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空の空  作者: lycoris
空の空の下
80/115

真斗と夏七子と 2

「誰が妹だぁ?」

「お前、正気か?」

「あんたこそふざけた事言ってんなよ。」

「…お前が居なかったからだろ…

お前が逃げたせいでこの町は!!」

また殴られた。

勝てないと悟った。

それでも退けない。

「知るかよ…

あんたに何が分かる!?」

「お前こそいい加減分かれよ!

朱音は死んだ!

妹の楓の手で、だから、お前が逃げたんだろ…?」

「っ…」

違う。

こいつに何が分かる。

「うるさい…、だったらどうしたんだよ!!?」

「だから、こうなったんだろ!」

「ふざけんな、ふざけんな!!」

「真斗、いい加減に、」

道永先輩が振りかぶって止めた。

俺の目の前には夏七子が居た。

「ごめんな、さい、、」

「どきな!そいつは!」

「お願い、します、私でよかったら、」

俺から夏七子の表情は見えないが、

それは先輩が拳を降ろすほどに。

「あんたは、こんな子を殴ったんだ!

その意味、考えろよ」

「…」


道永先輩が離れて行くのを尻目に、

夏七子の首を掴んだ。

「どこにやった」

「ごめんなさい。」

夏七子(かのじょ)は縋るような涙を浮かべ、

どこか笑っているように見えた。

それが不気味で、手を離した。


誰かに言われた言葉、誰かの言葉のせいで、

もうそんな事はどうでもいいと思えてくる。

だって彼女は既に死んでいるのだから。


やる事もやる気もなくなったので家に帰った。

「よぉ」

誰かが話しかけてくる。

「…」

どことなく気に食わない、

興味も無いので、無視をした。

「おい、待てよ。それが()に対しての態度かよ?」

肩を強く掴まれる。

「あんた誰だ?」

仕方なく聞いた。

「てめぇ、」

「真斗、健太郎さんよ。

あなたのお父さんになる人。」

「は?」

「ちゃんと挨拶しなさい。」

母からいつもと違う気迫を感じた。

「なんで?はぁ!?」

こんなやつが!?

「真斗!!」

「っ!?」

母に打たれるのはコレが初めてではない。

が、こんな事では初めてだった。

「ごめんなさいね、健太郎さん。」

「しょうがねぇなぁ。

まあ今のは俺もスカッとしたから今回だけだからな。

ちゃんと躾けとけよ!」

そう言って男は部屋に行った。

そこは父の部屋だった。

「待てよテメェ!」

「ちっ!!」

また、打たれた。

「あなた、1回言って分からないの!?

言葉遣いに気をつけなさい!

あなたのお父さんなのよ!??」

「っち」

「真斗っ!!」

今度は母が打つよりも速く、

俺が母を殴った。

「うるせぇ…」

失望と憎悪、考えるより先に手が出た。

最早ソレは母ではなく、酷く醜悪な何かに見えた。

今すぐにでも手を洗いたくなるほど。


それよりも、今は健太郎(あいつ)だ。

父の部屋が心配だった。

醜く喚くソレを余所に向かった先は()()()()()()だった。

そこには何もなく、ただ書類や薬物、配線コードがごった返していた。

俺の知っている面影は何一つなかった。

「何勝手に入ってきてんだお前!」

「ふ…ざけるな…」

「邪魔だ!ゴミが!」

「ふざけんじゃねぇ!!」

油断している健太郎の胸ぐらを掴み上げる。

「ここはテメェが居ていい場所じゃねぇ!!」

「ぐぁ…っお前!離しやがれ!!」

言われた通り健太郎を床に投げた。

「でぇっ!このやろ!」

「…!!」

殴ろうと拳を上げると、

「…」

服を引っ張られた。

「お前…」

「よし!夏七子、そいつを殺せ!」

「…」

構う事なく健太郎を殴りつけようとすると、

凄く強い力で引っ張れた。

「邪魔すんな」

「…」

俺の前に立ち塞がる妹。

今更家族ごっこなんざ虫酸が走る。

夏七子を殴り飛ばそうとした時、腹に強く痛みを感じた。

その重い痛みに立っている事すら出来ない。

「いいぞ!()れ!」

「…ごめんなさい…、」

どうやらこの痛みは夏七子(こいつ)の所為らしい。

どこまでもこいつは俺の…!!





















一部矛盾があったりするかもしれないですけど、そのうち解消される予定です。

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