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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

吸血姫は暇で山掘を始めました。

作者: 黒猫

初投稿の為誤字脱字があるかも、ですが暖かく見てもらえればと

 今日もいい天気、見えるのは雪景色のお城と麓の豊かな緑、青い空。

そして、暇な私を暇そうに見てるメイドのシルビア。

とにかく暇なのだ。真祖ヴァンパイア種で12000年生きてる〈ソフィアレンス・ヴァンパイア〉と申します。長いこと暇つぶしをしてると潰し切っちゃうみたい・・・・・・。


「シルビア暇よ、暇。どうにか出来ないかしら? 面白い情報とか知らない?」

「お嬢様はこのヴァンパイア大公国の姫様なんですから、少し落ち着いたらいいんじゃないですか?」

「え~ お姫様って柄じゃないもの。それに元々大公国はただの公爵だったのよ? やっぱり姫なんて柄じゃないわ」


 私の家は元々公爵家だったの、でも〈黄昏〉っていう出来事で国が無くなっちゃったうえ、神様達から強制的に種族を真祖ヴァンパイアに変えられるし、領民もヴァンパイアになってるし、で当時は大変だったわ。それに潰れた国からは瘴気が噴出してアンデッドとか魔物が溢れかえって今では〈死の国〉なんて呼ばれてるのよ。そのお陰で私はほぼ不死身だし、暇だしメイドは冷たいし。


「はぁ・・・・・・、お嬢様ジト目は辞めてくれませんかね? 城門前で先代様が何かやろうとして兵士に捕まってるみたいですよ?」

「情報通で助かるわ。さすがこの私の専属メイド〈シルビア・リ・ソフィアレンス〉ね!」

「そんなに褒めても何も出ませんよ?」

「(そんなにニコニコして否定しなくてもいいのに・・・・・・)それじゃ~いきましょうか」

「え? わたくしも、ですか?」

「いいじゃないの、お互い暇なんだし~」

「はぁ、解りました。一緒に行きます。あとわたくしはお嬢様の様に暇ではないですよ」

「照れちゃって~ それじゃ~行きましょう」


 私は、照れ屋なシルビアの手を取りながら押しの中を進んでいく。

 私が住んでいるのは〈ホーエンザルツブルク城〉、標高5000mの高地で正直普通のヒューマンは住みにくいの、でも元々雪景色と合い観光名所! しかも、今は死の国によって冒険者の稼ぎ場所になってるから人気はうなぎのぼりね。

 思いにふけっていると時間がたつのは早いものね、城門近くに到着! このお城住んでるとわかるけど大きすぎて逆に使い図ら九手困るわ・・・・・・。


「わしゃこの前承認された鉱山の試験採掘をするんじゃ!」

「先代様は他にお仕事があるはずですよ? グラム様からお城からの逃亡阻止の命を受けています。取り合えずお嬢様が見えるんで、お嬢様に頼んではどうでしょうか?」

「ん? ソフィーが来とるのか?」


 隠れていた私を平然と見破るこの兵士、この城に勤めてる兵士は、どこかの特殊部隊かってくらいおかしな存在が多い、まぁ何となくおじい様は気づいていた様だけど、仕事を私に獲られるのを恐れて、知らない振りをしていた事に納得してしまった自分がいる。


「おじい様お久しぶりです。」

「先代様ご無沙汰しております。なにやら面白そうなことをやっておいでで・・・・・・」


 私とシルビアは挨拶をしつつ、本当に久しぶりにおじい様に会った事を喜んだ。

 因みに会うのは20年振りで、その間おじい様は死の国で魔物の間引きをしていたとの事。


「ふぉふぉふぉ、久しぶりじゃの~。どうじゃわしと一緒に鉱山の試験採掘をしてみんか?」

「それは魅力的なご提案ですね。お嬢様も暇で色々持て余していたので、丁度いいですね!」


 シルビアがなんかいい子ぶってる・・・・・・ 怖いはああ言う時は危険ね。


「そうね、シルビア。私もその穴掘りをやって見たいです。おじい様いいですか?」

「おお~良いぞ、良いぞ。一緒にやろうとも! シルビアもいれば色々苦労せんし、わしもスキル上げしておきたくてな、まぁ今回の仕事は安泰かのぉ~」


 おじい様、ここで私達を巻き巻き込むことで、隠れ蓑にしようとしている事は解っているんですよ?


