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カレー

作者: 暴走ブロガー誠壱

暴走ブロガー誠壱ワールドへようこそw

生まれ変わったら…


1億円拾ったら…


殺人現場に出くわしたら…


そんな《もしも》話に時間を費やし笑い合う。

辟易とする。

現実の僕は貧窮ひんきゅうしていて

それは誰のせいでもなくて…

結局は自分が蒔いた種。

今まで何も築かずに日々を悶々と消化していった自分が悪い。


色々な人を見たりしているとたまに思う。

何がそんなに面白い?

何がそんなに可笑おかしいの?と。


職場にしたってそう。

家庭にしたって、遊びにしたって、恋愛にしたってテレビの奥の世界にしたって全てそう。


今の現状に満足していないもう一人の僕が常にいて、つきまとう。


受け入れられない。

全ての楽しそうな話を

嫌悪し、拒絶する。

何故ならそんなのあるわけない。という思考が最優先で頭の中を巡らせてしまうからだ。


百歩譲って良く言えば現実主義。

悪く言えば非情。


幽霊?

いるわけねーだろ?見た事あんのか?


信仰?

何をそんなに夢中になっているのか?

居もしない空想の世界のモノを。

ただ単にアレは拠り所を求めているだけだ。


夢やら希望という言葉は

何やら聞こえはいいが

とどのつまりは人間の欲に他ならない。



実際に目にしたモノ以外、僕は信じない。



僕はいつだって現実主義…



だったはずなのに…



何だ?何なんだコレは?


3月9日

今朝はカレーを食べた。

仕事の休憩で昼食にもカレーを食べた。

なのに食卓にはまたカレーが並べられている。


「またカレーなのか?」


「そうよ。私と子供達は食べたからあなた食べて。」


「今朝も食べたじゃないか。昼も会社でカレーだったんだぞ。」


「あらそうだったの?でもカレーのルーが余ってるのよ。ゴメンなさい。我慢して食べて。」


「………」


仕方なくカレーを食べた。



まぁ、こういう日もあるさ。



僕はその後小一時間ほどテレビを見て眠りについた。







翌朝

「あなた。起きて。」


「ん…んあぁ、あ?朝か…」


妻に起こされ眠い目を擦り食卓に向かう。


そこで僕は驚愕の景色を目の当たりにする。



何と食卓にはカレーが並べられている。


「え?またカレー!?」


「何言ってるの?カレーは昨日の夜作ったばっかりよ?あなた夜中にこっそり起きてカレー食べたの?」


「違う!昨日の夜も食べたじゃないか!」


「昨日はうどんだったでしょ?もう忘れたの?おかしなパパね。ね?花ちゃん。」


「ター!バブぅ!」


「おいおい。おかしいのはお前だろ?うどんじゃない!カレーだったぞ!」


「もう!朝からやめましょ!こんな些細な事で喧嘩したくないわ。」


「僕は食べないぞ。違うものを…」


「おい。冷蔵庫の中空っぽじゃないか!」


「昨日買い物行けなかったのよ。」


「………」


「どうするの?食べないで仕事行く?」


「………」


「…食べるよ。」



この頃から異変を感じ始めていた。


仕事中も異変だらけだった。



「やっと昼食の時間だー。」


「ランチ食べに行きませんか?」


「あぁ、もうそんな時間か。そうだな。腹も減ってきた。行こうか。」


「今日は課長が奢ってくれるみたいですよ。最近課長がカレーにハマってて美味しいカレー屋見つけたみたいで連れてってくれるそうです。」


「えっ!カレー!?」


「どうしました?そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔して。」


課長の誘いじゃ断れない…か。


「ちょっと待て!昨日も課長とカレー食べに行ったのに今日もカレーなのか!?」


「昨日?昨日は行ってないですよ。昨日は各自弁当食べてたじゃないですか。」


ん…?どうも話が噛み合わないな。


ふと会社の暦を見て唖然とした。


「3月9日?おい!今日は3月10日だよな!」


「えっとー…あれ?何日だっけ?あ!今日は3月9日ですね。」




目の前が真っ白になった。



そんなバカな。あり得ない!


