真斗と夏七子と 2
「誰が妹だぁ?」
「お前、正気か?」
「あんたこそふざけた事言ってんなよ。」
「…お前が居なかったからだろ…
お前が逃げたせいでこの町は!!」
また殴られた。
勝てないと悟った。
それでも退けない。
「知るかよ…
あんたに何が分かる!?」
「お前こそいい加減分かれよ!
朱音は死んだ!
妹の楓の手で、だから、お前が逃げたんだろ…?」
「っ…」
違う。
こいつに何が分かる。
「うるさい…、だったらどうしたんだよ!!?」
「だから、こうなったんだろ!」
「ふざけんな、ふざけんな!!」
「真斗、いい加減に、」
道永先輩が振りかぶって止めた。
俺の目の前には夏七子が居た。
「ごめんな、さい、、」
「どきな!そいつは!」
「お願い、します、私でよかったら、」
俺から夏七子の表情は見えないが、
それは先輩が拳を降ろすほどに。
「あんたは、こんな子を殴ったんだ!
その意味、考えろよ」
「…」
道永先輩が離れて行くのを尻目に、
夏七子の首を掴んだ。
「どこにやった」
「ごめんなさい。」
夏七子は縋るような涙を浮かべ、
どこか笑っているように見えた。
それが不気味で、手を離した。
誰かに言われた言葉、誰かの言葉のせいで、
もうそんな事はどうでもいいと思えてくる。
だって彼女は既に死んでいるのだから。
やる事もやる気もなくなったので家に帰った。
「よぉ」
誰かが話しかけてくる。
「…」
どことなく気に食わない、
興味も無いので、無視をした。
「おい、待てよ。それが俺に対しての態度かよ?」
肩を強く掴まれる。
「あんた誰だ?」
仕方なく聞いた。
「てめぇ、」
「真斗、健太郎さんよ。
あなたのお父さんになる人。」
「は?」
「ちゃんと挨拶しなさい。」
母からいつもと違う気迫を感じた。
「なんで?はぁ!?」
こんなやつが!?
「真斗!!」
「っ!?」
母に打たれるのはコレが初めてではない。
が、こんな事では初めてだった。
「ごめんなさいね、健太郎さん。」
「しょうがねぇなぁ。
まあ今のは俺もスカッとしたから今回だけだからな。
ちゃんと躾けとけよ!」
そう言って男は部屋に行った。
そこは父の部屋だった。
「待てよテメェ!」
「ちっ!!」
また、打たれた。
「あなた、1回言って分からないの!?
言葉遣いに気をつけなさい!
あなたのお父さんなのよ!??」
「っち」
「真斗っ!!」
今度は母が打つよりも速く、
俺が母を殴った。
「うるせぇ…」
失望と憎悪、考えるより先に手が出た。
最早ソレは母ではなく、酷く醜悪な何かに見えた。
今すぐにでも手を洗いたくなるほど。
それよりも、今は健太郎だ。
父の部屋が心配だった。
醜く喚くソレを余所に向かった先は知らない部屋だった。
そこには何もなく、ただ書類や薬物、配線コードがごった返していた。
俺の知っている面影は何一つなかった。
「何勝手に入ってきてんだお前!」
「ふ…ざけるな…」
「邪魔だ!ゴミが!」
「ふざけんじゃねぇ!!」
油断している健太郎の胸ぐらを掴み上げる。
「ここはテメェが居ていい場所じゃねぇ!!」
「ぐぁ…っお前!離しやがれ!!」
言われた通り健太郎を床に投げた。
「でぇっ!このやろ!」
「…!!」
殴ろうと拳を上げると、
「…」
服を引っ張られた。
「お前…」
「よし!夏七子、そいつを殺せ!」
「…」
構う事なく健太郎を殴りつけようとすると、
凄く強い力で引っ張れた。
「邪魔すんな」
「…」
俺の前に立ち塞がる妹。
今更家族ごっこなんざ虫酸が走る。
夏七子を殴り飛ばそうとした時、腹に強く痛みを感じた。
その重い痛みに立っている事すら出来ない。
「いいぞ!殺れ!」
「…ごめんなさい…、」
どうやらこの痛みは夏七子の所為らしい。
どこまでもこいつは俺の…!!
一部矛盾があったりするかもしれないですけど、そのうち解消される予定です。




