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守れた喜び

 オレは喜びのままに力を振るう。


 先程までの負からくる黒い感情じゃない。それはとても幸福な感情。

 ハピアと共に戦えることが嬉しい。


 どんな時もオレを支え続けた彼女。


 オレを魔物と知りつつ受け入れてくれる彼女。


 オレを救う為に駆けつけてくれた。


 もう何も怖くない。


 こんな気持ちで戦う日が来るなんて。


 オレは、彼女の優しさに応えたい。


 彼女の側に居続けたい。


 少女は華麗に、流麗に舞う。 オレの魔法がそれを彩る。 命ある石像の友が奮起する。


 次第に魔物たちが、その数を減らしていく。


 オレはハピアに向き合い微笑む。


 彼女もオレを見て微笑む。


 そして、彼女の頭目掛け拳が迫る。


 瞬間、オレの意識が暗転する。


 オレはゆっくりと目を開く。


 ハピアが見える。オレの方へと駆け寄って来る。


 良かった……。彼女は無事だ。

 オレは彼女が攻撃される刹那、迫る拳へと飛び付き割り込んだ。

 咄嗟のことだったから防御を忘れてしまった。


 こんなオレでも、彼女を守れて良かった。


 ハピアが泣き叫ぶ。


 ハピア、何言ってるかわかんないぞ?いつもオレに泣くな泣くな言っといて。お前が泣いてどーするんだ。


 ハピアが素早く立ち上がり背後へと剣戟を振るう。


 そして再びオレへと向き直る。


「アリス!しっかりなさい!治癒魔法は使えますか?」


 ハピアが問いかける。

 大丈夫だ。魔力は十分あるし、さっきから回復はしている。

 ただ、少しだけボーッとするんだ。


 眠い。


 少し張り切りすぎたみたいだ。


「寝てはいけません!貴方を救う為に!助ける為にココへ来たのです!」


 大丈夫。ただ眠るだけだって。何も心配いらないさ。


「アリス!私と一緒に来るのです!共に暮らしましょう!!ですから目を開けなさい!!」


 本気か?嬉しいことを言ってくれるじゃないか。食事は三食で毎日散歩してくれよ?

 今はとりあえず眠らせてくれ。


「アリス!!こちらを向きなさい!!!!」


 ハピアがオレを両手で抱き上げる。


 何だ?オレは眠いってのに大声出すなよ。


 口に柔らかな感触が伝わる。


 オレが目を開けるとそこにはハピアの顔。

 緩くパーマの掛かった髪をふわふわのツインテールで纏めている。


 オレはそれを動く事も出来ずに見つめる。


 ハピアの顔が近い。彼女の白い肌が眩しい。


 オレはそれを見つめ思考が止まる。


 もう、どれくらいこうしただろうか。


 やがてオレの中に一つの考えが生まれる。


 その考えに辿り着き思考が覚醒する。


 え! いやっ! あの! ハピアさん!?


 オレはハピアが離れるまで、予想外の展開にただ茫然とし目を閉じるのだった。

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