「日常ってどういうことさ」「こういうことなんじゃない?」「ほーん」
「あぢー」
「いやまだ春だが。なんなら今日入学式だが」
「何だね琴音くん」
「突っ込みどころが多すぎるんだけど一つだけ言えるのはさっきまでそんな距離感ではなかったよね」
「何をいってるんだじんせいさいだいのともではなかったか」
「いやさっきまで名前すら知らなかったんだけど」
「僕は知っているぞ、牧野 琴音。15歳。趣味は読書、スポーツ、その他色々。なんだ、ミーハーか?」
「それ今朝の自己紹介で言ったのじゃん。後私もう16歳なんだけど」
「せこ」
「せことはなんだ年下」
「何故分かった」
「自分で言ったじゃん、新木 悠希、15歳ですって」
「そうだっけか」
「うむ」
・・・
「ところで」
「何だね15歳」
「我等なんでここにいるんだっけか」
「なにか問題が?」
「もう皆帰ったが」
「そうね」
「いやそうねじゃねえんだわ」
「人は自由であるべきだよ」
「目的を吐け」
「それを言うなら貴方もでは?」
「確かに」
「納得するんかい」
「因みに僕はさっきの自己紹介でかましたおかげで高嶺の花だよ」
「素直に高校デビュー失敗しましたって言いな?」
「それは僕の威信に関わる」
「もうゼロだから諦めな?」
「・・・」
「・・・」
「いやゼロでは」
「ゼロだよ」
「・・・」
「・・・」
「明日から不登校になるわ」
「それはごめん、マジでごめん」
「じゃあ慰謝料くれ」
「何なりとご主人様」
「毎日放課後にここで君と話をする権利をくれ」
「・・・」
「・・・」
「奥手か」
「思っても言うなよ」
「権利ってところがミソだね」
「強制は良くないからね」
「つまりはさっきまでは権利がないと思ってたわけだ」
「拙者、自己紹介もままならぬゴミムシ故・・・」
「仕方がない、これもまた縁と思って私と話す権利をやろう」
「ありがたき幸せ」
「くれぐれも驕らぬように」
「ははあ・・・」
「じゃあ今日は帰りますか15歳」
「明日を覚えてろよ・・・」
「え、誕生日明日なんだ」
「え、違うけど」
「その思わせぶりは何だったんですかね・・・?」
「じゃあまた明日」
「はーい」
そんな入学式。変な男と変な女が出会ったのでした。