隻腕剣術・水鳥流水術・決着ではなく逃走
本日から本章完結まで連続更新いたします。連続五話です。
本章スタートが2021年2月ですので、一年以上引っ張るのはいかがなものかと思った次第です。
年末年始とお楽しみいただけたら幸いです。
あと、前話に関してはものすごく平穏でした。
別投降で明らかにしていましたからね。
まだ未読の方はこの機会にご覧くださいませ。
「恨みを買った覚えは無いのだがな」
腰のポーチをまさぐって手ぬぐいを引っ張り出し、水術で濡らして肘の上で強く縛って止血する。だがどこまで効果があるのか、取り敢えず出血量は減ったようだが、一刻も早く治療を受けなければならない。
そして当の加害者が“いてて”と呟きながら接近してくる。
「恨みって程ではないが、思うところはある」
その途中にあった俺の左腕を邪魔とばかりに脇へ蹴飛ばす。イラっと来たが頭に血が上った方が負けだ。尤もその血もじわじわと漏れ出ているのだが。
「殺す気で剣を振るっただろう。その程度で殺しにかかるとか、随分と気が短いな」
「あぁ!報復だから、理由を教えておかないといけないのか、面倒だな」
ヴィクターは剣を肩に担ぎ考え始めたが、諦めるように口を開いた。
「簡単に言えば、組織のシノギの材料をお前が潰したからだ。お前が死んだら、その事を情報屋に流して、組織にたてつくとこうなるって知らしめる寸法よ」
何のことかさっぱりだったが連想を繰り返すうちに、ダイアンの所の水路を手伝った時の雑草茶を思い出した。
どこぞの犯罪組織が一つの村を占拠して、そればかり栽培させていたのだ。
街中で襲われるならまだしも、魔物討伐の止めの瞬間に裏切られるとか誰が想像できようか。
「それで?これからどうする?」
「そうだな、失血を待って死んだら傷口を熊の爪で荒らすか。丁度一本斬り落としてあるからもちやすいしなぁ」
「思い通りになると思うな!」
奴を倒さねば戻る事は叶うまい。
俺はヴィクターへ片手で剣を振りかぶるが、水鳥流剣術は両手持ちである。頭を切り替えねば無駄な体力を使い、無駄に血を流してしまう。
ならば初めに修めた剣術だ。
ばあさまから譲り受けた切り裂きのシャムシールは長い間俺の愛剣だった。今でもポーチの中に入っているが最近ご無沙汰だ。その罰だとすれば、途轍もなく過剰な罰である。
シャムシールの扱いは足捌きも違って来れば、本来ならば盾を持つ反対の手もない。
ヴィクターは俺がまだあきらめていないことを見て取ると、担いでいた直剣を油断なく中段に構えた。
今や本来の俺のスタイルではないが、ばあさまがこの剣で何故“切り裂きジャスミン”とか“血まみれ茉莉花”と呼ばれるに至ったか、その身で味わって貰おうじゃないか。
シャムシールを振るう時は地を滑るような歩法を用いるのだが、今回は盾が無いので羽が舞うような歩法を取る。
勿体ぶった言い方をしたが、つまりは剣を受けず剣を躱す歩法だ。ここで勝手が違うのは、手にしているのはシャムシールではなく無銘の魔刀ということ。シャムシールより柄が長く刀身の反りも緩いのだ。
それでもやらねばならない。やらねば負ける。やらねば死ぬ。
相手の剣を受けてはならない。受ければ魔刀を弾き飛ばされるだろう。
つまり相手の攻撃を避けて避けて避けて、こちらの攻撃を当て続け、殺るか追撃できぬほどのダメージを与えるよりほかはない。
ヴィクターがこちらを責める気配はない。待っていれば失血死してくれるのだから当然だ。
こちらから仕掛ける。
手始めに間合いを計る様に、剣先同士を触れるか触れないかまで接近させる。
通常互いに切っ先を払いつつ牽制をするのだが、向こうが合わせようとするのをスッとかわしたり、こちらが一方的に相手のを払う。
