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和製ファンタジーにおける”魔法”の設定について  作者: 囘囘靑
第七講:錬成

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7.5.一方向錬成の、封印への応用

第七講はこれにて終了です。

続いて第八講:本草に入ります。

 学術的現象、及び社会的事象だけでなく、魔術的事象の「錬成」もまた一方向性を帯びている可能性がある、ということは前回に確認しました。


 では、こうした一方向錬成はいったいどのような場面に応用可能なのかということを考察してみましょう。


 もっとも一方向錬成と相性が良さそうなのは、第三講の後半で扱った「封印」である気がします。「封印」について再びここで詳説することは手間になるので省きますが、封印を解除するためには「質」をいかにして除去するか、ということが重要であると示唆しました。


 この「質」と「媒」が一方向錬成の関係にあれば、「封印」はより強固なものになります。それは、たとえもし質媒検索により「質」の素材が何か判別できたにしても、一方向錬成により組成された「質」と「媒」の場合、一体化した「質」と「媒」を分離させることが事実上不可能になるからです。


 したがって、「封印解除」を試みる人にとって「一方向錬成」は厄介なものになりますが、その一方で、「封印」を施した当人にとっては「一方向錬成」は使い勝手のよい魔術になります。

 前回の例を引き続き流用して、ここでも考察してみましょう。


 11^x(mod13) ≡2(mod13)


 上記の式で、2(mod13)という結果からx = 7 を回答者が導出するのには相当な手間がかかります。しかしながら出題者にとっては、あらかじめ答えが分かっているわけですから、方程式を解くのにさしたる苦労はありません。


 この出題者と回答者の関係は、そのまま封印の施行者と封印の解除者の関係にも当てはまるはずです。したがって“理論上”では、「一方向錬成」が封印に関して有意であることが示唆されます。


 とはいえ、実践上で封印が上手く作用するかどうかは別問題です。数式は抽象的な概念である上、時間の流れ(ダイナミクス)が無視されます。具体的な素材を用いて、しかも時間の経過にともなう風化や浸食等の問題が立ちはだかるであろう「封印」に、いかにこの理論が上手く通用するかは未知数です。


 したがって、もし一方向錬成を「封印」に応用しようとするならば、書き手はある程度自然科学(それも実践的な科学)に知悉している必要があるでしょう。


【第七講のまとめ】

錬成は原初的な自然科学(化学)

等価錬成において、魔力は反応促進物。

付価錬成において、魔力は物質に影響して放出される可能性がある。

花瓶を割るのは簡単だが、割った花瓶は簡単に復元できない。

封印に一方向錬成を応用できるが、書き手の仕事はかさむ。

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