「先代様、お嬢様に任せてみては? わたくし達もそれなりに暇なのですが。政務は中々させてもらえないので、このような事業で任せてもらえればと思います」

「そうですわ! おじい様は他の政務で忙しいですもんね。私が変わりに引き継ぎますわ。それにスキルなら私も上達したいですから~」


 私もシルビアもニヤニヤしながらそう言い、おじい様は忙しいですね~、他の政務を確りやってくださいね~っと遠まわしに言ってみたり。


「・・・・・・わしも一緒じゃダメか?」

「私色々お仕事したかったんですけど、おじい様は私では未熟ということですね・・・・・・」


 おじい様はションボリした雰囲気をかもし出していたが、私は解っているのです、それが演技だという事に。

 私とシルビアはジト目でおじい様をじ~~っと見た。


「わしの負けじゃ負け、ソフィーに任せるのじゃ。わしはグラムのとこにでもいっておる」

「さすがソフィーお嬢様、私どもも困っておりました有難うございます」


 おじい様はそう言いトボトボと城内に戻っていった。

 兵士は私にお礼を良い「今日は良い夢が見られそうだ」といって城門へ戻っていった。


「シルビア・・・・・・ありがとうね」

「今回は、わたくしも楽しませて貰いますので、それにスキルの成長はわたくしも嬉しいので、お互い様です」

「そう? それじゃ~明日から計画立てて、1ヵ月後くらいに開始できるようにしましょう」

「解りました。それまでに計画書をグラム様に提出します」


まぁ計画は私ではなくほとんどシルビアがやることになるんだけど、私はおじい様から採掘セットを仮に行くだけですし。

 おじい様から貰った採掘セットを部屋で並べてみるわけですが、どう見ても過剰戦力でとても採掘セットなんて可愛い代物ではない気がする。


「どう見ても過剰戦力、冒険者がこれを見たら卒倒するわね」

「そうですね。これだけあればそれなりの戦力になりますね。街中では余り見せない方がいいかも知れません」

「そうよね。どう見ても狙われる、ただ家に攻撃するようなアホなら倒せるし。高ランクなら攻撃してこないし、ほとんど大丈夫だと思うけど」

「それでも大事を取った方が良いかと思いますよ」

「わかったわ。とりあえず次元倉庫〈デメジョンウェアハウス〉を使って入れておくから装備の確認だけ、しておきましょうか」


装備その1、〈特注作業着〉過去に大公家で狩ったゴット・ブラック・ドラゴンの素材が使われている。

装備その2、〈特製ヘルメット〉アダマンタイトをふんだんに使い防御力はレジェンド級。

装備その3、〈アーティファクトヘッドライト〉周囲の瘴気を魔力に変換し光源に変える魔術が組み込まれている。

装備その4、〈特注ツルハシ〉ゴッドメタルタートルの甲羅を使用世界で最も硬い素材、持ち手もエルダートレントが使用されており、ハンマーや斧の様にも使える優れもの。

装備その5、〈特注スコップ〉ツルハシと同じ素材を使用、短槍としても使える優れもの。

装備その6、〈特製猫車〉ヒヒイロカネを使用しており、多少の破損は魔力で修復される。

 どう見ても採掘する為だけの装備ではなく、戦闘も想定されている。


「作業着とヘルメット、ヘッドライトは大丈夫そうね。ツルハシ、スコップ、猫車は洞窟内に入ってから出さないとまずいわね」

「一応魔導師団に入り口予定地の山肌を、崩落しないように固めておいて貰いますね。それと、補強材も大量に入荷して置くように指示しておきます」

「お父様からは、ある程度間を開け掘って欲しいと言われたわ。それと掘った時の鉱石は報酬代わりに使って良いってさ」

「もしかしたら儲かりますね。何かに使う予定ですか?」


 シルビアなかなか察しが良い。

 掘った時の鉱石を報酬にして欲しいといったのは、私だったり・・・・・・、何故かと言うと暇な時に鍛冶とか彫金なんかで使えないかという魂胆。


「暇になった時の保険よ。ほ・け・ん」

