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和製ファンタジーにおける”魔法”の設定について  作者: 囘囘靑
第三講:呪文(文様)原論、および封印

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3.3.1. 「封印」における「質媒検索」の威力

 前回は「質媒検索」という考え方を登場させました。もう一度おさらいしてみますと、


 魔力をN、質をQ、媒をMとしたとき、そこから生み出される魔法の効果Eは、


 E=N×Q×M


 という関係式で表せる。


 ということになります。また、魔法の効果Eは魔力Nとの関係において変化率を想定することができますから、


 E’= Q×M


 と表すことができ、したがって三つの値(E、Q、M)のうちどれか二つが判別できれば、残りの一つが判別できるのではないだろうか、ということを示唆しました。


 さて、ではこうした「質媒検索」がなぜ「封印」に応用できるのでしょうか。ここで想定されている応用とは、「封印を解くこと」になります。


 前述したとおり、魔術質は一度書いたらなかなか消えにくいもの(あるいは判別しがたいもの)が選ばれることになるはずです。だとすると、そうした魔術質を完全に消し去ることが、封印解除の上で決定的に重要になります(魔術媒を破壊してしまっても封印解除にはなります。しかし、往々にして魔術媒は重要なアイテムであることも多いため、魔術質の解消にのみここではスポットを当てます)。


 いま、ある魔法使いのボブ氏が、鉄でできた壁にトウダイグサの汁で「近づいた者に電撃を食らわせる」魔法陣を書いたとします。そうとは知らずにやって来た魔法少女のアリス氏は、手痛い電撃を食らってしまいます。


「何よっ?! いきなりなんて酷すぎない?!」


 と、黒焦げになったアリス氏は怒り心頭ですが、残念なことにトウダイグサの汁は乾燥すると透明になってしまい、アリス氏にはどこに魔法陣があるか判別できません。


 しかしアリス氏は腐っても魔法少女です。鞄の中から颯爽と一冊の本を取り出します。題名は『質媒検索大全』。そこには「魔法陣の効果」、「魔術質」そして「魔術媒」がそれぞれ、数値化して記載されています。


「ええっと、なになに?


 電撃を喰らわせる魔法陣は、E=30。

 魔術質は……わからないから、Qのまま。

 魔術媒は鉄製だから、M=6。


 するとQ=5、か……」


 Q=5と分かったアリス氏は、ここで「魔術質」のページを開いて、数値が5になる魔術質を探してみます。そこには、「トウダイグサ」と書いてありました。


「トウダイグサか。ははーん。だから見えなかったのね」


 アリス氏は得意満面、指先に火を点して、鉄製の壁を炙ります。するとどうでしょう。トウダイグサの汁は焦げ目がついて、アリス氏に魔法陣の全容が露になるのでした。


 以上の例は「見えない魔術質にどう対処するか」でしたが、応用範囲は他にもあると思います。いずれにせよ、「魔法陣の効果」、「魔術質」そして「魔術媒」を便宜的に数値化してしまえば、魔法使いたちはありとあらゆる魔法陣を無力化することが可能になってくるはずです。これを利用すれば、魔法陣を利用した封印と、それを質媒検索で解除する、ということが方法論として確立するのです。


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