「能ある鷹は爪を隠す」って言いますけど、私もとびっきりの爪を隠し持っていました。すいません、お父様。おかげで義兄と継母、そしてお屋敷はメチャクチャになっちゃいましたけどね。
ある春の一日が、終わろうとした夜ーー。
私、フレア・ドンミス伯爵令嬢は、ベッドの上で寝そべっていた。
私はあまり頑強な身体ではないから、よく寝転がっている。
それでも、ここ最近は、精神を集中して、自室で個人的に訓練をしていた。
気を練って、人差し指の先っぽに小さな明かりを灯す。
(やっぱり、なかなか難しいわね……)
使う魔力が小さければ小さいほど、それだけ制御が難しい。
まだまだ鍛錬が足りない、と痛感する。
私、フレアは、このエリア王国では珍しい魔力持ちである。
とはいえ、いまだ魔法を存分に使った経験はない。
それも仕方がない。
このエリア王国では工学技術が発展しているため、魔法技術の研究が周辺諸国よりも遅れており、いまだ組織的な魔法習得法が確立していない。
私は独学で、地道に使える魔法を増やしていくしかなかった。
やれやれ、と思っていると、ノックの音がする。
私の部屋に、侍女が入ってきて、お父様の言葉を伝えにきた。
「フレアお嬢様、旦那様が『鍛錬室に来い』とおっしゃっておられます。
しかも、『今回の呼び出しは剣術稽古ではないから、体調がどうあれ、絶対に部屋から出て来い』と」
はあ、と私は溜息をつく。
また、無駄に説教を聞かされるのか、とウンザリした。
◇◇◇
私、フレアは、ドンミス伯爵家のひとりっ子の令嬢である。
幼い頃に実母を亡くしたが、お母様が残した穏やかな気風は、屋敷で仕える使用人たちに伝わっており、私は侍女と執事に傅かれながら、ゆったりと過ごしてきた。
だが、それは幼い頃までだった。
ドンミス伯爵家は代々、騎士団長を担い、二百名以上の王国騎士団を率いてきた。
私の家は、武門の誉高い家系だったのだ。
だから、お父様は私が女の子であることに、とても落胆していた。
いまだかつて、騎士団長に女性が就任したことはなかったからだ。
それでもお父様は、我が子に騎士団長を継がせる夢を諦めることができず、
「女性が騎士となることは、認められている。
フレアが立派な騎士として育てば、女であってもーー」
と言って、私を鍛えようとした。
が、私は普通の貴族令嬢よりも華奢な身体をしていた。
銀色の髪に、蒼い瞳、そして透き通るような白い肌ーー。
お母様譲りのその容姿を、私自身は「可憐で美しい」と自負している。
だが、お父様に言わせれば、「貧弱で使い物にならない体格」ということになる。
十歳のとき、私はお父様から、
「腕立て一日千回だって言ってるだろ!」
と叱られたものだが、すぐに筋肉痛で動けなくなり、
「無理です。お父様……」
と音をあげた。
その日以来、お父様は、私に期待をかけるのを断念したようだった。
それでもお父様は、我が子にドンミス伯爵家の家督を継がせ、騎士団長を担ってもらい、「伝統」を存続させたいと強く願っていた。
私にお婿さんを取らせて、騎士団長になってもらう方法もあったが、最低、十年は家で鍛えて騎士団長に育てないと気が済まないようで、お父様にとっては、「お婿さん」ではとても「我が子」とは呼べなかった。
その結果、私が十三歳になったとき、お父様は我が家に養子を迎え入れた。
特に目をかけていた若い騎士見習いがいて、騎士爵の父親を亡くしていたので、その母親もろともドンミス伯爵家に招き入れたのである。
その騎士見習いバームは、金髪に碧色の瞳をした偉丈夫で、十四歳だった。
つまり、私にとって、いきなり継母と、一つ年上の義兄ができたことになる。
実際、お父様は「息子」が出来たことが相当嬉しいようで、その日以来、義兄バームにかかり切りになって、鍛錬室で稽古を付け、騎士としての振る舞いを教え、連れ立って騎士団本部に出勤するようになった。
おかげで私、フレアは、朝から、継母ベレスとともに過ごす時間が増えていった。
が、彼女、ベレスと私は折り合いが悪く、騎士爵家の未亡人だからか気が強く、私に対して、
「あら、フレアお嬢様。
騎士団長様のご息女なのに、剣も振るえないのですか?」
と、扇子を広げて馬鹿にする。
本人も特に剣技を習ったわけでもないのに。
それだけではない。
亡き母の部屋を占拠し、勝手に調度品を捨て去り、自分好みの派手な家具を運び入れ、大幅な模様替えをする。
私が不在のときに勝手に部屋に押し入り、実母から遺された衣服を「こんな小さな服はもう着れないわよね」と言って、勝手に捨てる。
そのくせ、母譲りの宝飾品は奪い取って、自分の耳や指にゴテゴテ飾り付ける。
