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夜暮れに語る怪異奇譚  作者: たんぽぽ3号


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2/6

暗屋敷




「ーーつあ!」



突然走った痛みに目を覚ます、すると辺りは暗闇に包まれ、両脇に置かれた篝火が怪しく照らす石畳の上にいた。


体を起き上がらせると節々が痛んで涙がにじむが、動けないほどではないので骨とかは折れてなさそう。



・・・まじかよ、あんな高いところから落ちてそんな事ある?



不思議そうに全身をペタペタ触って現実逃避をしたあと、冷や汗を流しながら立ち上がる。


そっと後ろをふり向くと同じような篝火と石畳が続くだけで落ちたはずの石段も集落の景色も見当たらない、、、。



「・・・お腹痛い。」



明らかな非日常的な景色にお腹が痛くなる。

認めたくない、認めたくはないがあの蛾のような人影が何かしら関わっている気がした。


とりあえずお腹が痛いので蹲って目を瞑ってみる。

もしかしたら寝て起きたら元の場所に戻ってるかもしれないからね。



ーー2分後


ーーーーー5分後


ーーーーーーーーーー10分後



結局硬い石畳と腹痛で寝られるわけもなく薄っすらと目を開ける。

一切変わらない景色に憂鬱な気分になるが、少し気持ちは落ち着いた。



「どうしよっかな。ぶっちゃけこの先進むくらいならここで餓死してもいいけど、まだあきらめるのは早いか。」



仕方ないのでまるで誘うかのように並べられた石畳を進むことにする。

足取りは重く、定期的にしゃがみ込みながら進み続けると古い日本屋敷が見えてきた。


開かれた門はすでにボロボロでまるで熊にでも襲われたんじゃないかってくらい爪痕が刻まれている。



「あ、嫌だ、普通に入りたくない。やっぱ餓死かな? それとも向こうで山に潜って山菜でも採ろっかな。」



普通にUターンしようと思って振り返ると、そこには、、、



ーーズシャ、ズシャ、ズシャ、、、



真っ黒な服に真っ赤な複眼。

背中に6対の翅を生やした四本腕の異形な怪物がいた。

その怪物は長い白髪を引き摺りながらゆっくりと真っ赤な複眼をこちらに向けてくる。



「ーーあ、あぁ、うわぁあああああ!」



俺は死ぬほどの怖気を感じて屋敷へと走り出す。

荒れ果てた屋敷の中に靴のまま入って必死に逃げ続けた。




・・・・・。

・・・・。

・・・。



「はぁ、はぁ、はぁっ」



俺は暗くガラス片が散らばる廊下の端で倒れていた箪笥の裏に隠れる。

あまりに早い心臓の鼓動を必死に抑えようと口と胸を押さえて目を強く瞑り、小さく丸くなっていると、、、



ーーズシャ、ズシャ、ズシャ、、、



先ほど門の前で聞いた砂浜を歩いているかのような足音が聞こえてきて、心臓がキュっと引き絞られる。

ドンドンと近づいてくる足音に、聞こえてしまうんじゃないかと思うほど荒くなる息を我慢しながら気配を消した。



ーーズシャ、ズシャ、ズシャ、、、



どっか行ってくれ! そんな心の叫びが届いたのか足音は隠れている箪笥を過ぎて遠ざかっていく。


そして足音が完全に消えた瞬間、込めていた力が抜け、大きく息を吐いた。



「・・・はぁーーーーーーー。な、何とかやり過ごした、、、か、、、。」



安心して何とか簞笥の裏から這い出ようとすると、上からサラサラと砂のような何かが落ちてくる。

嫌な予感を感じながら恐る恐ると上を向くとそこには、、、



【やっと、、、み、、、みづ、、、けた、、、】



しゃがれたような声を漏らしながら天井に張り付いた白い怪物がうれしそうに笑っている。


