少女達の雨
化け物。
自分がそうなんだと、自覚した。
いつも私に優しかった志水先輩。
何故、真斗ではなく志水先輩に相談しようとしたのか。
自分でも分からない。
でも、真斗じゃなくて良かったと思う自分も居て、
真斗だったら良かったのにと思う自分が居る。
自分が分からない。
その答えを求めて、私は志水先輩を殺した。
衝動に駆られた。
抑えきれないほどの欲望。
そこには食欲以外も混ざっていたことは覚えているのに、それが何かは覚えていない。
自分の中に化け物が居るのか、自分が化け物なのか。
そんな些細な事よりも、次はどうするか。
答えは決まってる。
真斗に答えを求める。
でもそれでは同じ事。
でも、。
そんな事を繰り返し繰り返し考えて居ると、1日が終わろうとしていた。
楓が言うには、何を話しても無反応で、ずっと動かないでどこか遠くを見てたらしい。
明日も続くようなら救急車を呼ぶところだったそうだ。
気がつくとお腹が空いた。
ベッドから起き上がろうとして転んだ。
あれ
「お姉ちゃん大丈夫!?」
「え?うん。平、気。」
「ほんとに?起きれる?」
仰向けに倒れている私に手を差し出した。
「うん。」
腕が上がらない。
「え?」
「え?」
一瞬、2人して何が起こったか分からなかった。
「お姉ちゃん本当に大丈夫?」
楓がしゃがみ込んで私の手を取る。
「あたたかぃ。」
楓の手を握り返す力もない。
「お姉ちゃん?お姉ちゃん!?」
瞼が重い。
握ってくる手があたたかい。
「大丈夫、だから…」
弱々しく放った見栄は楓には通じなかった。
「嘘だよお姉ちゃん!今お母さん呼んでくるから!」
手を離そうとする楓の手を握る。
「お願いだから離さないで…
ね、大丈夫だから…」
「おねぇ、ちゃん…」
泣き出す楓。
小学生になっても泣き虫なんだから。
「大丈夫だから…」
やっと上がった手で
楓の涙を拭う。
そして思い出した。
「 、ごめんね。」
泣き続ける委員長の目元に沿って涙を拭いてあげる。
「あぁあぁあぁあぁあぁああああ」
ただ声をあげ泣き続ける委員長。
私には分からない事だらけだった。
けど、この涙を拭った感触を覚えていた。
それだけで、私の頭には知らない記憶が溢れた。
小さく、幼い、委員長の面影のある楓と言う名の少女。
私が殺した、尊敬する先輩が泣いた顔。
そして、真斗が私を抱きかかえて泣きじゃくる姿。
全部全部泣いていた。
私の前で泣いていた。
その時私は泣いていた?
その時泣いていたのは私?
私は化け物なのだろうか?