待ちに徹していればいい所を、神経を逆なでしてやるのだ。
「死に損ないに、なに怖気づいている。止めを刺す気概もないか?」
為すべきことを知っていれば安い挑発に乗るはずもないし、一流の剣士ならば尚更だ。だが暗殺を請け負う剣士が一流であることはないだろう。
例外がいるとしたら、俺はこの場に立っている筈もない。
「シッ」
喰いしばったヴィクターの歯の隙間から呼気が漏れる。
剣を振りかぶった時には、こちらの剣が上腕を浅く切り裂き、俺は既に間合いの外に逃げ去っている。
「てめぇ……」
ダメージは殆どないだろう。訓練でもこの程度の傷は珍しくも無い。だが奴にとっては“受けるはずの無い傷”であった。
そして剣を振りかざし飛び掛かって来た。
それこそこちらの思う壺。今まで弱い者としか相手をしてこなかったのか。十分に剣の腕があるのは認めるが、お前は二流以下だ。
その二流以下に腕を落とされた俺も大したことは無いのかもしれない。
思わず自嘲が漏れると、何を勘違いしたのかヴィクターが激高するので、いいようにやらして貰った。
腕や足を浅く切り裂き、残っている鎧の隙間をチクリと刺し、三回ほど左胸を狙ったが、流石にそれは防がれた。
相手の調子を落とし、最後に必殺に一撃を与える。これが今回俺のとった作戦だ。与える傷が浅いのも慎重を期したに過ぎない。
ことは順調に進んだ。順調すぎた。
不意にくらっと視界がぼやけた
一瞬の立ちくらみをヴィクターが見逃す筈もなく、奴の一歩の踏み込みは十分すぎるほど距離を詰めた。
ヴィクターの直剣が俺の魔刀に触れ、一気に巻き上げ俺の剣を奪い去る。
巻き上げられた剣は宙を舞い、音をたてて地面に転がるが、ヴィクターは俺から視線を外さない。
「いつも通り動いて貧血起こしてりゃ世話ないぜ」
再び距離を空けるヴィクター。失血死させる方針に変更はないようだ。
ならばこちらの方針を変えるまで。
まだまだ魔力は振り絞れる!
意思を込めると周囲は湿気を帯び、靄が立ち込めたと思ったら集まり始める。
始めは小さな水滴だったがそれはどんどん大きさを増し、ヴィクターの周囲には幾つもの水球が浮かんでいた。
普段なら瞬時の事なのに、思った以上に消耗しているようだ。すぐさまヴィクターを中心に水球を回転させると、次々と奴目掛けて発射していく。
しかし敵も然るもの。次々と剣で迎撃し水球を水飛沫に変えてしまう。全てを撃ち込んだが奴には一発も当たらず、彼の服を濡らすだけであった。
「水も滴るいい男、ってか?ははっ」
軽口叩けるとか余裕だな。これだけと思うなよ。
右手を振るうと、俺の前には十センチほどの水の針が勢揃いし、同時に奴の表情も引き締まる。
くそ、頭に血が回っていないのか、思うように制御が利かない。
仕方なしに同時発射から連続発射で狙いを定めると、これは効果がありうまくさばき切れていない。
ヴィクターは足捌き・剣捌きで水針を受け・躱していくが、次第にその防御にほころびが出てくると、水の針が足や腕に刺さり始めた。
針は刺さると直ぐに元の姿を取り戻し、肌を流れ、服を濡らしていく。そうして服に赤い斑点が少しずつ増え始めた。
こうなるとヴィクターも鬱陶しくてたまらない。持久戦になった時点で自身の勝利は確定しているのだが、その相手の持久力の底が見えないからだ。
水針の弾幕を張る一方で目立たぬ様に水を集めるが、ギリギリまで目的の形に生成しない。
問題の左腕からの出血は遅くなったが、止まったわけではない。
血は地面にしたたり落ちる。
水も地面を湿らせていく。
集めた水は当然血液混じりの水なのだが、水の方が多いので色が付くはずもない。
俺は水に血が混じっているとは気づいていなかった。ただ水が操作しやすくなったと感じただけ。
それが何を意味するかも知らない。
