痛み
朝が来た。
いつもより遅い目覚め。
そういえば、昨日は、
昨日は?
起き上がろうとすると体に痛みが走った。
「ぐっ!」
痛みを押さえつけて起き上がる。
たったそれだけの事で汗をかいた。
歩き出すと頭がフラフラした。
昨日、何があった?
リビングに行くと、いつも通りの光景は無く、何かが暴れた後の様に荒れていた。
夏七子は無事か!?
家中を探してもいない。
どこだどこだどこだ!!
家の中や近隣を走り回り、息が切れかかってからようやく気が付いた。
そうか、この時間なら学校に行っているのか…
「はぁ…」
少し取り乱し過ぎてしまった。
この分なら、綺音も学校だろう。
家に帰ると普段見ない、見たくもない靴があった。
「あんた、まだ居るのかよ。」
「あ?相変わらず生意気だな。
ま、用事も済んだしお望み通りもうすぐ消えるよ。」
「何のために帰って来たんだ?」
「ふっ、"お前"には関係ない。」
「なんだと?」
「ははは」
その嘲笑で構うだけ無駄だと判断した。
「さっさと出てけよ。ここはお前の家じゃねぇんだ。」
「なんだ、その口のいい聞き方は?何も出来ない奴が偉そうだな。」
「自分の力じゃ何も出来ないのはあんたも同じだろ。」
「それが生意気だっていうんだよ!」
俺の前に立ちはだかる。
「邪魔だ、消えろよ。」
「くっくっく、おら、跪けよ。」
何か小さなスピーカーの様なものを取り出し、そこから音が流れる。
その音が頭に鳴り響く。
「!?」
頭痛に襲われ、その音は尚も鳴り続け、立っているのも辛くなる。
俺の姿を見て表情を醜く歪ませる。
「なぁ、おい、お前まだ自分が上だと錯覚してんのかよ?
お前は最初っから俺のオモチャ、以下なんだよ!」
蹴られるのが分かってても防げない。
「がっ!」
立ち上がろうにも、頭に響く音が邪魔をする。
「たかだか所詮、あの女のオマケのくせに偉そうによ!誰に向かって口聞いてると思ってんだ!」
いくら体を殴られ蹴られようとも、頭の痛みのせいで何も考えられなくなる。
「どいつもこいつも俺の足を引っ張ってばっかりで!
あの女だって結局俺に何も残さず勝手に死にやがってよ!
保険の名義も勝手に変えたあったし、ならせめて実験材料になって惨めに死んでいけよ!」
こいつ!
「うあ゛あああ゛ああ!!」
頭が割れてもいい、こいつだけは殺す!
足を掴んで全力で引きずる。
「ぐぁっ!?」
背中から落ちたがスピーカーだけは離さず握りしめている。
「この野郎っ!」
悶えながらもスピーカーの音量を上げる。
「!?
うああああああああ!!」
無意味だと理解ってても耳をふさぐ。
やはり痛みは治らず、もがき叫びを上げてもなお。
「それが聞きたかったんだよ。
たまらないね、俺にはただお前がひたすら絶叫している声しか聞こえない。
いやぁ、いつ聴いても良いな。」
頭を踏まれる。
「おら、もっと啼けよ。」
何度も何度も何度も頭を踏まれ蹴られる。
それでも、こんな程度じゃ死なない体。
延々と続く痛みに思考が追いつかなくなる。
ただただ耐えるだけ。
涙を流し鼻水を垂らし涎を溢しながら。
誰の助けもなく、誰を助けるでもなく、
いつからいつまでいつからか
ただただ苦しい
助けて助けて助けてたすけてたすけてたすけて
誰か