次々と、実母との想い出が壊されていくようで、私が悲しんでいるのを、継母は承知で、見せつけるようにして母の遺品を捨てたり、横取りしたりするのだ。
それでも、継母ベレスは、表向きには優しげに振る舞った。
朝食のときにはパンを取ってくれたりして、特にお父様がいるときには良い顔をする。
じつに表裏がある女性だった。
それでも、あと数年もすれば、私は他家の男性の許に嫁いで、このドンミス伯爵家から出ていって、義兄が伯爵家を相続し、ゆくゆくは騎士団長になるのだろうと思っていた。
ところが、私、フレアが十五歳となり、成人式を迎えたとき、思わぬ事件が起こった。
成人の儀式は、教会で行われる。
そこで、成人となる者に対して魔力測定が実施された。
新成人がそれぞれ大型水晶に手を置くだけ。
それだけで、大まかな魔力量が測定できるという。
大勢の新成人が水晶に手を触れるが、もちろんたいがいは無反応。
水晶は相変わらずガラス玉のごとく鈍い色のままだった。
それもそのはず。
魔力を持つ人物は一万人に一人と言われている。
だから、成人式の最後を飾る魔力測定は、ほとんど形式だけの儀式と化していた。
が、私、フレアが手を置いたら、水晶が青白く光り輝いたのである。
突然の出来事に、周囲にいる人々が、おおっ! と声をあげた。
だが、教会にいる誰よりも大きな歓声をあげ、手を叩いたのは、その魔力測定の大型水晶を管理する役人たちだった。
役人連中の後ろから、豪華に装飾された衣服をまとう、一人の若い男性が進み出てきた。
そして、私の手を握り、ブンブン振り回す。
「おめでとう、新成人フレア・ドンミス嬢!
貴女は我がエリア王国の宝だ。
明日にでも、王宮にいらしてください。
いいですね!」
彼は水晶管理の責任者であり、エリア王国の第三王子イース・エリア様であった。
翌日、私は王宮の謁見の間に呼び出された。
玉座に座るパイラ国王陛下から、
「汝の魔力を示せ」
と言われたので、私、フレアは、体内に感じる熱の流れに従って、右手の指を一本だけ突き立てる。
すると、指先にポッと赤い炎がついた。
人生で初めて、魔法を行使した瞬間であった。
謁見の間には、大勢の貴族男性が列席していたが、露骨に落胆する空気が流れた。
「なんだ、これだけか?」
「これでは、煙草に火をつけるのがせいぜいではないか」
「もっと魔力があると聞いていたがーー」
などと、口々にささやきあう。
パイラ国王陛下も、玉座から身を乗り出しながら、
「まだ、この程度の魔法しか使えないのか?」
と問いかけてこられたので、私は正直に、
「はい。初めて魔法を使ってみました」
と答えた。
わずかな魔力による炎しか目にできず、パイラ王も残念な表情を隠しきれていない。
それでも、気を取り直すように、明るい声をあげた。
「仕方あるまい。
今の我が国では、たとえフレア嬢がこれ以上の炎を出せたとしても、導くことができる魔法使いがおらぬ。
しばらくは様子見じゃな。
それにしても、さすがはサワーの娘じゃ。
血は争えぬな」
このとき、国王陛下によって初めて知らされたのだが、私の実母サワーの家系は、祖母の代まで魔法が使えたそうだ。
だが、母の父も、母のサワー自身も、魔法が発現することがないまま、父であるダン・ドンミス伯爵家の許に嫁いだという。
そうした話をしているうちに、上機嫌になられた陛下は、いきなり宣言した。
「幸い、ドンミス伯爵家は武勇の家柄。
フレア嬢はその家の一人娘ゆえ、そのまま家督を相続するが良い。
いずれは魔法で火を操れる騎士団長が誕生するやもしれぬ。
楽しみなことだ」
このパイラ国王陛下による宣言は、強烈な雷のごとく、ドンミス伯爵家の面々に衝撃を与えた。
これにより、ドンミス伯爵家の家督を継ぐのは私、フレアだと、王家で認定されてしまったからだ。
王家の事情もわからぬではない。
ただでさえ魔法使いが稀少な現状にあって、代々騎士団長を担う武勇の名門から、その人材が輩出されたのだ。
喜んで、その者に家督を継がせたいと思うだろう。
とはいえ、その人材は体力的には非力な女性であり、しかも、現状、指先に小さな火を灯した実績しかない。
ゆくゆくは家督を継がせようと、ダン・ドンミス伯爵が、バームを養子に迎え入れたことを、王家の者は知らなかった(もしくは知っていたとしても、まるで重要視していなかった)のだ。
ダン・ドンミス伯爵は、王家に軽く見られたとして憤慨する。
そして、娘フレアについても邪推してしまった。
(あやつ、ドンミス家の家督をバームに渡したくないがために王家に媚びを売りおったな!)
