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奇怪な夢 オートメーション管理

作者: 田中太郎

(一)

 服をあまり買うことがないから、大きな町で用事を済ませたあとに、最寄りの量販店へやって来た。

 ここで取り扱われている服は、画一的で寂しげな気もするけど、わざわざ服にお金も時間も使いたくないから、まあいいか。


 広々とした場所に、碁盤の目のように縦と横に棚が置かれている。客の姿は私の他にはなく、無機質な白い壁がよく見えた。

 前に来たときは、店全を照明が照らしていた気がするが、今は一定のブロックごとにセンサーがあるようで、人がいる場所だけ照明がつくようになっている。

 広い店内には私しかないから、電気を節約するには都合がいいのかもしれない。


 店員は誰もいないけど、商品の管理はどうやっているんだろうか。積み重ねられた服はどこも乱れていることはなく、見渡す限りでは店内はきれいに整っていた。

 普通の棚や柱しかないが、ここにもどこかにセンサーが備えられていて、オートメーションによって管理されているのだろうか。

 そう思って周りを見たら、定員が1人だけいることに気がついた。

 店員は整然と服が並べてある下から服を取りだし、片手に機械を持ちながら、お札を数えるようにして調べていた。

 遠目から見る限りでは、その棚は他の棚と同じに見えて、わざわざ何かをする必要は無さそうだが。定期的に点検が必要なのだろうか。

 慣れた手付きで忙しそうに作業を続けていた。

 私は色々と気になって近寄りながら見ていたが、店員に話しかけても、答えてくれそうになかったから、ただその様子を眺めていた。


 合理的に商品を管理しているのかもしれないが、私はなんだか服を選ぶ気になれず、その店で買うのを諦めた。

 もっとも、普段から服を選ぶ気になることがあまりないのだが。


 もの寂しい気な気持ちになった私は、お腹が空いているのだと思い、併設している食料品売り場がないか探しに行った。


(二)

 食料品売り場もオートメーションによって管理されているのだろう、見える範囲には店員はいなかった。

 ただ、食材を扱う場所だけあって、洋服売り場とは違い、照明はすべてついていた。

やはり壁も同じように画一的に白く塗られていたが、食材のもつ生命力のせいだろうか、店員も客も私しかいなかったが、さっきよりは賑やかな気がする。


 私は家で作るインスタントラーメンを豪華にするために、中に入れるネギを探した。

ただ、手にしていたネギを見て気づいたが、今買ってもすぐに食べることはできないので、この空虚な気持ちを満たすことはできないだろう。

仕方がないので、ネギを買うことは諦めてお惣菜売り場へ向かった。

 ただ、着いてみても、緑色をした野菜の天ぷらしか見当たらず、結局、ここでも何も買わなかった。

 こんなものを買うよりも近所の店のお惣菜の方が美味しい気がしたから。


 ただの私の好みの問題だが。

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