who is her
急に目が覚めた。
私は絶叫している。
とめどない感情に押し流される。
それに逆らうにはまだ幼い。
自我を保ったまま体が勝手に動く。
その原理は、奥にいる男を殺したい。
だが、手前に女は殺したくない。
でも、それでも、男を殺したい。
その矛盾に答えを示した。
殺せばいい。
全員どうでもいい、私にとって。
だから…
私は女を背後から殺した。
どうでもいいはずなのに、感情が湧き上がる。
私のじゃない。
殺した彼女を食べる。
私が食べたいんじゃない。
そして、その男を殺すはずなのに止まった。
女を姉と呼ぶ。
私に姉は居ないのに。
ただただ悲しくて、悔しくて、寂しくて、
私が泣いてる。
そして誰かが言った。
「なんで私だけ?」
なんで?
全部全部私なのに、誰かは問う。
だから私は誰かに聞いた。
「どうして私?」
「え?」
「どうして私だけなの?」
「え?」
「あなたに分かる?
私だけが生き残って、私だけがこうして、ここに居て、
あなたは私にだけ聴く。
なんで私なの?」
「…分からないよ…ごめんなさい…」
「分からないのに謝るの?なんで?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「なんで謝るの?私はただ
聞いてるだけ
なんで?」
「ごめんなさい」「なんで?」「ごめんなさい」「なんで」「なんで?ごめんなさい?」「なんで」「ごめんなさい?」「なんで」「ごめんなさい?」「「なんで?」?」
私は誰かに聞いた。
誰かは私に問いた。
私だけは私にだけ聴いた。
「なんで??」
私は気が動転して女を殺した。
誰かは次に男を殺そうとした。
だけど私はお姉ちゃんが死んだ事に酷くショックを受けている。
誰かは分からなかった。
身体が動かない事を。
私は動けないでいた。
全てが終わり、この世の終わり。
私の世界の全てが殺されてしまった。
殺したのは私だ。
私は誰かになった。
そして、誰かは私になった。
ただ、それだけの出来事。
私達は動けないでいた。
未だ暑いのよ