積乱雲
「てめぇ、離しやがれ!」
「それしか言えないのか!」
上半身を勢いよく起こし、全力で顔を殴り返した。
男は思ったより勢いよく吹っ飛んだ。
追撃しようとした私を真斗が制止した。
「止めてくれ、あいつに殴る価値なんてない。」
「なんで!?」
「落ち着け、あいつとは関わるな。」
真斗は落ちた包丁を軽く洗って、刃こぼれが無いか見てからしまった。
そこにあの男がやって来た。
「おいクソガキ、こいつは誰だ?」
真斗の胸ぐらを掴みながら詰め寄った。
「お前!」
真斗は気だるそうな目で私を見た。
「あんたには関係無い。」
「あぁ!?それが答えかよ!」
男は真斗の顔を殴った。
真斗はなおも冷めた目をしていた。
「…」
「クソガキが!」
殴られているのに真斗は私を見ていた。
男は真斗を胸ぐらを持って力一杯に投げた。
壁に背中を打ち付け、動かない真斗。
その目で、男を殺そうとしている私を止める。
「はは、知ってるさ。そいつがこの町を地獄に変えた。
そいつの所為でこの町の人間は「止めろ!!」
真斗は目を見開いて男を見た。
「なんだよ、その生意気な面は、あ?」
男は倒れている真斗を蹴りつけた。
真斗からの視線が外れたので、男の肩を持ち振り返った所をありったけぶん殴った。
男は吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
男に近づこうとした私の前に真斗が立ちはだかった。
「頼む、やめてくれ。俺なら平気だから。」
「何で!?真斗
「ただい
男はヨロヨロ立ち上がり、私達が話している間に真斗を後ろから蹴った。
そこにちょうど夏七子ちゃんが帰って来た。
「え?え?」
夏七子ちゃんは混乱していた。
男は反撃しない真斗を私の盾にしながら攻撃する。
「帰って来たか、夏七子。お前も後で虐めてやるよ。」
酷く醜い笑みで夏七子ちゃんに言った。
「止めろ…!」
真斗が男の足を掴んだ。
「嫌だね、離しやがれ!」
暴れる男を見て泣きそうになる夏七子ちゃん
私は夏七子ちゃんをその場から離した。
家の中は危ないので、少し離れた公園まで手を繋いで行った。
手を離す時、夏七子ちゃんは私の手を見て何かに気が付いた。
それまで怯えていた夏七子ちゃんは不安な声音で聞いた。
「その血、大丈夫?」
「大丈夫、返り血だから。」
「…そっか、なら良かった。」
夏七子ちゃんは私の手を優しく撫でた。
「夏七子ちゃんにも嫌な所見せちゃったね。」
「いいよ、いつもの事だから。」
「え?」
「でも、私は慣れたく無い。日常に麻痺したく無い。」
「夏七子ちゃん、あの男は誰なの?」
「ごめんね。
一応、私のお父さん。」
え
日付変わってしまった。
8月、暑いですね
頑張るます