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夏の時間
テーマは「夏」。
「夏思」
芋虫は蛹になり、
やがて蝶へと至る。
平等に降り注ぐ、時の刻み。
昔、私は、赤ん坊だった。
そして子どもになって、
それからまだ大人にはなっていない。
めぐりめぐる、夏の日の午後。
蝉の合唱、
風に吹かれた夏草の演奏。
指揮者は彼だった。
後追う影が伸びてゆき、
夜がはじまる。
終わらない熱。
「叫心」
渡ってきた橋を戻る。
丁度真ん中辺り。
惜しくはない。
川の水、反射する陽光。
幻想が泳いでいた。
夏の暑さが溶けてゆく。
暮れゆく日の光。
橙の瞬き。
わずかに熱を帯びた体が、
生命を主張していた。
「夏思」は、過去の記憶を遡っている感じがする。詩の最初あたりは過去で、終わりになると現在が顔をのぞかせている。芋虫が赤ん坊で、蝶が大人?
「叫心」は、この日に見た景色が頭の中にあった。<渡ってきた橋・川の水・反射する陽光>などの部分が該当箇所。<幻想>はそのまんまで、幻だろうと思う。
―追記日 2017/7/23