朱い口づけ
ふっと目が覚めた。
体に僅かな違和感を覚えながら起き上がる。
周りはいつもと同じ風景。
次に考える事は、今は朝か昼か。
ひとまず顔を洗いに行くとリビングから匂いがする。いつも嗅いでいる匂いのはずが懐かしい感じがした。
とても懐かしい。
顔を洗ってからリビングに向かった。
未だ自分は眠っていてこれは夢なのかもしれない。
目の前に朱音が居る。
「おはよう、真斗。」
そう言って振り返る朱音は昔と変わって少し成長していた。
誰かと似ていた。
後少しの所で思い出せない誰か。
そんな事よりも今は目の前に見る朱音の方が大事だ。
恋い焦がれ待ち望んでいたこの瞬間。
気づけば体が勝手に朱音を抱き寄せていた。
「どうしたの、真斗。」
「…なんでもないよ…」
「何にもなかったら泣いたりなんかしないよ。」
「ああ…そうだな…」
「ふふ、でも、分かるよ。私も今、同じ気持ちだから。」
「ああ…」
朱音が作りかけだった朝食を一緒に仕上げて、久しぶりに一緒の食事をした。
いつもと違う味、そんな事でまた泣いた。
こうして朱音と一緒に過ごしていると、自分が少し若返っている気さえする。
とても懐かしい時間。
もう2度と手にするはずのなかった瞬間。
それが叶ってか、ほんの些細な朱音の行動に泣いてばかりだ。
なんでこんなに泣くのか自分でも分からないほど。
なんで、なんでこんなにも『誰か』がチラつくんだ。
『誰か』って誰なんだよ
「そういえば、もうすぐ冬花火だね。」
「そうだな。」
朱音に手を引かれ、懐かしい道を行く。
「…約束覚えてる?」
「…ああ。」
朱音の家の前に着く。
「私ね、ここで死んだんだよ。」
「…。」
「楓に食べられちゃった。」
「…!」
「私はそれでもいいと思ってた。
でもね、その後で全部私の独りよがりだって気付いたの。」
「…。」
「ごめんね、真斗。これからはずっと私が傍にいるよ。」
「あ、かね」
今度は朱音の方から抱き着く。
「今までごめんね、ありがとうね。私も、ずっとずっと、真斗を思ってたから。
こうして、こんな事をしてまで、私はあなたにもう一度会いたかった。」
「っ…」
「ねぇ、真斗。
私は今でもあなたを愛してる。
だから、一緒に来て。
もうあなたの傍から離れない。
私の傍から離れないで。」
「あっ…!
っ…。
…!!」
ただただ強く朱音を抱き返した。
そして分かってしまった。
「どうして、どうしてもダメなの?
こんなにも近くにいて、傍にいちゃダメなの?」
「ごめん、な…」
「なんで、な、んで、私じゃ、ダメ、なの?
ずっと…ずっと、ずっとずっと。ずっと!
こなんにも、
それじゃあ!私は!!
どうして!!?
こんなにも!あんなにも!
私は!!」
「朱音!俺はお前を愛してる!!」
「!」
「この想いに嘘は無い。
でも、俺にはまだ愛する者達がいる。
ここに、この場所に。
お前が居てくれたから、愛せたんだ。」
「…っ」
「ありがとう…
ごめん…」
「そ、んな、事…言われ、たら…」
「俺にはまだ、やらなきゃいけない事がある。
守りたいモノがある。」
「だからまだ、そっちにはいけない」
「…」
「ズルくてごめん。醜くてごめん。
それでも俺は、まだ生きなきゃいけない。」
そっと、唇が重なった。
「そんな真斗だから、私は好きになった。
だから、待ってるよ。
あなたの傍に立てる日を、あなたの傍で。」
「朱音…」
「さようなら、
またね。」
離れていく朱音の手を引きとめる。
最後に、言い忘れた事があったから。
「真斗?」
「綺麗に、なったな。」
「うん。」
あけましておめでとうございます。
また遅れに遅れてしまいました。
今回はかなり捻出したと思います。
が、誤字や脱字があったらすみせません。
それと今回から傍線の出し方を学習したので次回からも多用していこうかと思います。
今回はあえて描写しなかったシーンが多いです仕様ですので脳内補完をぜひお願いします。
今年もよろしくお願いします。