俺は気を失いそうになったが、振り上げられた鋭い爪を見て必死に身を捩った。



ーードガンッ



振り下ろされた爪は床を突き破り、床下に肘ぐらいまで突き刺さる。

怪物はすぐに腕を引き抜こうとしたが、割れた板が返しになって腕に刺さり、不思議そうに首を傾げた。


その隙を見て俺は何とか相手の下から抜け出し走り出す。襖を蹴り破り、中庭を走って反対側へと回る。

そのまままた屋敷に入って適当な部屋に入ると床が腐っていたのかそのまま地下へと落ちた。



「いつつ、、、。」



そこは時代劇で見かけるようなカビ臭い地下牢だった。


血が溜まっている木桶に薄っぺらい布団。

簡素な物書き台に書棚と妙に生活感がある地下牢を不自然に感じていると、割れた写真立てが床に落ちていた。


それを覗くとthe大和撫子な美しい和服の少女の写真が入っている。



・・・うん、こんな異質な状況でこんなもの見たって何も思わないな、むしろ逆に怖い。



とりあえず地下牢の扉はすでに何者かにこじ開けられたように壊されている。俺は足音を消してそっと抜け出し、どうにか屋敷から抜け出せないかと敷地を徘徊した。


すると、端の方に大きな蔵を見つける。


別に何か用があったわけじゃない。でもどこか誘われるかのような変な感覚がよぎり、重い扉を何とか開けて中に入る。


重い閂を下ろして鍵を閉め、真っ暗で外の月明かりしか照らすもののない蔵の中を手探りで必死に何かないか探した。



「ーーくそっ!錆びた道具ばっかで何もないじゃないか! これじゃあまたすぐに、、、!」



ーーズドンッ!!



声を荒らげながら必死に物色していると、蔵が大きく揺れた。

殴りつけられたかのような衝撃にもう来たのかと焦りが加速する。


ドンッ!ドンッ!と扉が叩かれ続け、折れていく閂に絶望しながらどこか隠れられないかと探していると、ピタッと音が鳴り止んだ。


もしかして諦めてくれたのか?


そう思って上を向いたら小さな小窓に影が降りた気がしてそちらを見る、すると赤い複眼がこちらを覗いていて俺は恐怖で息を呑んだ。


狭い小窓を割り砕きながら怪物は蔵の中へと飛び込む。



そして俺の目の前でゆらりと立ち上がった怪物はこちらを見てにやりと笑った。



俺はそんな怪物を思いっきり睨んだ。



「何なんだ、何なんだよお前は! 俺が一体何したっていうんだよ!!なんで襲われなくっちゃならない!」



別に何か悪いことをした記憶もないしただ姿を見ただけ。それなのになんでこんな目に合わないといけないんだ。


だんだんと怒りが湧いてきて恐怖心が薄れてきた。


立て掛けてあったクワを手に持ち両手で構える。

相手は一振りで床を割り砕いてくる怪物だ。こんなので太刀打ちできる気はしないがやるしかない。



【み、みづ、、、けた、、、。】



ドガンッと勢いよく地面を蹴って迫りくる怪物の爪をなんとか避けきる。

そのままクワを相手の背中めがけて振り下ろすが、クワは簡単に折れて砕けた。



ーーくそっ、やっぱりだめじゃねえか!



振り下ろして固まった俺に相手は、虫を払うかのよう手を振り、鋭い爪に胸を深く裂かれる。

初めて見る血の量に戸惑っていると、怪物は俺の腹に蹴りを放った。


そして俺はそのまま後ろへとふっ飛ばされる。



ーーガシャンッ



「ーーげほっ、ごほっ、こはっ!」



物が収納された棚を壊しながら壁にぶつかり、床に崩れ落ちる。

胸の部分が熱く熱を持ち、視界はグラリと揺れる中、足元に広がっていく血溜まりに絶望する。



「くそっ、なんで、なんで、、、だよ、、、。」



怪物はユラリとニヤケ面のままこちらに近づいてくる。

それを最後の抵抗とばかりに睨見つけていると、ぶつかった衝撃で崩れた棚からボロい桐箱が落ちて目の前で砕けた。



・・・?



