真相
サンタクロースが登場したけど、
綺音ちゃんが覚醒してないのでまだ終わりません。
「ふあぁあ〜〜」
自分でも情けないあくびをして、窓の外を眺める。
つい最近見た景色を巻き戻しているような。
どうせならこのまま昔に戻って欲しい。
「もしもし?」
「あ、真斗?」
「おう、どうした?」
「うちの両親海外に行く事になったんだけどさ。」
「へー。」
「それで、親が心配するからってまたそっちでお世話になりたいんだけど。ダメ?」
「そう言われちゃ断れないな。断るつもりもないけど。」
「本当?ありがとう、ごめんね。」
「気にすんな、夏七子も喜ぶと思うし。」
「うん、ごめんね。じゃあ、近いうちにそっちに行くから。」
「分かった。で、いつ
って、切れた。
電波悪いのか?」
公衆電話から出て家に戻る。
誰にも見つからないように。
家に戻るといつもの臭いが鼻を刺す。
2人分の骨を袋に入れる作業を再開する。
小さくなるように折って、ささくれを床で削る。
袋の中に2人分の骨。
もう少しで終わる。
これが終われば、私はここを出られる。
これが終われば、お隣の家でシャワーを借りる。
そうしてやっと、やっと夢から覚めるのだ。
それから家に帰って、別の夢の続きを見始める。
覚めることのない夢を。
その夢から覚めてしまったらきっと私は…
気がつくと、降りる駅の1つ前。
疲れて眠っていたのだろうか。
下車の準備をして、外を見るともう夕暮れだった。
駅に降りると、見覚えのある顔があった。
それはこちらに向かってくる。
「なんで戻ってきた?」
攻撃的な口調。
「…」
「やっと離れられたのに自分から戻ってくるなんて!」
「私はただ、帰ってきただけ。」
「はぁ?信じられない、あんた自分が何なのか分かってるのか!?」
「分かってるつもり。」
「それでも来たんだ…ほんと、いい迷惑。
みんなみんなバカみたい!」
言い捨てて乗車しようとする山本に言い返した。
「逃げるの?」
山本は乗車をやめ、私に向き直った。
「私はまだ死にたくない。死ねないの。ここに居て良い事なんて一つもない。」
「あなたにとってはね。」
「違う、みんな不幸になる。このままだと今よりもっと。
私はそんなのゴメン。」
「戦わずに逃げるんだ。」
「逃げる戦い方だってある。私はそう教えられた。」
「それで逃げてどうなるの。」
「…いい機会だから教えてあげる。
みんなが隠してるあなたの正体を。」
「は?」
「『人形人食種』人を喰らう人。人間を支配する新たな人間。」
「え?」
「あなたがここで食べてた肉は全部人肉。
それも麻薬が混ぜられてる。」
急に体が固まってしまった。
息をするのも忘れるほど、脳みそが凍りつく。
「そして麻薬によって人としてのリミッターが外され、正常な思考を妨げ、眠っていた筋肉、身体のすべての細胞を刺激し常人を圧倒する。
自分の身体が壊れていても気付かない、何故なら脳も壊れているから。
覚えがない?」
神経の通ってない義足が痛んだ気がした。
「ぇ、あ、、え、?」
「私は人間でいたい。誰かを食べるのも食べられるのも嫌。
だから逃げる。私は自分が正しいと信じてる。」
ちょうど、次の電車がやって来た。
「まだ、ここに居るつもり?」
「それでも…」
真斗の側に居たい。
私の帰る場所はもう…人間じゃなくなったって、
「私は決めたから。」
「そう。あんたとなら」
ドアが閉まり発車する。
もう彼女をここに繫ぎ止めるものはないのだろう。
「なんで、私が泣いてるんだっ、なんでっぇ」
車内から見える景色に思い出が重なる。
嫌な事も楽しかった事も全部。
それでも、それでも私は
お守りを握り締めながら、涙が止まるのを祈り続けた。
人食人種、人型人食種
迷いましたしたが『人』がゲシュ崩しかけたので、エキサイト翻訳が「形」だったのでそこから頂きました。
名前は開始時から考えてたんですが、他に良いのが浮かばなかったです。
カニバルパーソンも中々良い線いってたんですが。
これまでの作品で出てきたサンタクロースが差し出す肉はすべてこの人肉って事になります。
麻薬混入の。
人肉に中毒性を(擬似的に)持たせて次の人肉を求めさせるように、と。
そんな訳でやっとここまで来れました。
長かったです、本当にありがとうございます。
時間がかかってしまってましたが、やっと軌道に乗ってきました。のでこのまま頑張ります。