必要量が集まった。
俺は一気に水槍を成すと、術のみの力で発射した。
己の選んだ戦術が正しい事を信じて耐え忍ぶヴィクターであったが、相手の腕の無い左側に現れた水槍に目を見張る。
奴はもう一度やれと言われて再現出来るだろうか。奴の身体は勝手に動き、避けることができたのは紛れもない事実である。
“くそっ”
不意を突いて生成・発射した水槍は避けられてしまった。
すぐさま右手に第二射をと水槍を生み出そうとするが上手くまとまらない。
気合いを入れ直して集中してなんとか水槍を手にして前を見ると、ヴィクターが剣を振りかざして飛び掛かって来るところだった。
しまった、水針の弾幕が薄くなったか。
慌てず手にした水槍を水刀へ変形。奴の振り下ろしを受け流す。奴も不意を付けるとは思っていなかったようで、その表情に変化はない。いや、変形させたときに目を見開いていたな。
さぁ、改めて斬り合おうか。水刀での水鳥流剣術、目にもの見せてくれる。
★☆★☆
奴の片腕を切り落とした時は特に感慨も無かった。片手の剣士など、どうということはない。
あとは粛々と事を進めるだけ。
………
……
…
こいつは単なる剣士じゃなかった。
片腕で今までの剣が使えなくなると、違う太刀筋で振るい始めた。
苦労はしたが本調子ではない相手だったので、武器を絡め捕って距離を取り・失血死を狙って待ちに入ろうとすると、今度は水術で遠距離攻撃を仕掛けてくる。
そもそも連発出来るものではない筈の術を、このくそエルフは並の術師の数倍の術をぶつけてきやがる。
それでも威力の低い術だったので、多少被弾しながらも何とか捌き切れてはいたのだが、そこへ水の槍をぶち込んできやがった。
咄嗟に避けられはしたが、二度目は無いだろう。
身体は棘の多い藪を通り抜けたような痛みがあり、額から嫌な汗が滲み出てくるのが分かる。
息を整え動悸を落ち着かせようとしていると、底意地の悪いくそエルフが二本目の槍を生み出そうと右手に水を集めている。
くそっ、悠長に構えてられるか。一気に止めを刺してくれる!
俺はしっかりと身体強化をかけ直し、上段に構えて飛び掛かった。
★☆★☆
身体強化をして飛び掛かって来るのはコイツの癖なのかもしれない。
強打を狙う時の無意識の癖。本来であれば真っ先に矯正されるべきもの。
我流の剣術には見えないので、良い師に恵まれなかったのか、それとも途中で自己流に流れたのか、いずれにせよ一流の成り損ないだ。
底が見えてしまえばどうということはない。万全であれば、であるが。
つくづく不覚を取った自分が不甲斐ない。左側の妙な動き難ささえなかったら……いや、言い訳は止めよう。
今この瞬間、違和感なく切り結べているのだから。
切り結ぶとは言ったが、隻腕で力負けしているので剣を受けることはしない。
おまけに奴は上段からの振り下ろしに自信があるようで、そこから連続切りに派生させて襲ってくるのだ。
仕切り直してからまだ数合。
王都の舞台でやっている冒険活劇のように、何十合も打ち合うことはない。
仕掛けてくるのは専ら奴の方で、こちらといえば回避に徹し、躱しきれないもののみ水刀で受け流している。
奴からしてみれば、隻腕の水刀で受け流せている事に苛立っているだろう。
その斬撃は生半可な威力ではないのだから。
ここでも俺はズルをしている。
力と技だけでなく水術も合わせられるのならば何を恐れるというのだ。
ふふ、当てるつもりの剣を空振り・流されるのは消耗が大きいぞ。
しかし分が悪いのは俺の方である。どういう結果にしろ、決着をつけて早急に治療しないと死ぬのは俺だ。
ヴィクターの様子が変わった。
それでも奴は上段に構えるのは、幾度も敵に打ち破ってきた構えだからであろう。
