昨日の夢
駅から出てると少し印象に残ってる場所に。
家は何処だっけ?
誰かに聞こうかと周りを見渡す。
閑散とした駅には誰もおらず、諦めかけた時背後に気配を感じた。
振り返ると着物を着た長い髪の女の人がいた。
その人は片腕を隠し、ただ指をさす。
お互いに何も話さず、なんとなく、その指がさす方を目指す事にした。
行けば行くほど民家から遠ざかってるような気がする。
振り返っても誰も居らず、視線を戻すと前方に居てまだ指をさしている。
私が追い抜かしてもまだ背後に気配を感じる。
どれだけ距離が開こうと一定の距離に背後の気配が付き纏う。
足が速くなり、気がつけば森の入り口に居た。
振り返っても居ないのは分かる。
振り返らなくても何処を指しているのか分かる。
奇妙な感覚に身を任せ歩みを進めると不思議と見覚えのある所に来た。
何か"あった"場所。
それを通り過ぎると切り株に座っている真斗が居た。
女の人の方を見ると、泣いているように見えた。
そして、一瞬の瞬きで消えた。
女の人が泣いているのと真斗がここにいる理由。
気になったから真斗に聞きに行った。
「真斗」
「綺音、と一緒にいるのは誰?」
きっと真斗にも一瞬見えたのだろう。
「ここに真斗が居る理由は?」
「!?
…はははははは、てことは、久しぶりってことだな。
随分とまあ綺麗になったんだな。」
見たことの無い真斗の笑顔は私に向けられていなかった。
「ねぇ、ここに居るのはアカネさん?」
「そうだ。聞いてないか?」
「初耳。」
「そうか。でも、朱音はもうここには居ないよ。どこにもいない。」
「どう言うこと?」
「もうこの世には居ない。ってことだ。」
「! どうして?」
「死んだんだ、殺された。」
「誰に?」
「そいつが分かってたら俺は今頃檻の中さ。」
「そう、なんだ。いつ殺されたの?」
「さて、10年くらい前だったような。」
真斗が立ち上がる。
「なんで殺されたの?」
「知らないよ、殺したいなんて思ったこと無いから。」
真斗が私の肩を叩く。
「さあ、帰ろうぜ。ここでこんな話ししててもしょうがない。
もう日が暮れると寒くなるからさ。」
「うん。」
切り株の近くを見ると、有るはずの手が疼く。
振り返ると、無いはずの足に違和感を感じる。
「いつかきっと分かる日が来るさ。」
真斗の後ろについて森を出ると、知っている道に出た。
やっと帰ってきた実感が湧いてきた。
家に着くと制服の夏七子ちゃんが出迎えてくれた。
夏七子ちゃんが抱きついてくるので頭を撫でてやって。
「まるで姉妹だな」
「えへへ〜」
それから一緒に食卓を囲み、それぞれで風呂に入り寝た。
やっと、私は日常に帰ってきた。