「はぁ・・・・・・ そうですか。まぁ取り合えずは、この採掘を成功させましょう」

「そうね。まず目の前の山の採掘をして、時間が許せばそのまま隣の山も掘ってみたいわね」

「そうですね。少し隣の山のほうも掘ってみて有効な鉱脈があるか確認しましょう」

「それとステータスも確認しとこ、最近ほとんどしてなかったし」

「そうですね。一応確認しておいたほうが良いですね」


《ステータス》

名前:ソフィアレンス・ヴァンパイア

性別:女

年齢:14716才(ソウルストック2500000)

種族:ヴァンパイア(第3真祖)

Lv:273

職業:吸血姫

HP:13420

MP:986700

STR:C-

VIT:B-

DEX:D+

MND:C+

INT:B-

LUC:B


《スキル》

魅了(UN)

吸血(UN)

変化(UN)

霧散(UN)

剣術(D+)

盾術(F)

カウンター(C-)

格闘術(C-)

探知(B-)

隠密(B-)

偽装(B-)

儀礼(B)

魔力回復(B+)

無詠唱(C-)

鑑定(A+)


《魔法》

暗黒魔法(H)

闇魔法(EX)

4属性魔法(EX)

氷魔法(D+)

岩魔法(C-)

強化魔法(D-)

隷属魔法(A-)

空間魔法(F)

生活魔法(EX)


「まぁ、程よくって感じじゃないかしら? 生産系も増やしたいと思ってるんだけどね」

「流石お嬢様斜め上を行ってるステータスですね」

「シルビアのも見せないさいよ」


私がそう言うとシルビアがステータスカードを渡してきた。


《ステータス》

名前:シルビア・リ・ソフィアレンス

性別:女

年齢:7026才(ソウルストック2500000)

種族:獣人フィンリル種(血の契約)

Lv:121

職業:護衛メイド

HP:23610

MP:173400

STR:C+

VIT:B+

DEX:D-

MND:D-

INT:D-

LUC:B


《スキル》

獣化(UN)

ブレス(UN)

氷結(UN)

剣術(C)

カウンター(D-)

格闘術(C+)

探知(B-)

隠密(B-)

偽装(B-)

儀礼(B)

家事(B+)

料理(C-)


《魔法》

氷結魔法(EX)

水魔法(EX)

治癒魔法(B)

結界魔法(B+)

強化魔法(C-)

生活魔法(EX)


「そこそこ上がってるわね。私よりも強いじゃないの」

「何を言ってるんですか? お嬢様はほぼ不老不死なくせして」


 ステータスとは、神々が他の世界のゲームを参考に作り上げた、自己判断や評価を行える物で、黄昏の後に出来た割と新しいシステムである。

 最もこのシステムは冒険者ギルドの占有物で、管理しているのは神々から与えられた《聖遺物レリック》っと言う事らしい。

 

この1ヵ月はとにかく忙しかった。

 私達は鉱山予定地の調査、魔術師の山肌を固める作業、鉱山内部の採掘予定位置の選定など、とても暇がなくて快適だった。

 我が大公国の首都は死の国を囲うように連なるシェール山脈の唯一の切れ目に防壁のように作られ東側の山に築城されており、 今回の採掘はその対岸の山となる。

 ソフィーとシルビアは採掘計画書を見ると、入り口の高さを1層目と考えると地下3層、地上7層の巨大なもので、将来的には初級ダンジョンとして機能させるように設計されているという話しだった。


「この計画書ですと採掘終了後は、死の国側に穴を掘って意図的に瘴気を注入知るようですね」

「シルビア、ついでに隣2つの山も採掘して、中級、上級のダンジョンを作れば、結構いい訓練所になるんじゃないかしら?」

「お嬢様これでかなりの時間暇が潰せますね。あと、一応最初の山から1,2,3区画と名称し、1区画が鉄、銅が、2区画がミスリルが、3区画はミスリル、アダマンタイト、オリハルコン、ヒヒイロカネが主に取れそうです。ただ3区画はかなり微量らしいですが・・・・・・」