その桐箱から黒い鞘に収まった刀が転がり出てきた。赤い布に巻かれた綺麗な刀。


もはや手に持って振り抜く力すら沸かないが、怒りに任せ、必死に体に力を込めて手を伸ばそうとした。


すると耳に不思議な幻聴が届く。



【・・・なぜ手を伸ばす? その傷で動くのはつらかろう。そのまま目を瞑ったほうが楽になれるのではないか?】



その幻聴を俺は鼻で笑った。



「ーーふざ、、、けんな、、よ、、、楽になれる、、、だ? なんで、、、こんな、理不尽に、、、死ななきゃいけねえ、、、そんなの、、、認められるかよ、、、。」



俺の途切れ途切れの返答に、幻聴はどこか笑った気がした。



【カカカッ! 確かにのぉ!お前が死ぬ理由などない、ただ目をつけられて誘い込まれただけじゃ。とんでもない理不尽で災難じゃ、でも仕方ないのじゃよ、諦めよ。】



そう言い捨てた幻聴に俺の心は怒りに包まれる。

体にグッと力が入り、最後の力を振り絞って目の前の刀を掴んで立ち上がった。


瞬間、、、



ーーブワッ



黒い霧が立ち込めて辺りを包みこんだ。

白い怪物も顔を庇いながら困惑し、後ろへ下がりながら警戒する。



【とんだ覚悟じゃ、それほど死にたくないか。構わぬがこの先進めば地獄じゃぞ? まともな人生を生きることはかなわん。】


「・・・知るかよ、死んで行く場所が地獄だ。今がいくら辛くったって俺が生きてんのは現実だよ。辛い現実を進むために足を前に出すんだ。」



ズシャッと血に塗れた足を一歩前に出す。

すると持っていた刀が薄く輝き、熱を持って黒い煙が集まり始めた。



【カカカッ! よかろう、なら貴様の言う現実を切り抜けるための力をやろうか! 契約じゃ!主の血を捧げ、我と共に生きると誓え!】


「いいぜ、望むところだ。」



ーーブワッ



すると黒い霧が辺りに立ち込め、裂かれた傷口に集まり傷を塞いだ。

そしてその黒い霧は体の中に集まりだし、俺の心臓を掴むかのようにギュッと引き絞る。

潰されるような感覚に息が苦しくなる。



「ーーかっは!?」



ドクンッドクンッ!