この邪推が底流にあったがために、フレアは実の父から酷い扱いを受けることになる。
が、表向きには、そうした思いは見せず、ダン・ドンミス伯爵はあくまで生粋の騎士団長として、不満を鳴らした。
「俺は騎士団長として、魔法なんぞ、認めない。
いくら娘に魔力があろうと、家督は譲らん!」
ダン伯爵は、騎士団長を、単なるお飾りの名誉職とは思っていない。
長年に渡り、エリア王国を守護してきた、重要な軍事力を担う職務と信じていた。
だから、我が家に帰ってきた娘に対し、より厳しく当たり、長らく音沙汰なかった剣術稽古が再開してしまった。
「筋肉は裏切らない。鍛えろ。
我が家は代々、騎士団長を担う者の家だ!」
素振り千回、腕立て千回が復活する。
そして、王都にある魔術学校にも、フレアは通わせてもらえなかった。
王家は、フレアが魔術学校に入学することを積極的に勧めてきたが、
「フレア本人が、行きたがっていない。
親としても勧められぬ」
と嘘をついてまで、突っぱねた。
「剣技は鍛錬により上達する。
それに比して、魔法は才能によるもので、上達は見込めない。
従って、学ぶ必要などないのだ!」
ーーというのが、お父様の持論であった。
日が経つにつれ、お父様による風当たりが強くなり、成人式以降、私、フレアは連日の剣術稽古でボロ雑巾のように成り果て、結局、ベッドで寝込むようになってしまった。
「やはり、駄目だな、フレアは!」
と、お父様、ダン伯爵は嬉しそうに語り、そうした旦那様の態度に感化され、後妻ベレスも息子バームにけしかける。
「ボサッとしてないで、あの小娘を懲らしめてあげなさい。
誰が伯爵家の家督に相応しいか、力で教えてやるのよ!」
結果、私、フレアに対する、義兄バームによる嫌がらせが始まった。
模範試合と称しては剣術稽古の相手をさせられ、刃引きの剣で、ボコボコにメッタ打ちされる。
それだけではない。
屋敷の廊下ですれ違い際に、お腹にパンチを入れられる。
胃液を吐いてうずくまるのを、お構いなしに蹴り上げられる。
執事や侍女に止められるまで、虐待がエスカレートしていった。
義兄バームは、得意げに鼻を鳴らす。
「なんだ、こんなシゴキ、騎士団じゃ当たり前だぞ。
この程度の可愛がりで音をあげやがって。
ちょっと魔法が使えるからって、イキがってるんじゃねーぞ!」
私、フレアの前に立ちはだかり、義兄は「壁ドン」をする。
パンチする力が強いあまり、壁に穴が開いた。
それほどの衝撃に、私は反射的に全身をビクッとさせる。
そんな義妹の様子を見て、バームはせせら笑う。
「なんだよ、ビビってやがるぜ」と。
壁際にあって、至近距離で、互いに見詰め合う。
生傷が絶えない義妹の身体を眺め、義兄バームは舌舐めずりをする。
私の身体に視線を這わせながら、気味の悪い声を出す。
「ほほう、こうして近くで見ると、なかなか良い身体してるじゃねえか。
こりゃあ、護身術の一つぐらいできんでは、危ないなぁ。
どれ。お義兄ちゃんが、手取り足取り教えてやろう」
義兄バームは、義妹フレアの胸や下半身に手を伸ばしてくる。
無骨な指で、まさぐってくる。
「やめてください!」
私、フレアは、指先にポッと火をつけ、義兄の手に触れる。
「熱ッ!?」
バームは、慌てて手を引っ込める。
そして右手の手首を左手で押さえながら、顔を真っ赤にして怒った。
「俺様の大切な腕に、なんてことするんだ。
騎士にとって、腕は生命なんだぞ!」
「そんなこと、知りません!」
私、フレアは駆け去って自室へと飛び込み、鍵を閉めた。
◇◇◇
そしてその日、ある春の一日が、終わろうとした夜ーー。
ノックとともに、私、フレアの部屋に、侍女ラミスが入ってきた。
黒髪に黒い瞳をした、長身の女性だ。
「フレアお嬢様、旦那様が『鍛錬室に来い』とおっしゃっておられます。
しかも、『今回の呼び出しは剣術稽古ではないから、体調がどうあれ、絶対に部屋から出て来い』と」
私は枕に顔を埋めて、考える。
「剣術稽古ではない」ということは、ありがたい(もちろん嫌味)「説教」を喰らうのだろう。
どんな説教をされるのかしら?
