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空の空  作者: lycoris
その後
107/114

シミ

「まだ帰るには早いよ!

ショーはこれからさ!!」

体育館全体に響くよく通った声。

聞き覚えのある:特技は手品の演劇部部長。

舞台の上でスポットライトを浴びていた。

「…。」

「…。」

こちらが反応に困ってると、ユウくんが切り出した。

「あ、あの、ショーっていったい?」

「君たちの目的はなんだ!?」

「…。」

言うわけがない。

「安藤を倒しにきたんだよ、綺音(こいつ)がね!」

言うわけがない。

「その通り!さっさと出てこい!」

ノリノリな2人。

「良いお返事をありがとう!

でも、残念!会長は出て来ません!」

「会長?」

「会長をご所望だろう?

生憎、多忙でね。

だからここは私が相手をしよう。」


「お前を倒せば安藤は出てくるんだな。」

「いいえ。

ですが、私を倒さないと此処からは出られません。

ええ出しませんとも。」

「ただの時間稼ぎか…

それにしても何で会長なんだ?

そもそも何の会長だ?」

「……」

今度は向こうが黙った。

「ま、なんでもいいけどさ。

どうでもいいし。」

踵を返して出口に向かった。

舞台上から駆ける音、次いで跳ねる音。

まさにひとっ飛び、目の前で大袈裟に着地する演劇部部長。

なびく派手な衣装に雄大が感嘆を漏らす。

「行かせないよ。」

「おぉ…!!」

乱暴に拳を振るった。

あっさりと受け止められたがそのまま振り切った。

案の定、力ではこちらの方が上のようだ。

「??」

困惑する部長に続け様に振るう。

防ぎきれないと分かると距離を離された。

「っ、ちょっと待った。

話しが違うじゃないか?」


「私、あんまり話した事なかったと思うけど。」

「いやいや、何でそんなに強いのさ、君。」

「命が惜しいなら引っ込んでて、邪魔だから。」

「待って待って、後ろの二人もまさか強いの?!」

2人して首を振っていた。

「比べられるとちょっと…」

「なわけない、なわけない、」


「へー、なら」

嫌味ったらしく笑う。

「人質を取ってしまったらどうだろう?」

「…。」

穂花の喉元にナイフを突きつける。

 またこのパターンか。

前も空いたし進む。

「殺せばいい。殺せるのなら。」

「いいのか?」

「私より弱いけど、お前よりは強いはず。

そうじゃないのなら…」



「綺音さん、待って下さいよ。」

「…。」

「まだ穂花さんがそこ吐いてますよ。」

「足手まといは置いて行こうよ。」

「人手は多い方がいいですって。」

「何であんたらあんな(むご)い事ができるのよ!?」

「生きる為に。」

「あそこまでやる必要はないじゃん!」

「加減してたらこっちが殺されるんだぞ?」

「…」

「いつまで『人間』のつもり?

汚れたくないなら綺麗なまま死ねばいい。

そういう人間が一番汚いんだって、私は思うけど。」

「私は…」

「やめましょうよ、2人とも。

少し落ち着いて下さいよ。

ここは敵陣で、ほら、また刺客が来ましたよ。」

校内の不良グループが各々武器を持って集まっていた。

「思いっきり人殴っていいんだよな?

楽しみだぜ。」

そう言ってバットを振り回していた。

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