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異世界に引っ越されました。  作者: 寿ヒカル
第一話・母親の強さは家族が一番知っている。
8/8

-7-

     ◆


「――確かにコマイヌ達と出会った時はそんな感じだった! けどよく細かく覚えてたわねー」

「そりゃあ、自分の身に非現実的なことが起きれば、嫌でも覚えてるもんじゃね?」

 時は戻って生徒会室。豪奢なテーブルを挟んで向かい合っていた俺とイーリスは、和やかにそんな会話を交わす。

「あの後、慣れない俺んちでの暮らしに戸惑いまくってたもんな、イーリスたち」

「し、仕方ないでしょ!? 全然私たちと生活が違ったんだから!」

「まぁ、確かにしゃーない。俺もイーリスの立場なら戸惑ってただろうし。……でもまさか俺が風呂に入ってる時に、イーリスまで入ろうとしたのはびっくりしたけどな」

「――ッ!! あ、あれはお風呂は男女別に分かれてると思ったのよ! 今すぐ忘れて――いや忘れなさいっ!」

 顔を真っ赤にしたイーリスが小さな火の玉をこちらへ向けて発射してくるが、それを俺は平然とした表情ですべて回避する。

「アブねーぞ、部屋の中で火の玉飛ばすなんて」

「コマイヌが悪いんでしょ!! ホラ、忘れろ――ッ!!」

 回避。回避。回避。中学生の時に培った動体視力と反射神経を舐めないでほしいなっ! ――とそこへ。

「……あの、キャッキャッウフフしてるとこ悪いんだが」

 唐突にそんな不機嫌丸出しの声が割り込んだ。イーリスと俺は今現在繰り広げているやり取りをやめて『彼』を見る。――まぁ、彼と言っても回想前から存在していたリベルテなのだが。

「別にキャッキャッウフフはしてないぞ?」

「そうよ。私はただコマイヌの記憶を消そうとしただけよ」

「お前ら、ラブコメ作品見てみろ。お前らのような行動をしてるやつらが数万はいるぞ」

 ……うん、確かに否定はできないな。今考え直すと恥ずかしくなってきたもの、俺。

 するとリベルテはポリポリと頭を掻きながら、

「つーか俺が言いたいのは、回想なげぇんだよコマイヌ。何普通に数十ページ分も回想に使ってくれてんの。見てみろ、ヴァローナもフィエリテも爆睡してんだろうが」

「それはあの作者バカに言ってくれ! 計画性皆無、創造性皆無、表現性皆無のあのバカがすべて悪いっ!」

「うんまぁ確かにな」

「あんた達、もの凄い言い様ね」

 とりあえずいったん落ち着こう。冷静にならないとまたグダグダになりかねない。クールダウンマイハート。

「……う、んっ」

 心を静めていた時、机に突っ伏して寝ていたフィエリテがそんな可愛らしいような色っぽいような声を出しながら上体を起こす。

「……おお、もう話は終わったのか?」

「人の回想を学校の授業みたいに……!」

 何だろうこの気持ち。なんかすごく寂しさを感じる。自分の授業中に生徒に居眠りされた教師のような寂しさを。

「おーい、ヴァローナも起きろ」

 涎を垂らしながら寝ているヴァローナにリベルテが呼びかけると、フードの二箇所がピクピクと揺れ、それと連動するように彼女の瞼が開く。寝ぼけ眼のヴァローナはゆっくりと体を起こすと、俺の顔を見てこう言った。

「……コマイヌの話、面白かった」

「すげぇ、ここまで堂々と嘘言うやつ始めて見た」

 あまりの発言に俺が戦慄していると、リベルテが立ち上がりパンパンと二回手を叩く。その音に俺、イーリス、フィエルテ、ヴァローナの四人の視線が一気に彼へと向いた。

「よし、全員起きたな? じゃあさっさと出発するぞー」

 ――出発? と一瞬疑問を抱いたが、『ああ、そういやそうだった』と思い出す。回想のせいで忘れてたよ。

「そういやお前の家族はどうしてるんだ? ちゃんと準備とかはしてるのか?」

「ああ、母さんたちならとっくに『城』の前で待ってるぞ。まぁ、七海と父さんは全然乗り気じゃなかったけどな」

「了解。じゃあ向かうとしますかね」

 リベルテは言って小さく笑うと、ポンと俺の肩を叩いてきた。

「……楽しい時間の始まり」

「いや、私にとっては楽しい時間じゃないんだけど」

 ニヤリと笑うヴァローナに苦笑いするイーリス。

「もしもの場合は斬っていいんだろう?」

「まぁ、相手に物理が効くかは分からんけどな」

 不吉なことを言うフィエリテにため息をつくリベルテ。

 そんな四人の姿を見ながら俺は首からぶら下がる『クリスタル』を片手で握り、そして士気を高めるためにこう言った。


「さぁ、行くとしようか。数百人の兵士が囚われしあの――魔の城へ」


「………………いや、実家を『魔の城』呼ばわりしてほしくないんだけど」

「中二くせーぞコマイヌ」

「……カッコいい」

 ………………………………………………。


「さぁ、行くとしようか! 数百人の兵士が囚われしあの――魔の城へ!」


 なんか目から水のようなものが溢れ出てきた気がしたんだけど、きっと気のせいだよな!

「……そう言えばコマイヌ、私と初めて会ったあの時の事なんだが」

 唐突にフィエリテがそんなことを言いだした。

 え、嘘。このタイミングで回想ッ――――!!?

 一応、ここで一話目は終了となります。

 いや、一話目からグダグダの展開でごめんなさいっ! ホント、まさかここまでグダるとは思いませんでした(泣)

 初期構想の時点では、ショート―ストーリーを積み重ねていく感じにしようとしていたのですが、回想だけでこんなにグダる始末。僕もまだまだ未熟だということを痛感させられました。文章力はともかく、構成力や魅せ方をどんどん学んでいかなければ……!

 今は話が続く感じになっていますが、一段落したら週刊誌の漫画のように短い話が続いていく、という方式になっていくと思います。

 至らぬ点が色々あるとは思いますが、どうか『異世界に引っ越されました。』をこれからもよろしくお願いします!

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