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和製ファンタジーにおける”魔法”の設定について  作者: 囘囘靑
第三講:呪文(文様)原論、および封印

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3.1.2.認識の問題をどのようにして扱ってゆくべきか。「普遍魔術」と「専門魔術」

 「言葉と文字とは別々に扱ったほうが説明しやすい」


 ということは、前回に述べたとおりです。しかしながら、ここでいったん「魔法」そのものの設定ではなく、「認識の問題」に話を移してゆきたいと思います。


 魔力が発動される際に「術式を唱える」もしくは「文字を書く」ことが大前提となっていることに疑いの余地はありません。問題は、「発動された魔力は、何をターゲットに据えているのか」というところにあります。


 現実世界で具体的に存在するものとして、「標識」を例にとりましょう。例えばアメリカの交通標識では「STOP」と記してあるものがあります。アメリカ人の運転手は、誰しもがこの標識の意味を理解し、行動することができます。それは「STOP」という言葉がアメリカの国語(英語)であるからです。


 しかしながら、英語が母国語でない人間が、いままで一切英語に触れることなく、生まれて初めて「STOP」の標識を見た際、適切に行動できるでしょうか? ――おそらくは適切に行動できないばかりか、そもそも「STOP」の標識さえ見逃してしまうのではないでしょうか。そうすると、この「STOP」の標識は、英語を認知している人間にしか威力が発揮できない、ということになります。


 以上の例から、まずはこうした標識(記号)の認知に関わる問題が、呪文や魔法陣にも当てはまるのかを調べてみなくてはなりません。「魔法陣を理解できない人間には効力の発動しない魔法陣」といったものは存在するのでしょうか。

 実は、この問題をどう取り扱うかによって、和製ファンタジー世界における魔法の系統は大きく変わっていってしまいます。より簡潔に言えば、認知論の問題は直接、魔法の属性に関しての問題に影響します。


 「認識の問題」が魔術に当てはまるとき、その「魔術」は多様化します。例えば、光を操る魔法があったとします。光を操る魔法は、光をターゲットとしなくてはなりません。すなわち「光に働きかけることができるような言語/文字」が存在しているはずなのです。ゆえに、「光属性の言語/文字」があり、それを専門に使いこなせる「光の魔法使い」が存在することになります。


 では、光の魔法使いが火を操るためにはどうすればよいのか。このとき、光の魔法使いは一から「火に働きかけることができるような言語/文字」を習得しなくてはなりません。「光に働きかけることができるような言語/文字」は、火に認知されないからです。


 「認識の問題」を魔法に当てはめないとき、その「魔術」は普遍化します。誰にでも一定の働きかけをできるような魔術が、それに当てはまります。たとえば、念力や透視、催眠術などが普遍的な魔術として挙げられるでしょう。


 こうした「認識の問題」を背景にすると、魔術は二種類に大別されます。一種類が「普遍的な魔術」、すなわち誰を(何を)ターゲットにしても等しく作用する未分化な魔術であり、もう一種類が「専門的な魔術」、すなわちある特定の標的を狙ってのみ発動する分化した魔術であります。


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