表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の空  作者: lycoris
空の空
57/113

委員長と友美

「待って、委員長。」

「何かな?青山さん。」

「あの…今日どうして学校サボったの?」

今さら行く理由が無いの。


「…別に今日だけじゃないよ。」

「じゃあ、、なんでここ最近サボってるの?」

もう時間が無いから。


「…さあね。それを聞いてどうするの?」

「それは…。」

「…。」

…私のために何かしてくれるのかな。


「あのね、綺音ちゃんが探してたよ。」

「そうなんだ。いつ?」

知ってる。


「さっきだよ。学校に委員長を探しに来てたよ。」

「すれ違いか。」

「うん。」

「分かった。じゃあね。」

「…じゃあね。」



私にはもう時間が無い。

自制を保つ薬も効かなくなって来た。

もうすぐ楓が完全に目を覚ます。

だから、せめて綺音ちゃんにあげよう。

まだ朱音の出る幕じゃない。



私は、今、何処にいるんだろう?

私は寝ていたはずなのに。

いや、寝ていたのは『私』だった。

体は起きていたのだ。

楓が亡き姉を探して徘徊していたんだろう。

自分で殺したっていうのに。

自分で自分の姉を殺して、それを真斗さんと私に押し付けて自分は引きこもる。

本当にわがまま。

私はこんなにも、こんなにも我慢しているというのに。

_お腹が空いた。


気が付けば、また、森に来ていた。

何かの匂いにつられて。

だが、つられたのは楓であって私じゃない。

ならここに来る意味も居る意味もない。

お腹が空いたから帰ろうとしたら呼び止められた。

「委員長!」

息を荒げ私の役職名を呼ぶ。

「何?」

振り返らなくても誰かは分かる。

「はぁ、はぁ、こんな所で、何してるっ、の?」

「見ての通り、何もしてないよ。」

「じゃあ、何で、こんな所に居るの?」

ようやく息が整ったようだ。

「さあね、『私』は知らないよ。」

「ねぇ、何か最近おかしいよ?」

「…そう?」

「何だか、昔の委員長に戻ったみたい…

「今も変わらないよ。」

「違うよ。綺音と会ってからは全然違った。」

「…。」

「だってこんな小さな町だよ。小学校の頃からずっと一緒だったじゃん。」

「でも、貴方とちゃんと話をしたのは高校に入ってからだよ。

「そう。綺音ちゃんに近づく様に親から言われたから。委員長もそうでしょ?」

「私に親は居ないよ。」

「え?あっ、じゃあ、なんで綺音ちゃんに近づいたの?」

「役職上しょうがないでしょ?」

「…嘘だよ。最初はそうだったかもしれない。でも今は違うでしょ?」

「どうしてそれが貴方に分かるの?」

「私が、そうだから。だからきっと委員長だって!」

「違うよ。」

呆れた。

「まさかこんなセリフを自分が言う日が来るなんて。」

青山さんに。

「貴方に私の何が分かるの?」

自分に。

_寒いなぁ


「じゃあ!委員長にだって私の何が分かるの!?」

「!」

「お互い何もしらないじゃん!だから、教えてよ!」

珍しく感情的に大声を出す青山さん。

「委員長は何がしたいの!?私に何か出来ることはないの!?」

「ないよ、何も。」

「ないはずないよ!私に「何も無いの!!」」

「私には!何も無いから!

だから、貴方に教える事は無いし!貴方が出来る事も無い!

だから、ほっといてよ!!」

何かが決壊した。

「綺音ちゃんに近づいたのもたまたまだし!

貴方と話す様になったのも偶然!

私には何も分からない!

自分でも自分が何者か分からないの!

私は!!」

後に続く言葉もう思い浮かばない。

だって私は何も分からないから?

ただ拳を握った。


「…大丈夫だよ。分かるよ。」

青山さんが近づいて来る。

「私にだって少しは分かるよ。

だから、委員長にだって分かる。」

私の拳をそっと解いた。

「冷たいね。」

そのまま手を握る。

「分かるよ、寒いんでしょ?」

そのまま私に身を寄せる。

  お腹空いてるんでしょ?

              」


「私もね、お腹が空くと寒くなるんだ。

それが当たり前だと思ってた。

でも違うんだって、

私達以外は。」

知ってるよ。

「だからね、分かってるよ。

私と委員長が何者か。

だから、委員長にも分かってほしい。

私と委員長の関係を。」

「私も貴方も化け物。

人を食べずには生きていけない。

初めて知った時は暫くご飯が食べれなかったよ。

でも、やっぱりお腹は空くんだ。

寒くなるんだ。」

違う!私はお腹が空いてなんて!

「もう自分に嘘をつくのはやめて!

こんなにも震えて、

こんなにも涙を流して、

それでも私が近くに行けば涎が出る。」

!?

「だから、私に出来る事は今。

委員長に食べられる事。」

嫌だ!それだけは!

「貴方が何者でも、何も分からなくても、

私は貴方の友達。

友達が辛い思いをするのは嫌なんだ。」

でも!

「それが私のワガママ。

私に出来る事。」

お願い

「ううん、こっちだってお願い。

もう一人で悲しまないで。

私が貴方の中で一緒にいるから!」

私は

「だからね、楓ちゃん。」






















そんな訳で青山さん退場です。

ここまで役割が大きくなるとは思ってなかったです、最初は。

モブの中でも目立つ奴くらいの立ち位置の予定だったのですが、

綺音ちゃんか委員長のどちらかの餌にすると決めた頃から株価が急上昇でしたね。

結局書いてく内に自分の予想を100倍超えた位置での退場でした。


最初の方で出番が少し少な過ぎたので最後は扱い切れなかったとも思いますが、こんな子をかけて良かったと思います。


それでは

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