「それじゃー、明日から頑張ろうね、シルビア」


 この1ヵ月、準備で忙しく久々に楽しい時間を楽しんでいる二人は、明日の事を考えながらベッドに入る。

 そして、翌日私達は採掘で入り口予定地に立ったのだ。

 私はツルハシを持ち、フルスイングで横振りをし、山肌へと第一刀を打ち込む為に構える。


「それじゃ~ いっくよ~」


 ドッゴーーーン


 ツルハシが山肌に触れた瞬間後魚うんと共に土煙が上がった。


「けほけほ、お嬢様威力が強すぎますよ。けほ」

「ごほごほ、まさかこんなに威力が上がるなんて、私だって解らなかったわよ」


《採掘スキルを取得しました》


 システム音が発せられ、ステータスカードに採掘スキルの獲得が表示される。

 そのなか私達は一時退避して、煙が荒れるのを待つ。

 煙が晴れると直径5mくらい、奥行き50mくらいの横穴が出来上がっていた


「うむ、余は満足じゃ!」

「何言ってるんですかねこの馬鹿姫は・・・・・・ ちょっとは自重して下さらないと、お母様から折檻されますよ?」

「いいじゃないの・・・・・・ 綺麗に穴が開いてるわよ? 壁面はつるつるで地層や鉱脈が見つかりやすいでしょう? それとさ、採掘スキル発現したわ」

「相変わらずお嬢様のスキル発現率が高い事で・・・・・・」


 いよいよ採掘がはじまるわ、これで300年くらい暇が潰せるかな?

 取りあえずは第一区画の採掘をしなくちゃね。

 そう言いながら私は、ツルハシを使って1日30mという速さで、掘り起こしていた。


「よっこいしょ! どっこらせ! どっこいしょ!」

「・・・・・・お嬢様それは流石にはしたないと思いますが?」

「だってさ~ 意外と掘るのも楽しいものなのよ。サクサクスキルあがるしさ~」

「わたくしだって、運ぶのも大変になってきたんですから、運搬スキルと豪腕スキルなんて物まで成長する始末ですよ? もう少しペースを落としてください」

「わかったわよ~ 取り合えず明日は、トンネルの補強でもしてるから、シルビアは休んでていいわよ?」


《採掘スキルの経験値が一定値を超えました》


 ふむ、採掘スキルも上がったし、取り合えず今日の作業は終了!


 昨日はトンネルの補強をする為に木材を運び、組み立て、1日を過ごし、シルビアは部下のメイド達に指示していた事が出来てるかのチェック等をして気分転換をしていた。


《建築スキルを取得しました。》

《強化魔法の経験値が一定値を超えました》


 何気に建築スキルや強化スキルがあがっちゃったりもしてたり。

 私は単純作業が割りと好きで、何だかんだ言って続いている。


 100年後・・・・・・


「あ~ 疲れた。1区画は計画道理進んだけど、2区画がぜんぜんダメね。採掘スキルは上がってるのにほれる速度がほとんど変わらない・・・・・・ スキルが足りてないかギリギリってことよね?」

「そうですね。ミスリル鉱脈は在るには在るんですが、岩盤が固くて進捗が芳しくありませんね。スキル上昇もさほど上がってないところを見るとちょっと条件が厳し目な場所なんですね」

「それにさ~ 瘴気の流れが若干おかしいのよ」

「お嬢様はどこら辺が乱れてるいのか解りますか?」

「そうね・・・・・・ 中腹あたりかしら? 計画通りに行けば10層目になると思うわ」

「では、乱れてる原因の調査をするため多少計画に修正を欠けます」

「わかったわ~ シルビアは計画の調整に言ってちょうだい。私はそれまで少しでも掘り進んでおくわ」


 私もこの固い岩盤は困りもので、はっきり言ってツルハシが丈夫な分、自分の手を傷めている。

 そう、非常に痛いのである、よくもツルハシの方が壊れないものだと感心するものだ。


「まったく。何手硬い岩盤なのかしら、どうもミスリルのせいで瘴気の進入を阻害している様だけど・・・・・・ もしかして瘴気を遮断ではなく魔力の遮断をしているのかしら?」


