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竜として異世界に転ず  作者: 暁悠
第1章 双竜胎動編
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第11話 急襲

 無事に冒険者登録を終えた俺達は、早速依頼(クエスト)に挑戦してみる事にした。

 とは言っても、俺達のランクは上からS+、A、B……。適正ランクの依頼は、かなり高度なものになりそうだ。

 説明しておくと、適正ランクではない……自分のランクよりも下級のクエストをクリアすると、報酬は通常よりも安くなる。ちなみに、報酬は金銭。

 なので、普通に金銭を稼ごうとするならば、自分と同じランクのクエストに挑むのが一番いい。自分よりも上のランクのクエストに挑戦すれば報酬は増えるが……ルディアの〝S+〟が最大ランクなので、それ以前の問題であった。

 なので、俺達が挑めるのは最大でSランクの依頼となる。


「どうする? ボクはさ、この〝炎の谷〟の龍族(ドラゴン)討伐依頼がいいんだけど」

「実力的にも申し分ないよなー。でも、絶対ルディア単騎で瞬殺出来るだろ?」

「まあね」

「申し分ない……でしょうか……。私は、そうは思いませんけど……」


 そりゃそうだ。俺は竜で、ルディアは不明。しかし、トリステスさんは人間なのだから。スペックからして違うので、ここはどうしようもない。


「俺達が守るんで──」

「ああ、共同でクリアする場合は、パーティを編成するのも手ですよ」


 アデルさんから、そう言われた。

 パーティ……ゲームなんかでよくあるアレか。


「俺達三人で組むとして……名前はどうしよう?」

「名前?」

「ああ。パーティ組むってンなら、カッコイイ名前は必須だろ?」

「確かにね」


 まず、リーダーは誰にするのか?

 これは、俺になった。

 ……。


「絶対めんどくさい役目押し付けただけだろうがッ!!」

「そんな事ありませんよ」

「うん、そんな事ないよ」


 信じられるかっての!!

 前世にもあったよ、こんな事! 完っ全に班のリーダーを押し付け合うアレじゃねーか!!


「信じられるわけねーだろ!」

「だって、考えてみてください。ルディアさんは得体が知れないし」

「え?」

「私は貴方より弱い。適任者は貴方しかいないと思いませんか?」


 ぐぬぬ、もっともらしい事を……。

 まあ、確かにそうだな。ルディアに任せたら凄い事になりそうだ。

 常識人という面ではトリステスさんの方が適任なのでは……? とも思ったが、トリステスさんは実力重視だそうで……結局、リーダーは俺になった。


「いやあ、助かるよ」

「ええ、とても助かりますわ」


 絶対面倒な役目を押し付けただけだな。ずっと根に持ってやる。

 で、肝心なのはパーティの名前だな。

 うーん……あっ。


「割とノリと勢いだが……〝(りゅう)(せい)〟なんてどうだ?」


 俺がリーダーなので〝竜〟と付けて、それに加えて〝流星〟……つまり、流れ星。ちょっとお洒落な名前にしてみた。


「〝(りゅう)(せい)〟……いいですわね!」

「うん、ボクも異論ないよ」


 決まりだな。


「アヴラージュさん、ルディアさん、トリステスさん……三名で、冒険者チーム〝(りゅう)(せい)〟の結成ですね!」


 アデルさんの確認に、全員で答える。

 トリステスさん、俺、ルディア……。この三人で、今後は行動する事になる。



   ◇◇◇



 ドラゴン討伐の依頼を受理してもらい、俺達は早速〝炎の谷〟に向かう。

〝炎の谷〟とは、俺達が行き着いたアグニル王国と、実質的な隣国であるヴァルネリ王国の間にある小国群……との間にある、灼熱の谷。らしい。


「〝炎の谷〟はさ、人間が入ると溶けちゃうから、ボクとアヴで行くよ」


 ルディアから、そう説明された。

 って──


「えええええ……そんなおっかない場所に行くのかよ?」

「もちろん! そうじゃなきゃ楽しくないだろう?」


 楽しさ云々じゃないと思うんだけどなあ、こういうのって……。


「あ、それならご心配なく」


 え?

