霊が見える
全三話投稿する予定です。
また実際の人物、団体、地名とは一切関係ありません。
ある日、私の親友の恵子が死んだ。自殺......だったそうだ。
その時の私たちはまだ中学生だったが、いじめられていたとか、そう言う訳ではなかった。
恵子は誰からも好かれるようないい奴で心の強い人間でもあった。
恵子が死んだと聞いて仲の良かった私たち三人は酷く悲しんでいたのを覚えている。
そして今、二十二歳の会社員となった私の前に恵子の亡霊が現れたのだ──
ある夜、私が眠っていると突如金縛りに遭った。金縛り自体はよくなるのでストレスではあったが特に気にはならなかった。
そんな時、目の前に突如として死んだはずの恵子が現れたのだ。金縛りには驚かなかったが、死人の霊が出たとあって私は心臓が掴まれたように驚いた。
私は瞼を閉じて恵子がいなくなるのを待とうとしたが、何故か瞼を閉じても恵子の霊ははっきりと鮮明に見えた。
恵子の霊は特段何かするわけでも無く、ただ無表情に突っ立っているだけだったが、その時間は私の人生で一番恐怖に満ちた時間だった。
そして、金縛りはいつの間にか無くなり、私は動けるようになった。
しかし自分が何かして恵子が動いたりするのが怖かったので私は一切動かず、夜が明け恵子が消えるのを願った。
どのくらい時間が経ったかもわからない頃、恵子の霊は突然消えた。
私はやっと解放されたという安堵感からベットの上から飛び出してリビングの明かりをつけて縮こまった。
時計を見てみると数時間しか経っておらずまだ夜だった。
しかしその数時間はあまりにも長く早く終わってほしいとこれほどまでに切実に願った時間は無かった──
次の日の朝、私は高校の時から仲の良い『梨沙』に電話をかけた。そして2コール後、梨沙は電話に出た。
梨沙は電話が繋がるのと同時に「あなたのところにも恵子が来たの?」と叫ぶような声で尋ねて来た。
「そ、そうなの......まさか梨沙のところにも来てたの?」
私がそう尋ねると梨沙は食い気味に「そう!」と言った。
「本当に信じられない。なんで恵子の霊が......」梨沙が言った。
「私も信じられない。だけど、本当に怖かった......ねえ、どうして恵子は今さら現れたんだと思う?」私は言った。
「え? 急に、どういう言う事?」梨沙は私の発言に困惑したように尋ねた。
「だってさ、おかしいでしょ。もう恵子が死んでから八年は経った。なのに、どうして今になって恵子は現れたの?」
「それは......確かに......」
「きっとさ、恵子は何か未練があるんだよ。だからさ、私たちがその未練を解消して成仏させてあげようよ。そうじゃなきゃまた恵子の霊が出てくるかもよ」私は言った。
「え? 成仏って......まあ、わかった。でも、恵子の未練って何?」
「............もしかしたら五年前の恵子の死は自殺じゃなくて"他殺"だったとか......」
「推理ドラマの見過ぎでしょ、そんなわけ......」しかし、梨沙もまた恵子の死に引っかかることがあったのだ。
なぜなら今もなお、恵子の死の真相はわかっていないのだ。
自殺と聞かされたものの遺体を見たわけでも無いし、何より恵子が自殺するとは思えない。
もし本当に自殺だったとしても、必ずそれには裏がある。恵子はきっと事件の真相を明らかにして欲しいのだろう。
「......ねえ、梨沙。あの時仲の良かったら私たち"三人"で恵子の死の真相を明らかにしよう」
「......わかった。じゃあ、今度の日曜に三人で会おう。場所は──」
そして日曜日になり、私は今の都内にある家から地元の田舎に向かった。
私の地元は【目瞑村】と言い、田畑と山、川しかないド田舎だ。
それが嫌で私と梨沙は上京したが、もう一人の親友『愛美』は上京せず未だに品人村に残っているので今では少し疎遠になっている。
おそらく愛美も恵子の霊を見ていると私は考えている。見ていなかったとしても、私は愛美に手伝ってくれるようにお願いするつもりだ──
そして遂に品人村に着き、私は梨沙との待ち合わせ場所である『ミツメ様』の石像の近くで待っていた。
そこは周りを木々で囲まれていてジメジメとしている。そしてミツメ様の石像は壊れていて、上半分ほどなくなっていた。
それからしばらくすると梨沙がやって来た。
「美里!」と私の名前が呼ばれたので振り返ると走ってくる梨沙が見えた。
「直接会うの久しぶりだね」
「だね」
「でも、集合場所ここなんだね......」
「まあ、昔はよくここで待ち合わせしたから」
このミツメ様の石像は名前の通り三つ目がある鬼みたいなやつの像で、昔は四人でここに集まって遊んでいた。
「もう、三人になったんだね......」梨沙がぽつりと呟いた。
「......そう、だね」何も返す言葉が見つからず、少ししんみりとした空気の中私たちは愛美の実家へ向かった──
愛美の実家に着き、私たちが戸を叩こうとした時、ちょうど愛美の母親が現れて少し驚いた。
「あら、美里ちゃんに梨沙ちゃんじゃない! 久しぶりね。愛美に会いに来たの?」愛美の母は言った。
「そうなんです。愛美いますか?」
「いるわよ。入って入って」愛美の母は私たちを快く私たちを家の中に招いてくれた。
(愛美のお母さんってあんな外向的な性格だったっけ?)少し違和感を感じつつ、私と梨沙は家の中へと入った。
私たちは愛美の部屋まで案内されて扉を開けてみるとそこには愛美がいた。
しかし以前と様子がだいぶ変わっており、目の下には大きな隈、体は痩せ細りほとんど生気を感じない。
私たちが愛美に声をかけようとすると突然、「来ないで! 見ないで! 消えて!」と狂ったように叫び始めた。
「ま、愛美......?」私たちは愛美に困惑と心配が混ざったような声で話しかけた。
「え......その声、美里と梨沙......?」愛美は私たちの存在に今気づいたようでこちらを振り返ってぎこちない笑顔を見せた。
「大丈夫......? その、愛美にも恵子が見えるの?」と梨沙が聞く。
「あ、う、うん。そうだよ、二人もだったんだね」
「もしかして、さっき叫んでたのって恵子が見えてたからとか?」と私は聞いた。
「......そうなの」愛美は小さく言った。
「それっていつから?」私は問い詰めた。
「えっと......一週間くらい前から」
愛美が恵子の霊を見たのは私たちよりも早い時からだったようだ──
「ねえ、愛美。私たちに恵子が見えるようになったのはきっと恵子に未練があるからなんだよ。だから恵子の未練を解消して......」
すると愛美は私の話を遮るように叫んだ。
「......未練? そんな生やさしいものじゃ無い! これは呪いだ! それに、元はと言えばお前らのせいだ! 償え!」
その瞬間、私たちの後頭部に強い衝撃と痛みが走り私たちは倒れた。
そして気を失う前の一瞬、私たちの背後には愛美の両親がいたことに気づいた。その二人はニコニコと笑っていてとても不気味だった──
読んでいただきありがとうございます。




