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朱音と綺音
最後に死ぬ時は醜く死んでいくんだと思っていた。
積み重なった死体の上で無様に腐っていく。
だけど違った。
最愛の妹に見守られながら、最愛の人の腕の中で死んだ。
痛みは壮絶だった。
それでもなお笑って死んでいけた。
なら満足の筈だった。
サンタクロースは言った。
後悔はないのかと。
無い。と言い切る自信はあった。
満たされて死んでいった。
散々、人の都合など知らずに殺して来たのに。
だからだろうか、欲が出た。
欲が満たされれば、次の欲が出る。
それは叶えられないと思っていた。
だからそれは叶わないと思っていた。
だが、だからこそ、
願ってしまった。
それは真逆の願いだが、矛盾はしていない。
最愛の彼の腕の中で死ねたのだ、
その次の欲望はただ、彼の側でもっと生きたかった。
そうして、
醜い魂は、運命の娘の中へと宿った。
その手から
{(解説)
暴走する朱音はこれ以上真斗と居られない。
真斗を守るために知られずに死ぬはずだった。
最初の願いが叶わないから、後の願いが叶ったか
ら望んでしまった。}




