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空の空  作者: lycoris
空の空
29/115

真相

サンタクロースが登場したけど、

綺音ちゃんが覚醒してないのでまだ終わりません。

「ふあぁあ〜〜」

自分でも情けないあくびをして、窓の外を眺める。

つい最近見た景色を巻き戻しているような。

どうせならこのまま昔に戻って欲しい。



「もしもし?」

「あ、真斗?」

「おう、どうした?」

「うちの両親海外に行く事になったんだけどさ。」

「へー。」

「それで、親が心配するからってまたそっちでお世話になりたいんだけど。ダメ?」

「そう言われちゃ断れないな。断るつもりもないけど。」

「本当?ありがとう、ごめんね。」

「気にすんな、夏七子も喜ぶと思うし。」

「うん、ごめんね。じゃあ、近いうちにそっちに行くから。」

「分かった。で、いつ

って、切れた。

電波悪いのか?」



公衆電話から出て家に戻る。

誰にも見つからないように。

家に戻るといつもの臭いが鼻を刺す。

2人分の骨を袋に入れる作業を再開する。

小さくなるように折って、ささくれを床で削る。

袋の中に2人分の骨。

もう少しで終わる。

これが終われば、私はここを出られる。

これが終われば、お隣の家でシャワーを借りる。

そうしてやっと、やっと夢から覚めるのだ。

それから家に帰って、別の夢の続きを見始める。

覚めることのない夢を。

その夢から覚めてしまったらきっと私は…



気がつくと、降りる駅の1つ前。

疲れて眠っていたのだろうか。

下車の準備をして、外を見るともう夕暮れだった。


駅に降りると、見覚えのある顔があった。

それはこちらに向かってくる。


「なんで戻ってきた?」

攻撃的な口調。

「…」

「やっと離れられたのに自分から戻ってくるなんて!」

「私はただ、帰ってきただけ。」

「はぁ?信じられない、あんた自分が何なのか分かってるのか!?」

「分かってるつもり。」

「それでも来たんだ…ほんと、いい迷惑。

みんなみんなバカみたい!」

言い捨てて乗車しようとする山本に言い返した。

「逃げるの?」

山本は乗車をやめ、私に向き直った。

「私はまだ死にたくない。死ねないの。ここに居て良い事なんて一つもない。」

「あなたにとってはね。」

「違う、みんな不幸になる。このままだと今よりもっと。

私はそんなのゴメン。」

「戦わずに逃げるんだ。」

「逃げる戦い方だってある。私はそう教えられた。」

「それで逃げてどうなるの。」

「…いい機会だから教えてあげる。

みんなが隠してるあなたの正体を。」

「は?」

「『人形人食種(ヒューマノイド・ヒューマンイーター)』人を喰らう人。人間を支配する新たな人間。」

「え?」

「あなたがここで食べてた肉は全部人肉。

それも麻薬が混ぜられてる。」

急に体が固まってしまった。

息をするのも忘れるほど、脳みそが凍りつく。

「そして麻薬によって人としてのリミッターが外され、正常な思考を妨げ、眠っていた筋肉、身体のすべての細胞を刺激し常人を圧倒する。

自分の身体が壊れていても気付かない、何故なら脳も壊れているから。

覚えがない?」

神経の通ってない義足が痛んだ気がした。

「ぇ、あ、、え、?」

「私は人間でいたい。誰かを食べるのも食べられるのも嫌。

だから逃げる。私は自分が正しいと信じてる。」


ちょうど、次の電車がやって来た。

「まだ、ここに居るつもり?」

「それでも…」

真斗の(そば)に居たい。

私の帰る場所はもう…人間じゃなくなったって、

「私は決めたから。」

「そう。あんたとなら」

ドアが閉まり発車する。

もう彼女をここに繫ぎ止めるものはないのだろう。



「なんで、私が泣いてるんだっ、なんでっぇ」

車内から見える景色に思い出が重なる。

嫌な事も楽しかった事も全部。

それでも、それでも私は

お守りを握り締めながら、涙が止まるのを祈り続けた。






















人食人種、人型人食種

迷いましたしたが『人』がゲシュ崩しかけたので、エキサイト翻訳が「形」だったのでそこから頂きました。

名前は開始時から考えてたんですが、他に良いのが浮かばなかったです。

カニバルパーソンも中々良い線いってたんですが。


これまでの作品で出てきたサンタクロースが差し出す肉はすべてこの人肉って事になります。

麻薬混入の。

人肉に中毒性を(擬似的に)持たせて次の人肉を求めさせるように、と。


そんな訳でやっとここまで来れました。

長かったです、本当にありがとうございます。

時間がかかってしまってましたが、やっと軌道に乗ってきました。のでこのまま頑張ります。

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