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夏近づく
「日の下で思う」
太陽は真上に。
浮かぶ、果てしなき青。
目を落とせば、
砂の世界を幻視する。
溶ける飴玉。
べたりとした肌。
蠢く矮小な存在。
分不相応な願い。
砂はまだ、落ち続けている。
「金魚」
透明な金魚。
艶やかに舞う、水中の姫。
ちらりと見えた赤と白。
反射するうろこ。
さぞかしそこは涼しかろ。
水面をはねる君。
鉢の中の絵画。
「蛍」
帰り道に
うっすらと光る蛍を見た。
夜のとばりがおちた道に、
その光はあたたかく、
その姿は儚く、
その生はまぶしかった。
あれは蛍だったのだろうか…。
まだ六月に入ったばかりだというのに、真夏のような暑さが日本各地で観測されていた気がする。今年もすでに35度を超えた所があるという。暑すぎ。太陽頑張りすぎ。
「日の下で思う」は、一年前の今日がよく晴れた日であったから書けたんだろう。
「金魚」は、夏を先取りした感じ。まだ六月なのに。
「蛍」は、実際にそれらしき姿を見たから書いたはず。後書きにも書いていたし…。
色の多用が見られるが、気に入っていたんだろうか。
―追記日 2017/6/2