改めて、「騎士のあるべき精神」とやらを説かれるのだろうか?
ったく、陛下が「ドンミス家の家督相続をフレアに」っておおせになったばっかりに、風当たりがキツくなって、ウンザリする。
「行きたくないんですけど」
「ごもっともです。ですが……」
侍女が言い淀むさまを見て、私は溜息をついた。
お父様は言い出したら聞かない性格だ。
娘の私が呼び出しに応じないとなれば、侍女のラミスが折檻される。
「わかったわ。行きましょう」
「ありがとうございます、フレア様。
ですが、お気をつけください。
あの親子が、コソコソと何やら小細工をしております」
「あの親子」とは、継母ベレスと義兄バームのこと。
長年仕える侍女や執事にとって、後妻親子はあくまで「お客様」扱いで、「ドンミス伯爵家の主人家族」とは認められてはいない。
私は黙ってうなずき、髪型を少し整えた後、自室をあとにした。
私の部屋は二階にあり、お父様に呼び出された場所は一階にある。
下へと延びる階段の入口に、老執事サインが立っていた。
「フレアお嬢様、こちらへ。
旦那様から、鍛錬室まで、私がお連れいたしますよう言いつけられました」
彼、サインは子爵家出身で、長くドンミス伯爵家に仕えている白髪の老紳士だ。
お父様を子供の頃から面倒を見ている忠義者でもある。
けれども、節度ある振る舞いを尊び、おまけに私には優しい。
私が幼い頃から目にかけてくれていて、それをお父様も承知しているから、私が逃げ出さないよう、引率役として寄越してきたのだろう。
「ご苦労様。
わざわざ貴方を寄越したということは、よほどの用件があるのでしょうね」
老執事はニッコリと微笑む。
「例の親子が絡んでおりますゆえ。
ですが、ご安心ください。
私ども、お屋敷に仕える者たちは、お嬢様の味方です。
旦那様から、何を言われましても、毅然とお振舞いください」
振り向くと、後ろに付いてきている侍女ラミスも黙ってうなずいている。
私は身を翻し、胸を張って階段を降り始めた。
私、フレア・ドンミス伯爵令嬢は、お屋敷の一階に設置された剣術鍛錬室へと、お父様に呼び出された。
お屋敷の一階部分は天井が高く、普通の館の二階分の高さを誇る。
鍛錬室はその一階、廊下を進んだ奥にあった。
普段からお父様はここで鍛錬を行い、時折、部下の騎士団員を招き入れては、剣術による模擬戦を開催していた。
壁には、甲冑や、刀剣などの武器が整然と並べられており、その壁は、普通の部屋の二倍は分厚くなっている。
中央に円形の舞台ーー剣術の決闘場があった。
お父様が中央舞台、決闘場の上で、腕を組んで仁王立ちしている。
そして、大型の剣が床に突き刺してあった。
王家から下賜された自慢の宝剣だ。
「フレア。こちらへ来なさい」
お父様が、仏頂面で低い声を出す。
(あ、不機嫌な時の声だ……)
文字通りの「伝家の宝刀」まで持ち出している。
これはお説教を喰らうこと確実だ。
お父様が顎を突き出し、私を非難がましい目で見下ろす。
「腕力で勝てないからって、卑怯な手を使うのは感心せんな」
対する私は、舞台の上で小首をかしげる。
「なんのことでしょう?」
舞台の下には、義兄バームと継母ベレスがいた。
義兄が私に向かって指をさし、大声をあげる。
「ケチな魔法で、コソコソ火遊びしやがって!」
次いで、継母が、
「旦那様。これをご覧くださいな!」
と、哀れっぽい声をあげる。
見ると、継母ご自慢の茶色髪の先っぽが、ちょっと焦げている。
さらに彼女は、お気に入りの黄色いドレスを広げて見せる。
その服の裾にも焦げ目があった。
加えて、携えていた袋から、黒い燃え滓となった紙を何枚も取り出す。
継母によると、これらは、再婚前の彼女がお父様からいただいたラブレターだそうで、これらが私によって燃やされたのだという。
継母は、太った身体を大袈裟に震わせる。
「ああ、フレアさん。
お人形さんのような綺麗なお顔をして、こんな表裏あるお方だとは思わなかった。
私、怖いわ。
ドレスや髪は、まだ我慢できる。
ドレスはまた新しくあつらえれば良いし、髪の毛も伸びてきます。
でも、取り返しのつかないものもある。
私の大切なーー旦那様からのお手紙を、よくも焼いてくれたわね!
