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不法侵入系乙女

不法侵入系乙女3.5

不法侵入系乙女シリーズ5作目です

.5の作品は主人公ではない人の視点がメインになります。

今回は短いです。

続きがあります。

恋愛始まりません

口も利きません。

オチなしヤマなし。

そんな話ですがまったりと読んで、続きを待ってください。

その布石的なお話です。

 あたしがあの人と出会ったのは高校一年生の時だった。

 その時はこんなにも狂おしいほどの気持ちになるなんて思いもしなかったな――――――




「あ~、君たちの担任の荻野京介だ。担当科目は英語で38歳、よろしく」

 

 退屈な入学式もクラスでの顔合わせは静かなものだった。

 高校では中学以上に最初が大切だ。ただでさえ、知らない人だらけなのにいきなりテンションアゲアゲな人なんてよほどのバカか高校デビュー狙ってる人くらいだと思う。

 高校デビューの人もそこは空気読みそうだからやっぱりバカなんだろうな。

 そんな事を考えながら新しい担任の言葉を聞き流していく。

 同じ中学からの友達も居るけれど、いつかはみんなに馴染まなくてはいけないのだ。普通に話していれば、順当に友達もできる。不安だが楽しみな高校生活に期待はしてる。

 それでも、物足りないなんて心のどこかで考えているあたしは一体何を求めているのかな?




「――――というわけで短い三年間を存分に楽しむように。それからウチのクラスの副担任も後で来るから、その時紹介しよう」


 ひとまずHRは終了してプリントの配布やら書類の記入を始めるみたい。

 少しだけ副担任のことも気になるが、配られるプリントを仕舞ったりしている内にそんなことはすっかり忘れてしまった。


「今度の部活見学さ、バスケ以外に何か見てく?」


 中学からの友人である木崎由美はどうやらバカの一人らしい。

 誰一人立っていない放課中の空気をものともせずに話しかけてきた。いくらなんでも重過ぎとは思うけど。


「別によくない?どーせバスケにするんだから」


 結局、副担任とやらはHR中は来なかった。

 担任曰く、「まだプロジェクター直してるのかもしれん」らしい。

 入学式の時にフリーズしてしまって、急遽予定変更して式を変更してたみたいだけどそういうことだったんだ。

 後姿しか見えなかったな。


「それから帰りにマック行かない?」


「うん、いいよ」


 こそっと「クラスの人で誘えそうな人は誘っちゃおっか」と言って由美は席に戻った。

 その行動力は正直な所尊敬するよ。

 今時はLINEとかで知り合う人も居るみたいだけど……あたしにはハードル高いかなー。

 そんな風に考えてたら担任が帰ってきた。


「それでは最後に副担任紹介して終わるぞー」


 ガラッと扉を開けて入ってきた人に視線が集中する。


「国語担当の二階堂正人だ。男子バスケ部の顧問してる。一年間よろしく」






「いやー、中々にカッコよかったことない?あの副担任!」


「そうだね」


「あの人彼女居るのかな?あの後すぐに学校終わっちゃうんだもんなー」


「そうだね」


「クラスの男子は正直微妙だったよね!」


「そうだね」


「他の女子のみんなもマック来ればよかったのにね」


「そうだね」


「結構かわいい子多かったし、彼氏もちばっかなのかな~」


「そうだね」


 あたしの適当な返事にハァっと由美は溜息を吐いた。


「相変わらず恋愛話系嫌いだよね、美咲」


「そういうわけじゃないよ……ただ興味がないっていうか、特別気になる人が居ないだけだから」


 そういうあたしの言葉に由美は大げさに首を振った。

 相変わらずテンションのアゲアゲな友達だ。


「花も恥らう高校生なんだよ!わたし達って!」


「なにそれ……」


 すごい、すごいバカだ。

 この底抜けの明るさとウザさは長所であり短所だよね。

 由美も高校の願書の時の長所が『明るくて元気な所』で短所が『うるさい所』と書くだけあって、自覚症状はあるんだろうけど。


「まぁ、そんなのはともかくさ。やっぱり高校生になったんだし、ちゃんとした恋の一つ位したいじゃない」


「それは否定しないよ」


 確かに恋には興味がある。

 未だにしたことはないけど、あたしだってしたくないなんて思わない。

 でも、いつまでもこんな話をしてても仕方ないし、少しだけいじってやろうかな。


「だーれも誘いには乗ってくれなかったね」


「それは言わないで」


 急に真顔になった由美がすっごく面白かった。





 あれから一ヶ月が経った。

 クラスのグループも大体決まってきて馴染みだしたそんな時のこと。


「おい、相沢。現文が眠いのは分かるがいびきをかくな」


「はいっ!?」


 クスクスと笑い声が教室のあちこちからした。

 最近のお決まりになってきたパターン。クラスのお調子者の相沢君が寝てるのを二階堂先生が起こす。

 そんな何気ないやり取りだけど、何故だかいつもみんな笑ってしまう。

 

「ついでに今度は17ページの五段落目から俺がよしと言うまで読め」


「よしと言うまで!?」


 二階堂先生の無茶振りに相沢君がオーバーリアクションするからだよね、うん。

 高校生活は思っていた以上に楽しい。

 部活もすごくやりがいがあって、人間関係だって悪くない。

 入学式の日のぎくしゃくも嘘みたい。

 順風満帆、まさにそんな感じ。

 でも、やっぱり何かが物足りない。

 欠けたピースが一つだけあるみたいで少しモヤモヤする。


「おい、相沢。もう一周だ」


「えっ!?」


「嘘だ、もういいぞ」


 まぁ、いいかな。

 楽しいし。





 

 

読んで下さりありがとうございました。

キャラクター

雛沢美咲

今作の視点担当、ちょっと引っ込み思案な女の子でかわいい系な感じ

木崎由美

美咲の友人

相沢君

バスケ部(ゆえに二階堂が他の生徒よりもよく絡む。相沢君は気にしてない)


次は普通のストーカーのお話でその後にこの話の続編行きます。

ちなみにこの作品のメインヒロインに当たる藍彩十和はクールな美人系な見た目です

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