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世界の暁  作者: ゆきかぜ
第1章
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調印

ついに実現した日本と中国との同盟。そして、野山少佐の今後はいかに。

車列が首相官邸に到着し、車から降りた蒋介石を一同が出迎えた。



「長旅、ご苦労様でした。あとは調印するだけですな。」


「総理、我々は今新たな道を進もうとしている。この同盟で歴史が大きく変わるでしょう。」



そうやりとりした2人は首相官邸に入って行った。日本が中華民国と同盟を結んだのは満州問題の解決、資源の安定した供給先の確保、肥大化する戦費削減の為だった。日本陸軍[関東軍]は奉天派軍閥を満州国として清国最後の皇帝、溥儀を元首として即位させた。


この行為は1927年5月に晴れて統一を果たした中華民国の了解を得ておらず、国際社会から批難された。よって中華民国が満州国を正式に独立国と認める事によって国際的な圧力を回避できると考えた。


また石油や鉄などの資源を中国から輸入出来れば、仮に米国との関係が悪化しても経済活動や軍事に与える影響を少なくできる。これは海軍にとっても朗報だった。そして外務省や東機関による中華民国への接触が実を結んだ結果、同盟が締結される事となった。



[日支同盟概要 1927年9月28日調印] ※日中同盟とする文献もあり


一:帝国は中華民国を国家として認め、これを支持する。


二:帝国は中華民国の内政に干渉しない。


三:帝国が満州防衛と邦人保護の為以外に中国に派兵する場合は中華民国政府の了解を経てからとする。


四:帝国は中華民国から要請があれば中国共産党に共同で対処する。


五:帝国は中華民国に対して軍事支援を行う。


六:中華民国は満州国を独立した国家と認める。


七:中華民国は帝国軍の満州駐留を認める。


八:中華民国は帝国に対して資源の輸出を行う。



以上が日支同盟の概要であった。中国では[中日合作]と報道され、日本に対する印象も徐々に変わっていった。同盟成立に伴い、帝国陸軍は中華民国領から段階的に撤退、この際に徴兵されていた技術者などを退役させ、軍の近代化を推し進めた。帝国海軍から中華民国に(もみ)型駆逐艦4隻[楡、柿、葦、菫]が譲渡される事になった。


調印を済ませた蒋介石は官僚と共にそれらを見に横須賀へと向かい、田中総理は満州国へ行き皇帝溥儀と会談を行い日満議定書を調印した。そして関東軍は満州駐留軍となり満州国、中華民国、大日本帝国は三国同盟を結んだ。


この一連の出来事は世界の注目を浴び、各国の新聞を賑わせた。ニューヨークタイムズは[アジアが団結する日]と今後の日中関係が米国やヨーロッパ諸国に与える影響を綴った。



1927年10月8日 陸軍省


日支同盟締結を担当し、見事それを成し遂げた野山少佐は白川陸軍大臣に呼ばれ、陸軍省へと赴いていた。



「野山少佐、日支同盟では良くやってくれた。」


「はっ‼︎ 光栄であります‼︎」


「早速だが、アメリカへ行ってくれんか? 手配は既に済ましてある。」


「アメリカでありますか?」


「現地での諜報活動の指揮に当たって欲しい、正式な書類はここにある。」


「了解しました‼︎」



書類の入った封筒を受け取り、敬礼をして退室しようとした野山を白川が何かを思い出しかのように呼び止めた。



「そうだ、言い忘れていたよ。日支同盟の功績で君を中佐に昇進させた。おめでとう。新しい階級章は封筒に入れてある。」


「はっ‼︎ ありがとうございます‼︎」



野山は白川に再度敬礼をし、退室した。




野山少佐は架空の人物です。次回はドイツに話が移ります。

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