 聞くと、トリステスさんはルディアの魔法講義もあって、魔法が超得意になっているのだとか。元素魔法の中に、各属性の防御魔法──今回で言えば〝水の防護幕(ウォーターヴェール)〟という魔法があるので、炎の谷の熱量ならば耐えられる、と。


「いらぬ心配だったかな」


 教えた本人のルディアが、一瞬だけニヤリと嗤った。

 コイツ、さては最初から仕組んでたな……?


「お前、ワルだな」

「ふふふ、それほどでも?」


 褒めてねーよ!


「さ、魔法の準備を。そろそろ到着だよ」


 話しながらとはいえ、かなり長い距離を歩いている。もうそろそろかなと俺も思っていたのだが、やはりそうだったみたいだ。


 ……。

 目の前には、見るからにメラメラと燃え盛る炎に包まれた道。

 谷というには道が広い……のだが、ルディアによると〝炎に包まれた様〟から〝渓谷(たに)〟を連想したのだそうだ。

 まあ、そう思うのもわからなくはない。確かに、一目見ると炎の谷のようにも見える。

 そして──


「あれか……」

「ふぅん、上級龍族(アークドラゴン)か。あんまり楽しめそうにないね」


 道中に、横たわる巨大な獣の影。

 間違いない。依頼にあった龍族(ドラゴン)だ。


「ここにいるんだし、属性は〝火〟……さしづめ〝炎熱竜(ファイアドラゴン)〟ってところかな」


 ファイアドラゴンね……そのままだな。


「ふむ……相性的にも申し分なし。アヴ、ここで『形態変化(フォームチェンジ)』の練習をしたら?」

「おいおい!? 無茶言うなよ! 相手は龍だぞ!?」

「キミだってそうだろう? いい機会じゃないか」


 ぐぬぬ……まあ、練習しておくに越した事はないが……。

 あーもうっ! ええい、ままよ!


「やってやろうじゃねーか。精々──」


 その時、俺の背筋に悪寒が走る。

 俺の本能が告げている。


「──っく」

「ひゃはは♪ あれぇ? そこの奴だけ殺すつもりだったのに!」


 目の前にはルディア。

 黄金の輝きを持った(さん)()(けん)で、その目の前に立つ青年の鈍く輝く爪を受け止めている。


「……キミ、母さん(・・・)とどんな関係だい?」

「ひゃは? それを言う必要が?」


 何か問答をしている……?

 母さん?

 関係?

 いや、今は──


翠風韋駄天(ブレードゲイル)!!」


 俺が行使するのは、風属性の最上級精霊魔法。

 続けて──


獄炎霊熱覇(インフェルノフレイム)!」


 一番扱い慣れている、火属性の最上級精霊魔法。


「おぉっと! ひゃはは、やるねぇ、キミ」

「ボクの質問に答えなよッ!」

「答える義理はないよ!」


 ルディアが、その手に持つ(さん)()(けん)で謎の青年に斬りかかる。それを、青年は鈍く輝く爪で応戦。

 見るだけでわかる。俺に介在する余地はない。

 超絶技巧の応酬が、その場で繰り広げられている。

 俺に出来る事は──


「トリステスさん、離れ──」

「おっと、させないよ?」

「えっ──」


 俺の眼前に、あの青年が現れる。

 何だ? 急に……現れた?

 いや、それより! コイツ──俺の事を殺す気だ……。

 俺が感知出来た魔子が、青年の爪先に収束していく。

 何か来る。

 どう避ける?

 避けられる?

 どうすれば──


「ひゃはは♪ 死ねェ──っ!」


 ダメだ、死ぬ──


「──うぐぁっ!!」

「──は?」


 俺の目の前には、くすんだ桃色の髪を真っ赤に染めた美女──


「トリステスさんッ!!」


 トリステスさんが、俺を守るように、青年の前に──立ち塞がっていた。

 少し短いかもしれません。

 これ以上伸ばすと、どうしてもキリが悪くなってしまうので……。すみません。

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― 新着の感想 ―
読み直していて気付きましたが、三人のパーティーなはずなのにアヴが名前を決める時に四人と発言していますよ!手が空いた時にでも直しておくといいかもです
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