登校
「遅い。時間かかりすぎ。」
「あんたのとこの化粧品の品揃え悪いからよ。」
「私もお母さんもほとんど必要ないから。」
「あーっそうですかぁーっっ!」
「女性は大変ですね。」
「分かってくれるか雄大!?」
「ユウくんにセクハラしないで、殺すよ。」
「さすがに物騒ですって、綺音さん。」
3人揃って家を出た。
私は元の制服、
穂花と雄大はそのままの格好で向かった。
「やっぱりすごい見られますね。」
「気にしない気にしない。」
「そうだ、どんと構えとけ男なら。」
「あんたはウロウロしないで邪魔くさい。殺すよ。」
「なんかは今日機嫌悪いな、こいつ。
離れてようぜ雄大。」
その後も言い合いになりながら校門の前に着いた。
「本当に行くんですか?」
「それにアイツが来てるかどうかも分かんないし。」
「行くよ。どうせ暇でしょ?」
「まあ、そうですね。」
「ほら、体験入学だとでも思えば。」
「そう言われると少し楽しみですね。」
「教師とかに止められないの?」
「止まらなければいいでしょ。嫌ならここで待ってれば、一生。」
「ほんと、一言多い!」
いがみ合いながらも下駄箱まで着いた。
「靴、どうします?」
「「このまま」」
穂花が笑った。
「真似しないで。」
「どうせそう言うと思った〜」
「「殺す」」
「…!…」
「あっはっはっは」
「仲良しですねぇ…」
「それにしてもこれだけ騒いでるのに誰もあんたに声をかけないなんて、
もしかして友達居ないの?」
「いない。」
「え?そうなんですか?」
「うん、探してはいるけど、誰もいない。」
教室の扉を開けた。
中は、見慣れた空間。
違和感があるとすれば机が少ないくらいか。
当然私の机もなかった。
一通り見回していると校内放送がかかった。
「侵入者3名、直ちに体育館に集合せよ。
繰り返す、体育館に集合。」
「呼ばれてんぞ。」
「行くんですか?」
「私は行くよ。
1人でもね。」
「罠だったらどうすんだよ?」
「怖いならここに1人で残ればいい。」
「なんで雄大も着いていくの確定なんだよ!?」
「いやぁ、面白そうじゃないですか、他校の体育館。
それに命の恩人を1人では行かせられないですよ。」
「お前…そんな熱いやつだったのか?」
「半々ですかね。
そっちの方が生存率が高そうだなって。
1人よりも2人よりも3人、ね、行きましょうよ?」
「しょうがない、そういうことなら私も_っておい!?」
面倒だから窓から飛び降りてそのまま体育館に向かった。
ちょうど外履きのままだったし。
「クラスの奴らみんなひいてたぞ。」
「初めてでしたけど中々楽しかったですね!」
「いや、二度とごめんだわ。」
最短で体育館に着いたが、中には誰も居なかった。
気配はするから隠れているのだろう。
全体を見渡せるように中央に集まった。
「来てやったぞ!!」
声を張り上げた。
「いきなり大声「こう言う時は静かに!」」
不満を言う穂花を雄大が声をひそめて鎮める。
「出てこい臆病者!!」
なおも返事はない。
「こっちから出向いてやったんだ!!
出てこい小心者!!!」
「こいつ口悪いな」
「まぁまぁ」
穂花は後で殴る。
「…帰ろうか。」
興醒め、踵を返すと体育館の扉が突然閉まった。
次に暗幕が張られた。
まだ朝一番の鐘が鳴る前なのに、辺りは薄闇に包まれた。
飛び降りたのはたぶん2階です




