検証
「じゃあ、思いっきり殴られても文句は言いわないでよ?」
雄大が前に出た。
「先に行ってください。すぐ追いつきます。」
「任せたよ。」
「私は?」
「ここに残れ」「一緒にいって下さい」
声がかぶった。
意見は真逆。
「どうすれば「好きにすればいい!どっちにしろ足手まといだ。」
穂花にめもくれずに先を行く綺音。
「くっ」
「いって下さい!」
雄大に急かされる形で綺音の後を追った。
「ねえ!雄大は大丈夫かな!?」
「…だったら残れば良いのに。、
だから、。足手まといなんだよ。、
私にとっても雄くんにとっても。」
「っ!……」
「文句を言う前に働け。
お前の価値を示せ。
でないのならお前はここで死ぬ。」
生徒会室の前に着いた。
「なあ、おい、
何が目的だ?」
「。いらっしゃい。
遅かったね、予定よりは早いけど。
そこのお荷物のせい?」
「そう。」
「だから、そっちで引き取って。」
「要らない」
「だってさ。」
嫌味ったらしく笑う綺音。
「私が弱いのはもう分かったから。
足手まといでいいから。
昨日の話の続きを」
「ないよ、そんなの。
ここまで生き残ってきたのなら、自分の状況くらい分かるでしょ。
一々説明するのも面倒くさい。」
「そう言わずに、私も知りたいな。」
「本当に何も聞かなかったの?」
「聞く前にどこかに行って勝手に死んでた。
んで、行く宛がないから帰ってきた。
それだけ。」
「…
委員長はどうしたの?
」
「前にも言った。
私が殺した。
夢じゃないし嘘じゃない。」
「どうやって?」
「…こっちばっかり教えない。」
「実験。
悪趣味な実験。
簡単。
ただ最後の生き残りを決める。
だけ。
それぞれの地域で、環境で、条件で、
“私達”の場合は入れ替え。
イレギュラー同士を変えた場合どうなるのか。」
「ふーん…」
「…」
「結果も予想外。
本命の委員長じゃなくて、
大穴ですらないソイツが生き残った。」
「それで、どうやって本命を殺した?」
「普通に。」
「タイマンで?」
「そう。」
「どこで?」
「外で。」
「ありえない。
あの町で、いや、他と比べるまでもなく最強の委員長が死んで、ソイツが生き残るなんて、
おかしい。ありえない。」
「。だってさ。」
「じゃあ私がここに来た理由はなんだったのさ!?」
「逃げたんだ。」
「なーんだ、私と同じじゃん。」
久しぶりに喋った穂花を睨む美子。
「つまり、私も逃げたの。
そして戻って来たら、綺音だけが生き残ってた。
ソイツ以外はみーんな死んでた、それだけ。
それを知りたかったんでしょ?」
「…それこそ信じられない。
担任はどうした?
逃げる前に殺される。」
「その担任に逃がされた。」
美子は机を叩いた。
「嘘だ!
それこそありえない!!」
「はぁ…
あんたも大概、あの町のニンゲンは馬鹿ばっかりか!?
ここに私と穂花が居て、
先生が居ないのが何よりの答えだろうが。」
「…」
「信じられないなら戻ってみてくればいい。
誰もいない町を。
それとも、怖いのか?」
「……」
「手っ取り早いのは、
この場で試してみればいい。」
美子は立ち上がってこちらへ歩み出した。
その顔には引き攣った笑顔が張り付いていた。