第15話 破滅剣ルーイナー
今日は30分ごとに4話、連続投稿します。
爆発にまきこまれて、カイの身体はかろうじて無事だった。
しかし、カイはクレーターの底にいて隣にはマグナスがいた。
カイはマグナスの容態を確認する。
「……ナッ……」
マグナスの左肩から先が見当たらなかった。
「オイッ、マグナス!? 大丈夫か!?」
カイはマグナスのそばに近寄り傷口をみる。
マグナスは先程の爆発に駆け付けカイをかばってくれたのだ。
全身を魔甲でつつむことで彼自身が一つの盾になったのだ。
不幸中の幸いか、左肩の傷口は爆発の熱で焼けただれ塞がれていたので血は流れていなかった。
「だ、大丈夫でしたか……、カイ様」
「ああ、大丈夫だ。オマエはしっかり休んでいてくれ」
激痛に顔を歪めながらもカイの安否を気にするマグナス。
苦しそうに唸るマグナスを地面にゆっくりと置いた。
すると、クレーターの斜面を滑り落ちるようにカイに近づくガレス。
「あの爆発で生きていたか。本当にしぶといなァ、貴様」
ガレスは決着がつかなかったことに苛つきを覚え始めていた。
カイは余裕の笑みを顔に貼りつける。
「オマエも今の魔法で魔力をかなり消費しただろ? 今なら、勝てそうだな」
「まだそんな軽口を叩けるとはな。味方が守ってくれたから立てているくせに」
ガレスが話している途中で、カイは詠唱を始める。
「憎しみは限界を超え、我はそれに踊り狂う」
突然のカイの詠唱にガレスは笑みを消し、槍に魔力をこめた。
「俺様も最後の奥の手を使って、貴様を殺すッ」
ガレスは槍を肩に担ぐように右手で持ちその先端をカイに向ける。
『爆炎』とは異なる投げ槍の構え。
槍には、異常なほどの魔力が集中し、黒炎が槍をつつんだ。
「《《あの方》》からもらった究極の力。敵を消し炭にしろ、『地獄の業火』ッ!!」
ガレスから槍が放たれる。
万物を貫く熱量をもった槍は大地を焦がすほどの黒炎を吐きながら一直線に突き進む。
しかし、カイは詠唱を続ける。
「敵を屠り、その憎しみを解き放とう。『破滅剣ルーイナー』ッ!」
カイの両手が紫の光につつまれ、漆黒の大剣がにぎられていた。
そして、大剣を一振りし、迫りくる黒炎を真正面からうけとめた。
カイの皮膚が熱で溶け始めたが、ここで防がなければ後ろで倒れているマグナスごとやられてしまう。
カイは『破滅剣ルーイナー』に込める力を徐々に強めていく。
「あの時の無力な俺のままじゃないッ!!!!!!」
その瞬間、槍がまとっていた魔力が完全に《《消滅した》》。
黒炎が消え去り、弾かれた槍は宙を舞い、ガレスの足元に突き刺さる。
信じられない出来事に、ガレスは槍を手に取ることすらできず固まっている。
「はあ、はあ、……ッつ!?」
カイは火傷した両腕を見つめる。
今ので両手の皮膚が剣の柄にはりついてしまった。
しかし、その激痛に耐え一歩を踏み出した。
ガレスの余裕は今度こそ消え去った。
「……何なんだ、……何者だ、貴様はアアアアァァァァァァッッっ!?」
我に返ったガレスは槍をつかみとりカイに向かっていく。
ガレスの魔力は『地獄の業火』でなくなっていた。
しかし、カイにも限界は来ていた。
(もう腕が上がらないか……)
ガレスの槍を防げるだけの力も残っていなかった。
しかし、ガレスの突き出す槍は鋭くなかった。
カイはそれを見逃さず、身体を横にずらし槍が左脇をかすめる。
「死に損ないのくせに、なんて力だッ!?」
カイは柄にはりついた左手を無理矢理剣からはがし、ガレスの右腕を掴む。
カイは『破滅剣ルーイナー』の握られた右手を高く振り上げる。
「ハアアアアアアアァアアアァァァアアアアアァァァァァァッッッッ!!!!!!」
カイはガレスの右腕を切り落とした。
切り落とされたガレスの右腕から鮮血が噴き出す。
左手で傷口をおさえながら、よろめくガレス。
「い、いたい、痛い、痛い、いたい。クソがああああああッ!」
ガレスの絶叫が意識がもうろうとするカイの頭の中に響いてくる。
左手に掴んだままのガレスの右腕を投げ飛ばす。ガレスの右手に握られていた槍も地面に落ちた。
カイは痛みにのたうち回っているガレスに近づく。
「化け物メ、く、来るなアアアアァアアアアァッッッッ!」
「オマエに聞きたいことがある。答えなければ次は残った左腕だ」
カイの右手にはりついた剣をガレスの左肩に近づける。
「待ちなさいッ!」
「面白かった!」
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