 私はそう考えながら既に体が勝手に動いている事に無自覚で、無我の境地の領域だったと後にシルビアが言ってくれたのは、私にとっても少し引く話で、後でお城の部屋へ行き隅っこで反省した、もう反省だ・・・・・・


「ふむ、もしかしたら何かを封印しているか、守っているか、かしら?」

「そうかも知れませんね・・・・・・」

「うわ! ビックリするじゃないの!」

「ふふふ・・・・・・ 久々に脅かして気分がよくなりました」

「はぁ、ビックリした。もうやめてよね。計画の変更は出来たって事かしら?」

「はい、当主様からは、その妙な流れを確認して来て欲しいとの事でした」

「まぁ、それはそうね。私も気になるし、なにより油断すれば、死ぬような場所にいるのは、自覚してるしね」


 ソフィーはジーっと瘴気や気配の流れがない箇所をにらんでいる。

 これからは掘りやすい箇所、瘴気の流れが留まる所などを重点的に掘り進め、この流れをうまい事第1区画へと流そうと、考えるソフィーであった。


「ミスリルなんか、結構取れない地方だと思ってたんだけど、結構取れるようになってきたわね」


 ソフィーはそう言いながら、ツルハシで岩肌を砕いている。

 横ではシルビアが鉱石とただの岩を選別し、鉱石はソフィーの次元倉庫へ投げ、岩を猫車に乗せていた。

 3年後にようやく流れが不自然な箇所へたどり着く。

 流れが不自然な箇所は、周りの岩肌と違い真っ白で、特製のツルハシでも傷かつかなく、白い岩肌を掘り進むと正方形の部屋の形をしている。

 全てを掘り起こすと、ソフィーが最初に掘った場所の反対の場所に、部屋への入り口があった。


「シルビアどう思う?」

「今まで見た事のない様式ですね。下手をすれば黄昏よりも前の物かもしれません」

「扉はあるみたいだし、開けはするけど、どうも魔法も振動やスキルも遮蔽するみたいね」

「はい、危険がないと判れば、後々持ち運び研究しましょう」

「シルビア! 物理トラップや魔法系のトラップに気をつけながら開けるわよ」

「判りました。結界魔法で防御します」


 ソフィーはトラップや魔法を警戒しつつ、ドアを開けた。

 そこには、瘴気や魔力と言ったものは存在せず、部屋の壁は全て浄化された空気と水、植物が植わって中央には祭壇と30cm位の真っ白な卵が1つだけ存在していた。


「空気が清浄すぎるわね。 完全に瘴気と魔力を遮断して、排出されているわ」

「驚きました・・・・・・ こんな事ができる技術は私達の文明では考えられませんね」


 2人はトラップを経過しつつも幻想的で清浄な空気を堪能しつつ、卵が備えられている祭壇まで歩く。

 卵は台座に置いてあり、卵の上から浄化された水が注がれている。

 まるで魔力や瘴気などを遮断するように・・・・・・


「真っ白な卵・・・・・・ ちょっと大きいけど何の卵かしら?」

「基本的にこの大きさだと幻獣家と思いますが・・・・・・」

「そうよね~ しかもこの綺麗過ぎる空間だと、魔獣系は即死だし、通常の動物でも死んじゃうわよね~」


《魔力吸収スキルを取得しました》


 ソフィーはシルビアの幻獣の卵と言う指摘に同意し、卵に近づくと流れていた水が止まり、卵があらわになる。

そしてソフィーは、何気なく持ち上げそのまま次元倉庫へ放り投げた。


「ちょっ! お嬢様! 何気なく得体の知れない卵を、次元倉庫に放り投げないでくださいよ」

「え~ 大丈夫よ。 卵触った時魔力を吸収されたけど、ほとんど吸収されてなかったし、どうも休眠状態から覚醒しそうだから取り合えず入れといたのよ」

「はぁ・・・・・・ もう何も言いません。 でも城に戻ってからちゃんと調べてくださいね」

「判ってるわよ~」


 ソフィーはそういい外へ歩き出し、シルビアはため息と共にソフィーの後ろにつき従うのである。