継母として、もうこれ以上、一緒に暮らせないわ!」
義理の兄バームも、一本の黒ずんだ剣と、端っこが焼けた書物を手に訴える。
「お父様からいただいた大切な剣ーーその柄を焼かれました。
さらに、この剣術指南書まで燃やされたんです!
フレアが魔法を使って、姑息なイタズラをしたのです。
これが証拠です!」
口では私を弾劾しているが、義兄の顔は弛緩し、ニヤニヤしている。
誰が見ても嘘をついて、私に濡れ衣を着せようとしていることが丸わかりだ。
「私、そんなことしてません」
私は背筋を伸ばして答える。
すると、お父様は宝剣を床から引き抜き、刃を輝かせながら大声をあげる。
「この宝剣に誓えるか!」
「はい」
「証拠がある、おまえに燃やされた、と皆が言っているぞ!」
「皆とは誰のことでしょう?
継母と義兄ーー今現在、被害を訴え出た二人だけではありませんか。
実際、そんなものでは、火をつけたのが私だという証拠にはなりません。
おおかた、ご自身で火をお付けになったのでしょう。
私に濡れ衣を着せるために」
私は目の前にいるお父様を見据えたまま、顎をしゃくる。
今度は、侍女ラミスと執事サインが歩み出る。
そして、マッチの燃え滓と、大きなロウソクを取り出した。
お辞儀をしてから、二人は淡々と述べる。
「本来、マッチは火をつけるため竈門の脇に置かれ、大きなロウソクは夜に明かりを灯すために廊下の要所要所に配置されております。
ところが、こちらの侍女によりますと、これらが普段とは異なる場所に放置されておりました」
「こちらの品々はいずれも、ベレス様、そしてバーム様のお部屋にございました。
加えて、火付けをした痕跡がテーブルや机にしっかりと残っておりましたことを証言いたします」
執事と侍女の言葉を耳にして、慌てたように、義兄と継母が言い募る。
「貴様ら、勝手に部屋に入ったのか!」
「使用人の分際で、なんてこと!」
侍女ラミスも、執事サインも、澄まし顔だ。
「あまりに、お部屋が汚くて、つい」
「私どもは使用人ゆえ、お部屋に入って掃除をしたのです。
それが何か?」
親子は顔を真っ赤にする。
ベレスが金切り声を張り上げた。
「使用人を味方につけて、私たちを貶めようとしてるのですわ!
フレアさんは、魔法が使えるからって、弱い者いじめをしてるのよ!
この前、猫の尻尾を焼いてるのを見たわ。
猫ちゃん、可哀想!」
どこの猫だよ? とツッコミを入れたい。
継母による無茶な言い分に、息子がフォローを入れる。
「私は火傷を負わされたんですよ、義父上!
ほら、これを見てください!」
今日、私の身体をまさぐった失礼な右手を、得意げに見せびらかす。
手首のあたりに、ちょっとだけ赤く腫れた火傷痕があった。
でも、それだけ。
戦場を駆ける騎士ならば、この程度の火傷など、怪我にも当たらない。
なんてセコイ小細工だろう。
私は落胆にも似た虚脱感を味わっていた。
陰謀にも当たらない。
連日、繰り返してきた嫌がらせの延長に過ぎない。
これで家督を奪えると思っているのだから、度し難い。
そう思っていた。
が、お父様は思わぬ発言をした。
「なんて強情な娘なんだ。
『ベレスとバームを家族として迎え入れよ』とあれほど申し付けたのに、裏でコソコソと嫌がらせをするとは。
あまつさえ、反省するどころか、使用人まで巻き込んで言い訳するとは思わなかった。
フレア!
俺は、そんな歪んだ性格の娘に育てた覚えはない。
やはり、鍛錬されない精神は、性根が腐るとみえる。
身体が弱いからと、甘やかし過ぎたようだ」
お父様は腕を組み、大真面目に怒っている。
娘である私の主張にも、長年仕えてきた執事たちの証言にも、まるで耳を貸さない。
あの親子が捏造した、安っぽい「証拠」を信じている。
ようやく、私は思い知った。
お父様の、魔法に対する深い妬みを。
お父様は、魔法なんか手品の類いだと侮蔑していた。
それなのに、自分が仕える肝心の王家が、魔法使いの獲得を強く望んでいる。
そのことによって、剣技で仕える騎士団が軽視される結果を招くと思い込んでいた。
だから、自分の娘が魔法を使うことが、気に入らない。
それぐらいだったら、身体が弱い、無能な娘のままでいてくれた方が可愛かったのだ。
お父様は、あの親子の言い分を「信じた」のではない。
「信じたかった」のだ。
「そこへ直れ。歯を食いしばれ。この出来損ないが!」
お父様は大きな手を振り上げて、バシン、バシン! と私の両頬を打つ。
往復ビンタをした。
強い衝撃で、私の唇は切れて、血が滴り落ちる。
さすがに、納得がいかない。
我慢の限界だ。
私はキッとお父様を睨みつけた。
「お父様まで、私を信じてくださらないなんて。
私はお父様のために、ずっと耐えてきましたのに!」
おとなしかった娘が、涙を流し、初めて怒りを露わにした。
その娘の涙を見て、父親であるダン伯爵も少し怯んだ。
薄々、後妻とその息子が仕組んだことだと、彼にも想像はついていた。
それでも、後には退けない状況になっていた。
「文句があるなら、ドンミス伯爵家の次期当主に相応しい武勇を見せてみろ!
