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天夢
「ハレ」
尖った先端に祈りを込めた。
そのままを保ち、
私を貫け。
限りなく続く青に
その身を投げ出す。
突き抜けた先にあったのは
穏やかな波の音。
雨は止んだ。
「生まれる」
産声をあげる。
世界が視界に映る。
誰かの声。
芽吹いた命の鼓動。
天に昇っていく光、
地に降りていく呼吸、
繰り返される「今」。
「夢」
悲しい夢をみた。
ブランコに乗った狼が
静かに息を引き取る夢。
死ぬ間際、
狼がこぼした言葉。
何故か、そこだけが聞き取れなかった。
サブタイを『天夢』としたのは、詩の構成を見れば明らかだろう。天のことと夢のことを書きたかったのだと思う。「ハレ」と「生まれる」を書いていた時は、雲間から射し込む光のイメージがあった。そこから天と地を連想していった気がする。「夢」は、空想の類。ただ、前二つの詩のイメージで、雲の灰色が見えたので、そのことが影響を与えているようにも思える。
-追記日 2017/5/21