるわけがない。
「そうか?何かあれば俺に言え」
「うん」
「俺の目が黒い内は、お前の事は守るからな」
「あ、ありがとう……」
◆◆◆◆
「いってきます真実の愛を探す旅に!!」
ここにいても元には戻れない。私は真実の愛を探す旅に出る決意をした。