心臓の鼓動が今まで生きてきた中で一番速くなり、一度ピタッと止まった。

そのまま崩れ落ちそうになったが、足を一歩前に出して踏ん張ると、全身が急激に熱を持って視界が赤く染まっていく。



ドクン、ドクン、、、



先ほどよりも鼓動が収まった心臓を確かめながら白い怪物を睨みつける。

怪物は突然の展開に動揺して動けないでいた。


俺は体から滲む黒い霧を纏いながら前に踏み出す。



そして抜いた刀の切っ先を白い怪物に突きつけた。



「・・・先に喧嘩を売ったのはお前だ。相手してやるよ。」



白い怪物は向けられた敵意に初めて表情を怒りに染めて大きく叫ぶ。

突っ込んできて振られた爪を俺は一歩下がって躱し、刀を振り上げて背中から生えた翅を斬りつける。



【がぁあああああ!!】



斬られた翅が粉を撒き散らしながら落ちる。

刀を引き寄せ、そのまま突き刺すが相手は空中に舞って回避した。


そして飛び込んでこようとする怪物を刀を腰に構え、迎撃しようとしたがビキッと痺れたように体が動かない。



「ーーぐっ?!」



動けなくなった俺に怪物は爪を突き込んでくる。

脇腹を貫かれ、熱いほどの激痛が走った。


痛みに脂汗が流れ、膝をついて痛みに喘ぐ。

しかし、怪物は無情にも爪を振り下ろし、俺は肩から裂かれておそらく内臓まで抉られた。



「ーーごぷっ、ぷひゅう!」



口から変な息が漏れて血が溢れる。



【まったく、このような羽虫に煩わせるな。】



ズグンッ



すると、また謎の幻聴が聞こえてきて傷口に黒い霧が集まりみるみるうちに塞がった。



【やれやれ、まだ幻聴扱いか。まぁ良い、はよ終わらせんか。】



言われた途端に黒霧が刀に集まる。

よく分からず振り払うと霧が伸びて線上にある家具を両断した。



「・・・なにこれ?」


【なぜ折角集めた黒霧を無駄にしたのじゃ!? 今の霊力じゃ集めるのになかなかに苦労するのじゃぞ!?】



・・・いや、そんな事言われても使い方とか知らないし。あとさっきより幻聴がうるさいな。



頭痛を我慢しながらまた刀を構えて今度はこちらから飛び込む。

その最中に棚を引っ掛けて怪物に向かって倒す。



【ああっ、そんな雑に扱わぬとも、、、。】



どこか悲痛な声が聞こえるのを無視して、よろめいた怪物の腕を下から斬り上げ赤い血をまき散らしながら飛ばした。



【ぎいゃあああ!?】



痛みにふらつく怪物の頭を刀で一閃。

顔の上半分がなくなり痛みにさらに吠える。


畳み掛けようと前に出ようとしたらまたビキッと体が動かなくなる。



「ーーっま、、、こぽっ?」



すると口から血が噴き出る。

視界も真っ赤に染まり血が垂れた。



「ーーなんだよ、、、これ、、、。」



鼻をこすると真っ赤に染まる。

そしてキラキラ光る砂のような鱗粉を見て察しがついた。



「毒、、、か、、、。」


【間抜けよのぉ。】



嘲笑う様に響く声に青筋を立て、一度刀を自分に突き刺した。



【ーーほっ!?】


「うっせぇ声だな、文句あるならもっと力を貸しやがれ!」



めちゃくちゃ痛いが刀を引き抜くと頭はクリアになり痛みはみるみるなくなっていく。



【無茶苦茶じゃな、、、。まぁよい、そこまで望むならもう少し上乗せしてやろう。】



呆れたような声が響くと霧がさらに集まり、ズグンッと心臓が痛んだ。まるで握りつぶされるかのような痛みに必死に耐えながら、がむしゃらに刀を振るとズガアンッ!と蔵の壁ごと吹き飛ばす。



【ふむ、この量に耐えきるか。案外素質はありそうじゃ。】



月に照らされる中、2体の怪物だけが睨み合う。

刀を脇に構え捻るように力を溜める。


相手は翅をはばたかせ全身に力を込めてギシギシっと音を鳴らす。


ドンッと飛び出した2体はすれ違うように刀と爪を振るう。こちらの刀は相手の半身を斬り飛ばし、相手の爪はこちらの胸を刺し貫いた。



「ーーし、死ぬって!」


【安心せい、格はこちらの方が上じゃ。】



すると相手は力なく倒れ、腕はそのまま引き抜かれた。言われた通りこちらの傷はまた霧が集まって塞がっていく。



「ーーはぁっ、はぁはぁはぁ、、、。」



塞がった胸を震える手で押さえる。

良かった死んでな、、、



「・・・いやなんで死んでないんだよ。」


【もはや人とは懸け離れてしまったからじゃな。】



落ち着いてくると今まで聞こえてきた幻聴が目の前で聞こえてくる。

疲れ切った顔を上げると、前に黒いワンピースをまとった少女が立っていた。



「ひゃわっ!?」


【おなごのような悲鳴をあげるのぉ。】



漆黒の黒髪を払いながら呆れたように少女は腰に手を当てた。赤く光る目は怪しさを引き立たせ、こちらの視線を引きつけてくる。



「な、なんだお前!?」


【・・・命の恩人をお前呼ばわりか。まったく礼儀がなっておらんのぉ。】



俺は驚いたように地面に腰をつけてみっともなく後退る。そんな様子に少女はさらにため息をついた。



【・・・情けない。これが私のご主人になるとは先が思いやられるのぉ。】



ご、ご主人?いったい何の話だ?