所詮、魔法が使えるといっても、小さな火の玉を出せる程度では、騎士の剣の一振りで打ち消される。
だから、火付けのような嫌がらせしかできんのだ。
おまえでは弱すぎる。
だから、我がドンミス伯爵家の家督はーー」
お父様の宣告が終わり切らないうちに、
「へへへ!」
と、義兄バームがいやらしい目付きで、私の身体に掴みかかろうとする。
明らかに彼の視線は、私の胸や股間に向かっていた。
私は思わず笑ってしまった。
ああ、ここまで下衆ならば、却って気が楽になる。
どうなろうと、罪悪感を持たないで済む。
私は思い切り、義兄の手を払い除けた。
ボッ!
と、空気が熱せられる音がする。
次の瞬間には、真っ赤な炎に包まれた人間の手が、宙を舞っていた。
義兄の利き腕である右手を、吹っ飛ばしたのだ。
「ギャアアアア!
う、腕がーー俺の大切な腕がぁ!」
義兄バームは、左手で、失った右手の切断面を覆いながら、悲鳴をあげる。
あまりの激痛に、うずくまる義兄を、私は冷然と見下ろす。
「あらあら、お可哀想に。
私が手で払っただけで、大切な右腕、なくなっちゃったわね。
これでも、私、弱いですか、お父様?」
次いで顔をお父様の方に向けると、彼は両目を見開き、全身を小刻みに震わせていた。
「お、おまえ、その力ーー」
私は腰に手を当て、胸を張った。
「『能ある鷹は爪を隠す』という言葉をご存知?
空の王者である鷹は、獲物が警戒しないよう、自らの凶器である爪を隠すそうです。
つまり、実力者は、肝心なとき以外は、実力を秘めておくーーそうした知恵を表した言葉です」
そして、視線を後妻親子に向ける。
「剣の柄を燃やした?
ドレスや手紙を燃やした?
そんなチンケな火付けなんか、魔力豊富な私にできるはずがないでしょ?
私が燃やすということは、こういうことです」
ゴオオオウ!
炎が燃え盛る音とともに、今度は、私の身体全体が赤く光る。
すると、天井まで火柱が聳え立ち、天井にぶつかった炎が四方の壁伝いに降りていく。
あっという間に、壁に飾られた甲冑や刀剣が、炎に包まれていく。
「や、やめなさい、フレア!」
お父様は周囲を見回し、うわずった声をあげる。
が、今更、遅い。
今度は、お父様がいる方向へ、紫色に光った腕をバッと振り下ろす。
王様から下賜された宝剣が、瞬時に熱で溶かされる。
お父様は尻餅をついて、目を丸くしたまま、声もなく後退る。
継母は、「ひいいい!」と悲鳴をあげて、背を向け、鍛錬室から出て行こうとする。
「逃すか!」
私の髪の毛が、赤く光る。
バサッと振り払うと、周囲に火の玉が飛び出した。
そのうちの一つが、継母ベレスにぶち当たった。
ベレスは、「ぎゃああああ!」と奇声をあげて、のたうち回る。
ご自慢の茶髪が一瞬で燃え上がり、頭皮が焼けただれる。
それまで義兄は、無くした右腕の傷口に左手を当てて泣いていたが、母の悲鳴を耳にして、いきなり正気に戻ったようだ。
「き、貴様!
母上に向かって、なんてことをーー!」
そう叫びながらも、大火傷を負った母親の許ではなく、私に向かって駆け込んでくる。
残る左手で剣を握り締め、襲いかかる。
「鬱陶しい。私に触れるな!」
ボン!
もう片方の腕も吹っ飛ばす。
「があああああ!」
義兄は絶叫して、床を転げ回る。
血は出ない。
高温の炎で焼いているから、切断と同時に、傷口が塞がっているのだ。
お父様は床にへたり込んで、私を見上げている。
私は、そんなお父様を見下ろす。
「私は、常日頃から鍛錬を怠らないお父様に敬意を表し、魔法能力を今まで隠してきました。
お父様の騎士としての誇りを守ってあげようとしたんです。
私は別に、魔法使いなんかになりたくはなかった。
国王陛下がどのようにおおせになろうとも、ドンミス伯爵家の家督ですら、人柄が良ければ義兄に譲る気でいました。
ですから、本当は魔法を使えたのだけれども、隠していました。
能力を隠したまま、普通に、貴族の令嬢らしく、他所の家に嫁ぐつもりでした。
それなのにーー」
「わ、悪かった。
お、おまえこそ、武勇の誉れ高いドンミス伯爵家の後継に相応しいーー」
「伯爵家? そんなの知るか!