「この部屋は後で保管して、それにしてもこんな浄化されすぎてる部屋に卵1個ととわね・・・・・・」

「そうですね。 取り合えずこの部屋を収納して出ましょうか」


 シルビアに催促されソフィーは次元倉庫を開き、卵が安置されてた部屋ごとしまう。

 その後当主と先代に相談したところ、卵はソフィーが孵すことになり、安置されていた部屋は魔導研究をする事になった。

 ソフィー達は部屋に戻り卵を取り出し、ベッドの上に置く。


「う~ん、卵に触ると魔力が吸われる。さっきより多い気がする・・・・・・」

「とうとうお嬢様が壊れましたか・・・・・・」

「そこ! 煩いわよ。 仕方ないでしょ、総魔力の30%も吸収されてるんだもの。何が生まれるか楽しみになってきたわ」


 ソフィーはベッドに鎮座している卵に、魔力を注ぎながら楽しそうに観察しながら、お茶を飲んでいたのだった。


「明日から採掘に戻るのですよね?」

「そうね~ いい加減戻らないとダメね」

「それで、卵はどうしますか?」

「ふっふっふ~ 背中にくくりつけるわ!」


 名案だといわんばかりのドヤ顔ソフィーをシルビアは手を顔に当て呆れ果てる。


「時々お嬢様が馬鹿に見えて仕方ないわ・・・・・・」

「シルビア、そういう事は私がいない床で言ってくれない? こう、胸にグサってくるのよね」

「はいはい、判りました。 明日からは卵を背負って来てくださいね~」


 そういいシルビアは宿舎へ戻って行き、ソフィーはそんなシルビアをほっといて、卵をなでながら魔力を注ぐのであった。

 翌日からソフィーは卵を背負いながら魔力を注ぎ、採掘も平行して実行していた。


「なかなか順調に掘れてると思わない?」

「そうですか? 卵の件もあって、その周囲が採掘できないので、正直進捗が悪い気がしますよ」

「でも、一応隣の山まで掘れそうよ?」

「そうですが・・・・・・ 取り合えずこの鉱山も仕上がりがしだい次に行きましょう」


 さらに100年後・・・・・・


鉱山の中でソフィーとシルビアは、ツルハシを降るって採掘を拡大し、第3区画の途中まで掘り進んでいた。

 そんな中、ソフィーが背負っている卵は、この100年で真っ白の卵から真っ黒な卵に変わり、大きさは少しだけ小さくなっている。

そんな卵が今まさに孵ろうとし、殻をカタカタと音を立てながら小刻みに震える。


「ん? 卵が震えた気がするわ!」

「卵見せてください」

「ダメよ! 刷り込みで貴方が親扱いになったら嫌だわ。 私が見るからちょっと作業中断しましょ」


 ソフィーはそう言いながら次元倉庫から机と椅子を出して、机に卵を載せ両手を卵に当て、魔力を流し込む。

 シルビアは呆れ果てながら、採掘された鉱石を仕分けして、余った土を外にはごみ出しながらトンネル自体に強化を施す。


「お嬢様には前々から呆れていたけど、今回は歴代1位ね」

「きーこーえーてーるーわーよー」


 ソフィーは1時間ほど魔力を込めていたが、卵に亀裂が走り口の先がひょっこり現れる。


「もう少しよ! 頑張りなさい」


 そう言い卵から現れる生き物にエールを送りながら、魔力を少しずつ送り込むと殻の亀裂が少し広がっていくのであった。

 10分すると「みゅーみゅー」と言う声と共にかわいらしい黒い子猫が誕生した。


「か、かわいい! とっても可愛いわ! なんていう種族なのかしら?」

「みゅーーみゅーー」


 その生き物はそう鳴きながらソフィーの顔を見て歩み寄り、ソフィーの体を這いながら上り詰める。


「どうしたのかしら? 《鑑定》」!」


《ステータス》

名前:なし

性別:女

年齢:0才(ソウルストック0)

種族:ケット・シー(血の契約)

Lv:0

職業:ペット?