仕事が終わり家に帰ると

食卓にはカレーが並んでいた。


「お帰りなさい。」


「………」


「どうしたの?wそんなホラー映画の主人公みたいな顔してwwwおかしなパパね。」


「か…カレー…」


「そうよ。私と子供達は食べたからあなた食べて。」


「…すまないが、もう寝る。どうやら疲れてるみたいだ。」


「ご飯食べないの?」


「…あぁ。」


翌朝


「あなた。起きて。」


「ん…んあぁ、あ?朝か…」


「!!」


「きゃ!どうしたの!?いきなり飛び起きて!?」


「やっぱりか…やっぱりカレーだ!」


「やっぱり?あなたカレー嫌いだったかしら?折角昨日の夜から作ったのに。」


「昨日はうどん食べたんだよな!?」


「?そうだけど??どうしたの?」


「今日は3月9日か!?」


「そうよ。3月9日よ。」


妻の返事をよそに冷蔵庫の中をガバッと開ける



ー空っぽだ。




これでハッキリした。

僕は3月9日をループしているんだ。

繰り返される3月9日。

あり得ない事だがそう考えるしかない!





「やっと昼食の時間だー!」


「ランチ食べに行きませんか?」


「課長が奢ってくれるんだろ?」


「そうです。何だ、もうお耳に届いてらしたんですね。流石ですw」


「僕は行かないぞ。」


「え?何でですか?課長の誘いは行った方がいいですよ!」


「…ちょっと腹の調子が悪くてな…」


「分かりました。じゃあ、課長に伝えておきますね。薬持ってきます。」


「あぁ、すまない。」




仕事が終わりカレーを拒み続けた僕は空腹に耐えられず夕食を外でとる事にした。



居酒屋か…


ここにしよう。


「いらっしゃいませ!」


「1人です。」


「すみません!お席が空いてないので待ちになっちゃうんですよぉ。」


「そうですか。また…」



居酒屋を諦め隣のビルにあるファミレスに入る事にした。


「1人ですけど入れます?」


「はい!すぐに御案内致します。おタバコはお吸いになられますか?」


「いえ、禁煙で。」


「かしこまりました。」


「お客様…実はメニューが殆ど売り切れてしまい商品が限られてしまうんですよね。」


「何が残ってます?」


「こちらメニューです。カレーライスとカレーうどんしか残ってないんですよ。」


この際うどんでいいか。


「じゃあ、カレーうどんをカレー抜きの普通のうどんにして欲しいんですけど。」


「かしこまりました!只今お持ち致します!」







「お待たせ致しました。」


「え?カレー抜きで頼んだんですけど…」


「大変申し訳ございません!すぐにお取り換え致します!」


「お願いします。」





「お客様…本当に申し訳ありません。うどんがそれで最後だったみたいで…」



イラッとしたがこんな事で怒るのも大人気ない。


「じゃあいいですよ。カレーうどん食べます。」


「ありがとうございます。お代は勿論無料とさせて頂きます。大変申し訳ございませんでした。」





カレーうどんを食べ終わった僕は家に帰る途中で自動販売機に立ち寄る。


コーヒーでも飲むか。



ピッ



ガタン



えっ!?



何だコレは!



カレーおでん缶!



壊れてるのか、単に入れ間違えたのか

僕は確かにコーヒーを押したはずだ。



しぶしぶカレーおでん缶を持ち家路へと向かった。



「お帰りなさい。」


「もうカレーはいらない!」


「あら、どうしてカレーだって分かったの?」


「いいから他のもの作ってくれ!」


「買い物行ってないから食材がないのよ。」


「インスタントラーメンもないのか?」


「あぁ、カップラーメンならあるわよ。」


「それでいい!それにしてくれ。」


「はい。」


「カレー味のカップヌードル…またカレー…」



「パパぁ、これあげゆ。」


「花ちゃん?くれるのかい?」


「カレーピャンミャン。」




カレー


カレー


カレー


カレー



カレー




カレー


カレー


カレー


カレー



助けて。


カレーはもう嫌だ。


カレーはもう嫌だ。














「っていう夢を見たから僕は助かったんだw」


「カレー毒物混入事件で唯一生き残れたのは夢が原因だったんですか。」


「まさか夢に助けられるなんてね。」


「カレー嫌いな人ってあんまりいないからね。夢を見てなかったら普通に食べて死んでいたかも。」



伝えたい事なんてない。

伝えたいと思う気持ちは伝わらなかった時に毒となる。

でも本当は伝えたい。それは僕や貴方が人間だから。

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