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魔の動物

 オレは吠える。愛する者を守る為に。


 オレは威嚇する。それによりオレが傷付く事になろうとも。


 このイジメっ子ども瀕死のオレだけでなくキャロちゃんまでイジメやがってえええええ!!


 せっかくオレが上機嫌で彼女と村のお散歩を楽しんでたってのに!!


「キャンキャンキャン!!(おらおら小童どもキャロちゃんをイジメるなら先ずはオレを倒してみやがれ!)」


 あっ!痛い!くっそ、石投げて来やがった!

 コイツらオレがお風呂入って可愛くなっても容赦無しかよ!


「やめて!アリスをイジメないで!」


 うぅ〜。結局キャロちゃんに庇われてしまった……。

 くっそ。ガキども、後悔するぞ。

 あと十年も経ったら彼女は絶世の美女に成長するだろう、だがお前らみたいな陰気ヤロー共!お前らはキャロちゃんに近寄れもしなくなるんだからな!!

 悔し紛れじゃないからな! ホントだぞ! キャロちゃんと逃げながら遠くから吠えてるが、オレは負けてないからな!!


「アリス?大丈夫?」


 キャロちゃんが心配そうにオレが打撲したところを撫でる。

 ハンッ、これしきの怪我。全快状態のオレの治癒魔法なら一瞬で治ってしまう。心配には及ぶまい。

 けど人前で魔法はダメってバロウたちに教わってたしあくまでも使用はコッソリとだ。コッソリと回復して……。


「わおん!(全然大丈夫!)」


「アリス凄い!さっきまで腫れてたのがウソみたいに治ってる!」


 アレ?バレてる?おかしいな、特にポワッとか回復の光を出した訳でも無いんだけどな


『ずいぶんと隠すのがお下手ですわね』


 え、そう?だってほら。ポワッとしてなかったよ?ポワッと。


『現にバレてるじゃありませんの。そもそも普通の動物は腫れがすぐに引いたりしません!やるならもっと徐々に治しなさい』


 難しい事を仰るお嬢様だ。

 良いじゃないか、キャロちゃんも喜んでるんだし。あんなにはしゃいで。全く子供は可愛いな。

 ……そうじゃないのもいるけど。


『貴方を思って言ってるというのに、まあ好きになさいな』


 わかってるって、気をつけますよー。ハピアは心配性だなぁ。

 治癒魔法の使える愛玩犬なんて素晴らしいじゃないか。ただでさえ人間の友として犬は最適!と呼ばれているんだぞ。

 それで人々の傷や病を癒せるなんて聖獣か神獣扱いされて超ハッピーじゃないか!

 ……いや、それだとキャロちゃんと離れ離れにされてしまうかも知れない。やはり隠す方向で行こう。


「わんわん!(気のせい気のせい!心配してくれてありがとう!)」


「アリス、そろそろお昼ごはんだから帰ろ!お婆ちゃんが待ってるよ!」


 やったぜ!ご飯だ!この体すーぐお腹空いちゃうもんなー!おっひーるごはーん何だーろなー!


『お気楽ですこと』


 そう、オレはお気楽だったのだ。しかしこの時はまだそんな事考えもしなかった。

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