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和製ファンタジーにおける”魔法”の設定について  作者: 囘囘靑
第五講:魔術としての”刺青”

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5.2.2.刺青と魔力の関係から鑑みる、大前提の修正案

 と、ここまで筆者はノリノリで前項を書いていたのですが、ここに来て大きな間違いに気づきました。

 その間違いを検証する前に、以前確認した大前提を、ここでもう一度確認してみましょう。


第一に「魔力は人間に宿る」こと、

第二に「魔力を持つ人間と、持たない人間がいる」ということ、

第三に「魔力を持つ人間であっても、魔力の量には個人差があること」


 という三つを共通の前提として、これまでの考察を進めてきたはずです。


 それでは一体、前項のどこに問題があったのでしょうか? ――刺青をモデル化する際に、筆者は「①魔力を持つ人間に刺青を施した場合」と、「②魔力を持たない人間に刺青を施した場合」の二種類の場合を区別して考えました。

 問題は「②魔力を持たない人間に刺青を施した場合」に存在します。これは大前提二、に由来するものであるため、一見すると誤りは無さそうです。


 しかしながら、刺青というものは、それを保有している人に何かしらの魔術的能力を授けるために開発されたツールであることが原則です。「本来魔力を持たないはずの人間が魔法を使う」ということは、つまるところ「“刺青”が魔力を保有している」ということにほかなりません。


 しかしこの「“刺青”が魔力を保有している」ということは、これまでの考察と大きく矛盾することになります。なぜならば大前提一、において「魔力は人間に宿る」ということを明示してしまっているからです。


 そうなると、「刺青」は「あくまで魔力を保有している人にのみ有効」ということになります。無論それでも構わないのですが、「たとえ魔力を持たない人間であっても、刺青のおかげで魔法が使えるようになった」という設定は、なかなか魅力に富むものであると筆者は考えます(何でもないただの普通の青年が、機動戦士を駆使することでパワーアップするのと似ているからです)。


 したがって、せっかくなので「魔力を持たない人にも魔法が使えるようになる手段」としての刺青を考えてみましょう。

 では、「魔力を持たない人間が、刺青のおかげで魔法が使えるようになった」というシチュエーションから出発してみます。


 ここで問題になってくるのは「魔力を持たない人間」という設定です。もし「魔力を持たない人間など存在しない」としたら、どうなるでしょうか? そうなれば、すべての人間は魔力を保有しているわけですから、当然刺青を利用して魔法を発動することも可能になるはずです。


 私が何を言いたいかというと、「魔法が使える」ということと、「魔力を持っている」ということを、まったく別次元の問題として考えてしまえばよい、ということなのです。すなわち、「すべての人間は魔力を先天的に保有している。しかし魔力を保有しているからといって、実際に全員が魔法を使えるというわけではない」という条件を設定してみるのです。これは「すべての人間は先天的に喉から声を出せる。しかし全員がのどから声を出せるからといって、実際に全員が歌手になれるというわけではない」というような構図と似ています。


 こうなると、刺青の役割がかなり明確になります。すなわち「先天的に魔力を保有してはいるものの、それを魔法として発揮できない人間」に対して、「刺青」は魔法を発するための媒介としての役割を果すことになるのです。


 以上のようなことを考えると、大前提もまた大きな変更を来たさざるを得ません。以下に示すのが、新しい大前提です。


大前提一、魔力は人間に宿る。

大前提二、すべての人間は魔力を保有している。しかし、それをアウトプットできる人間は少ない。この少数の人間達を総称して「魔法が使える人」とみなす。

大前提三、魔力の量には、個人差がある。また、アウトプットできる量にも、個人差がある。


 ただ「刺青」の役割を大きくするために大前提を変更いたしましたが、おそらくこのルールに従ったほうが創作の幅も広がることでしょう。


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