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空の空  作者: lycoris
その後
112/114

綺音と絢音、1

朝、呼び出された3人は生徒会室に集まった。

「集まってくれてありがとう。

朝食を用意したから食べながら聴いてくれ。」

「はい。」

それぞれが料理が並べられた席に着いた。

「じゃあ、今回の目標に着いて。

場所はここからそう遠くはないよ。」

ホワイトボードに地図を広げる。

「対象はここの生徒で、

名前は『高崎 絢音(あやね)』。」

食事をする全員の手が止まった。

「どういう事?」

本人が聞く。

「行ってみれば分かる。

まあ腹ごなしにはなるさ。」

訝しみながら全員が食べ終わった頃、

「3人でやるんですか?」

雄大が尋ねた。

「協力しあった方がそりゃあ早く終わるけど、

1人じゃ難しいかな。」


「美子はどうしたんですか?」

「彼女は別件で、

居ないよ。」


「他には無いかい?」

「目的は?」

「計画に必要だから。

計画については答えられないけどね。」

「どうやって信じろと?」

「今は話せないけど、後で絶対に教えよう。

その時になって気に食わなかったら殺してくれていい。」

「…。」

「取りあえず、行くだけ行ってみます。」

「異議なし。」

「…じゃあ、そうしようか。」

「ありがとう!

よろしく頼むよ。」


猜疑心は拭えないが、今の所漠然とした目的しかないので従う事にした。

それに同姓同名の生徒が引っかかる。

それを綺音が知らないはずはない。

向こうにいる間の転校生か?

考えても分からないので行動する。


普通の家だった。

何の変哲も無い。

チャイムを鳴らすと聞き覚えのある声。

「学校のプリントを届けに来ました。」

平然と嘘を吐く綺音。

「…どちら様ですか?」

同じ声でのやり取り。

「高崎です。」

「ふざけてます?誰ですか?」

「顔見れば分かるはずだから、出てきてよ。」

「嫌です、帰って下さい。」

インターホンを切られた。

当然だ。

「「「…。」」」


「どうしますか?」

間髪入れずにチャイムを鳴らす綺音。

「…

はい。」

「お話ししましょ」

「何の話ですか?」

「ここでは話せないので顔を見せて」

「では、結構です。

お引き取り下さい。」

また切られた。

めげずに何度も鳴らすがもはや出てくれる気配はない。

「一旦待って。

止まって!」

制止する穂花。

不服な綺音。

面白がる雄大。

彼女らをドアスコープで覗く絢音。


時が来てしまった。

遂に来てしまった。

逃げだそうにも出口も入り口も同じ。

このまま3人が去ってくれるのを祈るしかない絢音。

「どうしよう、どうしよう」

不安が口から漏れ出すほどに狼狽する。

このまま籠城か

 一か八かの賭けに出るか?

定まらない思考が、早鐘を撞く鼓動を更に加速させる。

過呼吸寸前かもしれない。

なった事はないけど。

「あぁ、どうしよう、どうしよう、」

迷いしかない祈りが通じたのか諦めたのか、

3人は気まぐれに去って行った。

緊張の糸が解け力無く座り込む。

ため息を吐いた後にはもう何もかも忘れて呆然としていた。

しばらく立ち上がり方を忘れるほどに膝が笑ってた。



あのままだと暴走した綺音が強行突破しかねないと判断して、撤退を推奨した。

雄大の先生が言った「協力しないと難しい。」という言葉が引っかかったから。

一度引き返して再度生徒会室。

相変わらず美子は居らず、雄大の先生だけが居た。


「やあ、おかえり、。

結果はどうだった?」

見透かした笑顔に問いかけた。

「まだ何にも…

所で、会長さんは何処ですか?」

「何か用でも?」

「手伝ってもらおうかと。」

あー、それなら

ここには居ないよ。

だって今朝






食べたじゃないか。

ここで。

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