意味がわからず困惑していると少女は妖艶な笑みを浮かべてこちらに近づいてくる。

そして白く冷たい手をそっと頬に添えてきた。



【儂を望んで儂を抜いた。契約は成立じゃ、安心せい、決して儂優位になりはせぬ。】


「なにそれ、てか結局なんなの?」



俺がそう聞くと、謎の少女はそっと俺に抱きついてくる。え、なに、俺ロリコンじゃないよ?



【・・・まだわからぬか、主は一度死に、儂と同じ『鬼』と化した。もう儂と離れることは叶わん。】



そっと耳元で囁くように怖いことを言われた。

死んだ?鬼?いったい何のホラーだよ。



【かかか、まだ安いホラーだと思っとるのか。主は知らぬようじゃが儂のような怪異は常に人の日常に潜んでおる。あの白い羽虫のようにな。】



そう言って少女が離れながら振り向くと、切り離されたはずの怪物の半身が引き寄せられるようにつながっていく。



「ま、まだ倒せてないのかよ。」


【ただ斬っただけじゃからのぉ。ああいう存在を倒すにはそれなりの工夫が必要じゃ。まぁ安心せい、儂がおる。】



そう不敵に笑った少女の頭から2本の黒い角が生える。そして手に黒い霧を集めて纏わせた。


その黒い霧を白い怪物は恐ろしそうに震えながら目を細め、そして小さく呟く。



【・・・たす・・・けて。】



その言葉に俺は目を見開いて黒い霧を構えた少女の腕を掴んだ。



【わっ?! 何をする!?】


「い、いや、今助けてって。」


【阿呆が、怪異は人の感情の寄せ集め、どうすれば人の気を引けるかよく心得てるのじゃ!】



だがそう言われた白い怪物は攻撃をやめた少女と俺を襲ってこない。どこか耐えるように動きを止めて震えている。



「じゃあなんであいつは襲ってこないんだ?」


【む?確かに不自然じゃな、、、。あぁ、元となった人の意識が怪異が弱ったことにより表層に出てきたのか。だが怪異に乗っ取られた身体を動かすことは叶わん。今は動きを止めるので精一杯じゃろう。】



そう言って怪物を見下ろす少女は「よく頑張るのぉ」と気にせずまた黒い霧を集めた。

俺はそういう怪異の何かというのはよくわからない。

でも中に人がいて、そして必死に自分を抑えつけている。



「助け、、、られないのか、、、?」


【はぁ? 何を言うとる、此奴は主を殺そうとしたのじゃぞ。】


「それは怪異の話で元になった人は関係ないだろ。なら怪物に乗っ取られて、必死に抗ってるその人だって犠牲者じゃないのか?」



俺がそう言って真っ直ぐ少女を見つめると、黒い少女は「んーー」と細い指を顎に当てて、仕方ないと首を振った。



【甘々なご主人じゃ。よい、これは気まぐれじゃ、ガワだけ喰らい取ってやろう。】



少女がそう呟いて放たれた黒い霧は白い怪物を包みこむ。中から【ぎっ!?】とか苦しそうなうめき声が聞こえたが、しばらくして霧が怪物から離れるとそこには写真立てに写っていた和服を着た大和撫子な少女が倒れていた。


まぁ、少女と言っても同い年くらいに見えるけどね。



「・・・もうわけわかんねぇ。」



俺は色々片付いた予感を感じた。

すると、安心したからか視界がグラリと揺れてそのまま意識を失うのだった。



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