たった一人の娘の心にも向き合えないくせに、何が『武勇』だ」
再び、全身が燃え盛る。
巨大な青白く光った火柱が、天井を突き破る。
瞬く間に、歴史あるドンミス伯爵邸が、大炎上となった。
青白い火柱が夜闇に輝く。
その光は、王都の何処からも見ることができた。
突如、天にまで聳え立った青白い光の柱を指さし、貴族街の人々のみならず、街中の平民たちまで恐れ慄き、農村部では光る柱に向かって拝む者まで出てくるありさまとなった。
不測の事態ーーしかも、敬愛する騎士団長宅に火柱が聳え立ったことに驚き、王国騎士団は即座に屯所から消火するために出撃してきた。
だが、遅かった。
五、六十人もの騎士が消火器とともにドンミス伯爵邸に到着したときには、お屋敷の大半が吹っ飛んだ後で、大勢の使用人が庭先へと逃げ出していた。
屋敷の周囲は火の海になっていた。
騎士団員にお馴染みの鍛錬室は、天井も壁も失われ、床には見知った騎士バームが両腕を失い、口から泡を吹いて倒れ伏していた。
その横では、年配のご婦人が、黒焦げになっている。
円形の舞台上では、騎士団長ダン伯爵が、大火傷を負いながらも、呻き声をあげた。
「おお、良いところへ。
おまえたち、フ、フレアを斬れ!
娘が乱心した。
魔力が暴走して、父親である俺を殺そうとしている!」
団長の命を受け、騎士団員たちが一斉に剣を構える。
(ああ、やっぱ駄目だ、この国ーー!)
そう思って、私は腕を振り上げ、再度、炎を巻き起こそうとする。
そのときーー。
「その攻撃、待った!
双方、剣を引け!」
見知った男性が、私の前に飛び込んできた。
「我が名はイース。
このエリア王国の第三王子だ。
この場は、私が引き受けた!」
騎士たちの剣を制する王子様の姿に、正直、私、フレアは感動した。
でも、彼の背中に向け、私は拗ねた口を利く。
「『双方、剣を引け』って言われましても。
一方的に、私に剣が向けられただけですが」
王子はくるりと身を翻すと、私の両肩をガシッと掴む。
「それよりも、フレア嬢。
もしかして、この屋敷のありさまはーー?」
「私が燃やしました。それが何か?
私を投獄しますか?」
両手を握って、揃えて差し出す。
私の動きを警戒して、再び、周りを取り囲む騎士たちは身構える。
その一方で、王子は首を横に振ってから、破顔した。
「おめでとう、フレア嬢!
燃えてるさまが王宮からも見えていたよ。
とうとう秘められていた魔法能力が発現したんだね!」
感極まったのか、イース王子は、私、フレアを身体ごとギュッと抱き締める。
そのさまを見て、騎士団員たちはポカンとして警戒を解く。
ただ、ダン騎士団長ーーお父様だけが、緊張した面持ちのまま立ち上がり、熱で溶解した宝剣を目にしながら、喉を震わせる。
「イース王子ーー申し訳ございません。
先代王から下賜された宝剣が……」
王子は、「くだらんことを言うな」とばかりに、生唾を飛ばす。
「そんなの、どうでもいい。
宝剣などといっても、過ぎ去った過去のことだ。
それより、名誉なことだぞ、ダン伯爵!
貴方の娘、フレア嬢こそ、我がエリア王国の宝だ!