HP:250

MP:780

STR:G

VIT:G

DEX:D+

MND:C-

INT:C-

LUC:EX


《スキル》

幸運(UN)

不運(UN)

神眼(UN)

攻撃無効(UN)


《魔法》

運命魔法(UN)

光魔法(H)

生活魔法(H)

転移魔法(H)


「なにこれ・・・・・・ ありえないレアスキルに種族がケット・シーで、私があずかり知らないうちに血の契約がされてる? しかも職業が《ペット?》ってなによこれ? 分けわかんないわ~ でも名前ないのよね」

「みゅ~?」


 ソフィーが項垂れてるのを見たケット・シーは「どうしたの?」っと言わんばかりに首を傾げながら鳴いた。


「貴方の名前を決めなくちゃね」

「みゅ!」

「種族がケット・シーだから・・・・・・ 名前は《シー》で女の子だけど、凛々しいしシー君っと呼ぼうかな」

「みゅー みゅみゅみゅ」


シー君は名前を気に入ったのか、凛々しいといわれて喜んでるのか、判らないが了承された様子である。


《ケット・シーに名前がつけられました》


「ちゃんとステータスに乗ってるか確認するわね。 《鑑定》」


《ステータス》

名前:シー

性別:女

年齢:0才(ソウルストック0)

種族:ケット・シー(血の契約)

Lv:0

職業:ペット?

HP:250

MP:780

STR:G

VIT:G

DEX:D+

MND:C-

INT:C-

LUC:EX


《スキル》

幸運(UN)

不運(UN)

神眼(UN)

攻撃無効(UN)


《魔法》

運命魔法(UN)

光魔法(H)

生活魔法(H)

転移魔法(H)


「ちゃんと名前付けられてるね。 これで貴方も私の家族よ」

「みゅ~~ん」


ソフィーはそう言いながらシー君を撫で、シー君は家族と言われ嬉しかったのか頭をこすり付けるのであった。

 そんな姿をこっそり覗いていたシルビアは、微笑みドアを閉め自分の部屋に戻るのである。

「さてお嬢様、新しい“家族”も出来たようですし、採掘の続きをしましょうか?」

「な、何で知ってるのよ!」

「何ででしょうかね、ニヤニヤ」

「ニヤニヤって声に出すとこが余計に腹立つ!」

「みゃ!」


シー君はシルビアに非難声明と眼差しを向ける。


「ふふふ、シー君私も穴と同じ家族です。 これはお嬢様との戯れというやつですから大丈夫ですよ」

「みゅ?」

「安心してください。 お嬢様は私にも家族と言ってくれた方ですから」

「みゅー」


理解したのか一鳴きしシルビアにスリスリと頭をこすり付ける。


「お嬢様見てください。 シー君は賢いですね」

「そうでしょ~? でも最初から血の契約をしてたみたいなのよね。 なんでかしら?」


ソフィーが疑問に思ったのは血の契約が生まれたばかりで既にされている事、そしてその契約はソフィーの魂のストックの共有と歳を取らない、言わばほぼ不老不死となると言う物である。

 不老が在る以上、これより姿が変わらないとなると流石に不便だが、種族が精霊となっている為、正直なところ判らない。


「隣の山にはいい鉱脈があるかどうか確認して、在ればそのまま掘り進んでいきましょう」

「一応所見では、オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネなどの希少な鉱脈が多少あるとのことらしいですが、正直どれほど取れるかは、判りかねますね」

「みゅ!」

「シー君が頑張れってさ、取り合えず掘ろうかな」

「そうですね個々もそろそろ鉱山夫が入り本格的な採掘が始まります」


 そういいソフィー、シルビア、シー君は隣の山へと掘り進んだ。


 150年後・・・・・・


 彼女らはこの350年の間に銅、鉄、ミスリル、銀、金、オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネなどの鉱石を大量に採掘し、大公へ鉱山の受け渡しを行った。

 後にソフィー大鉱山と言われ、1万年間も採掘されたと言われている。


「かれこれ350年も暇が潰せたなんてなかなかいい暇つぶしになったわね」

「みゃーう」

「そうですね。 次は鉱石から武器とかでも作りますか?」

「ん~、それはもう少し後かしら、今は休憩するわ」

「判りました。紺屋でも入れますね」

「みゃみゃう」

「はいはい、シー君は暖かいミルクですね」

「みゃーう」

「また暇になったら何かやろうかしらね・・・・・・」


 ソフィーはそう言い残し、次に暇になった時のことを思い馳せるのであった。


今後も短編を出していきたいと思っています。

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