分からないことがあったら何でも聞いてね
令和七年一月十九日(日)
「分からないことがあったら何でも聞いてね」と部下に指示を出すのはNG。特に新人に言うのはNGである。てなことは昔からよく言われる。何故なら仕事の初歩段階にいる者は「何が分からないのか分からない」という状況にいるからだ。ふむふむ、みんな心当たりあるよね。
「分からないことがあったら何でも聞いてね」この一聴して親切なアドバイスにみんな騙されてきたよね。気を付けろ、新人諸君。「今夜は無礼講」と言われて無礼講だったためしがないように「何でも聞いてね」と言われて何でも聞いて良かったためしはないぞ。「そんなことも分からないの?」「前も説明したよね?」「少しは自分で考えた?」「恥ずかしい質問をするな!」「質問するタイミングを考えて!」ぬおおお、気を付けろ、新人諸君。聞かなきゃ良かったと無駄に落ち込むだけだぞ。
経験上、こちらがよほど質問しやすい環境を提供しない限り、部下は質問なんてしてこない。それなりに風通しの良い人間関係を築いていない限り、質問なんかしてくれないのよね。俺の背中を見て育てタイプの上司についた部下は、質問をすれば叱られると判断し、分からないまま一か八か仕事を進める。んで、案の定ミスをする。んで「なんで事前に質問をしなかった!」と結局叱られる。トホホ。バカ上司。部下が可哀想。
何でも聞いてと言った以上は、何でも聞いてあげましょう。何度でも聞いてあげましょう。部下が上司に質問をする時って、それなりに決意をして、みんなそれなりに緊張している。上司たるもの、何とか汲み取ってあげましょう。思わず首を傾げたくなるような質問に対してでさえ、それは相手の説明力が乏しいのか、あるいは自分の理解力が乏しいのか、先ずはフェアに判断をしましょう。同じ質問を三回したら絶対にその仕事を習得するという者がいるならば、その質問に笑顔で三回答えましょう。
新人がみずから質問をしてきたということは、要するに「何が分からないのか分からない」という状況を脱し始めたということ。疑問は理解の足掛かり。脳が実務的に動き始めた証拠。的を射た質問なら「良い質問だね」と褒めてあげるべきだし、う~んってな感じの質問に対しても寛容に答えて差し上げるべき。質問の品質を問うのは次のステップ。
ちなみに、仕事の初歩段階にいる者に「分からないことがあったら何でも聞いてね」はNG、ではどのように指示を出せばよいのかと言うと「きっと塩ビ継手の接合法で迷うと思うから、その時は声を掛けてね」「どのような手順でこの申請を進めるか事前に概略を説明してくれるかな」てな感じで具体的なアプローチをするのがベストなのだそうです。