騎士百人分以上の価値だ。
これで魔術師団を創設できる。
龍をも殺せるほどの火炎魔法だ!」
熱っぽく語る王子の身体を両手で突き放し、私、フレアは唇を窄めた。
「王子様。
私のことを宝だと賞賛する前に、やるべきことがあるでしょう。
まず、家なき娘となった私に、居場所をお与えください」
イース王子は、私の手を握りながら、なおも身を寄せようとする。
「わかった。王宮に来い。歓迎する」
突き放そうとする私、フレアに、近づこうとする王子ーー傍目から見れば、若いカップルがイチャついているようにしか見えない。
コホン、と軽く咳払いした音が、横合いから聞こえてくる。
執事サインと侍女ラミス、そのほかの使用人、ほぼ全員が傍らに出揃っていた。
「私どもも王宮へと、ご一緒させていただけませんか」
「私たち、ドンミス伯爵邸の使用人は皆、フレアお嬢様が向かわれる所へなら、何処へでもお供いたします」
ドンミス伯爵邸に仕える使用人は皆、後妻と義兄の横暴にウンザリしていたのだ。
使用人に懐かれた女主人である私、フレアは、満面の笑みを浮かべる。
「ええ、一緒に参りましょう。よろしいですわね?」
問われた王子は、使用人たちに向かって、大きく手を広げた。
「どうぞ、どうぞ、構いませんよ。
王宮は結構、広いですからね!」
王子の指示に従い、執事と侍女たちは三台の馬車に分乗する。
そしてイース王子自身は白馬に跨り、私、フレアに手を差し伸べた。
「さあ、一緒に王宮へ!」
文字通り、「白馬の王子様」だ。
もっとも、その白馬は王子様のものじゃなく、お父様のお気に入りなんだけど。
私、フレアは導かれるまま、王子の後ろに乗った。
ブルルッと白馬は嘶く。
「おお。相当、君に懐いているようだね。良い馬だ」
「そうでしょ? ここ数年、ずっと私が世話してたのよ」
「じゃあ、この馬も一緒に王宮へ行こう。さあ、行くぞ!」
王子は脚で白馬の腹を軽く打つ。
それだけで、白馬は天を駆けるかのように走り出した。
白馬に従って、執事と侍女を乗せた馬車が後続する。
その頃になって、ようやく我に返ったように、騎士団が消火活動を始めた。
そんななか、自分の邸宅の残骸の只中でへたり込み、炎を背景に、ポツネンと独り残された、ダン・ドンミス伯爵の姿があった。
◇◇◇
後に「炎の聖女」と称される火炎魔法の使い手、フレア・エリアが誕生した際の火柱は、王都に住まうほとんどの人々が目撃することとなった。
王国史上初ともいえる大魔法使いの誕生に、エリア王国の国民は盛り上がり、翌日からお祭り騒ぎとなった。
ドンミス伯爵邸の焼失は、大魔法使いの覚醒を示す、祝福に満ちたエピソードとなった。
その結果、継母ベレスは焼死していたが、「意地悪な継母の自業自得な末路」として事故死扱いとなり、フレアの罪は問われなかった。
義兄バームは生き残ったが、大魔法使いフレアの能力発現を妨害した罪で投獄された。
さらに、彼が出所したところで両腕を失っては、騎士としての職務を全うできない。
ダン・ドンミス伯爵は家督の継がせようもなく、意気消沈するばかりであった。
ドンミス伯爵家は存続を許されたものの、先祖代々継承してきた広大なお屋敷は焼失し、伯爵は執事も侍女も不在のまま、狭い邸宅に引っ越さざるを得なかった。
そのうえ、これから養子を取ろうにも、今回の醜聞が世間に知れて、誰もドンミス伯爵家の養子になろうとはしなかった。
ダン伯爵は、実の娘から愛想を尽かされ、逆襲された、情けない父親として権威を失い、騎士団長からも退任せざるを得なくなった。
その結果、エリア王国建国以来初めて、ドンミス伯爵家以外の血筋の貴族が騎士団長に就任した。
ドンミス家は、ダン伯爵の代でお取り潰しになるだろう、と噂された。
一方、独立した侯爵に叙爵された私、フレアは、忙しい日々を送っていた。
本格的な魔術学校の新設と、魔術師団の創設ーーそのためには全国から魔法使いとなり得る人材を抜擢できるシステムを構築しなければならない。
第三王子イース・エリアと一緒に、各方面の関係部署の政府役人と相談したり、魔法が進んだ外国からの講師の受け入れなど、方々に働きかけている。
その間にも、イース王子はフレアに熱烈にプロポーズし続けていた。
もう何回振られたのか、わからないほどだ。
「なあ、良いだろう?
僕と結婚してくれよ。
一生、楽をさせてあげるよ」
「嘘でしょ、それ。
殿下は結局、私の魔法に興味があるだけでしょう?」
「そんな、ことないよ。心外だなぁ!
でも、どうせなら、見てみたいなぁ、もう一度。
あの天まで届かんばかりの、青白く光った火柱は、じつに荘厳で美しかったーー」
「ほら、やっぱり、魔法が目当てじゃないの」
「いやいや、魔法も貴女の魅力の一部に過ぎないことぐらい、わかってますよ。
だからさ、今度、デートしようよ。
郊外の湖にでも」
「嫌です。お一人で、どうぞ」
王子の求愛は、フレアによって、軽くいなされ続けている。
王子が優しく触れようとする手は、何度も振り払われていた。
だが、フレアの顔から微笑みが消えることはなく、王子の手も炎に巻かれて吹っ飛ばされることはなかった。
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