技の引き出しは数あれど、奴が一番頼りにしているのがこの構えということが窺い知れる。
その愚直さは嫌いじゃない。
「それだけの腕を持って、貴族社会でも人気があって、騎士団でも頼りにされている。それなのに何故こんなことをしている!」
「───逆だな。剣の腕はあったし食い詰めても磨いて来た。裏の仕事を始めてからここまで上り詰めたのさ」
「その生き方はどこかで破綻するぞ」
だが続けて“足を洗え”とは言えなかった。ヴィクターはどっぷり首まで浸かっている暗い眼をしていた。
「しっかしお前もバケモノだな。阻害魔法を掛けられても物ともしないとはなぁ。それでも効果があってよかったぜ。でなけりゃ片腕すら落とせなかったわ」
「……あの違和感はお前のせいか」
「やったのは俺じゃない。身体を麻痺させる魔法の筈だが、どうやって動かしていた?」
お互いに少しずつ間合いをはかっている。
「ふん。身体強化で強引に動かしただけだ」
「ふはっ、そんな事をしでかすお前は正真正銘バケモノだよ」
バケモノ呼ばわりへの抗議はしない。かわりに出たのは喰いしばった歯の隙間から出る呼吸音だ。
奴の身体に魔力が満ちていくのが分かる。
まだかまだかと身構えていると、引き絞った弓を放つかのように飛び掛かって来た。
身体強化、勢いと、体重を十分に乗せた、奴の必殺の跳躍からの打ち下ろし。
身に着いた動きというものは無意識に出るものである。いや、意識せず動くまで鍛錬を積むのだ。
上段からの振り下ろしに対しては、剣で受けつつその勢いは外へ流す。
俺が身に付けたそれは隻腕でするものではなく、しっかりと両手で握りしめた剣で行うものだ。
身体に染みついた動きは、肘から先が無い左腕をも動かした。
水術で生み出した水刀を、右手に握って維持している所へ左腕を添えた時、それは起こった。
水刀の柄頭から水が伸び、左腕の傷口に触れる。一筋の血が水に滲むと、水の左腕へと形を成す。
血の筋は滲みながらも水刀の刀身を進んでゆく。
“ガッ”
根元近くで受けた剣はその勢いのまま流れていくが、ヴィクターは水刀を折らんとばかりに流れる刃を突き立てようと力を込める。
水刀の上を流れる剣。
水刀の中を進む血の筋。
剣が血の筋を追い越した時、剣は水刀を断ち切った。
ヴィクターは相手の劣勢に、歯を食いしばりながらも口角を上げる。斬撃は当たらなかったが、ここから切り返して横に薙げば決着がつく。
──筈だった。
二人の周囲は水気で満たされ、ヴィクターの服はぐっしょりと濡れている。
水刀は上段のまま。ここは水の領域だ。服にしみ込んだ水を固定してやると、奴の動きが一瞬止まる。
たかが一瞬。
されど一瞬。
短くなった水刀は力任せに振り下ろされ、ついにはヴィクターの太ももを斜めに切り裂く。それは致命傷ではないが相当な傷で、歩行を困難にするには十分な長さと深さがあった。
素早くとはいかなかったが間合いを取る。
「形勢逆転、かな」
「五分だろ。いや、まだ俺の方が有利だ」
隻腕の剣士と片足をまともに動かせない剣士。どちらが有利だろう。
「ぐっ」
足の激痛に思わずヴィクターは地面に剣を突き立てるのを見て、俺は水刀片手に距離を取った。
そしてそのまま回り込むように歩を進め、蹴り飛ばされた魔刀を回収し鞘に納める。
「おい!まだこれからだろう!」
我鳴るヴィクターがうるさい。
「共倒れが目に見えているのに相手なんかしてられるか!」
水鳥流剣術が使える現状倒すことは可能だが、相手の抵抗も考えると余計な動きは失血死だ。
今だって動くのがやっとなのだ。
腰のポーチに右手を滑らすと、じゅうたんが現れてするりと広がる。
「くそ野郎!逃げるな!」
黙って投げればよいのに、罵声と共に杖代わりに剣を投げつけてくるので、左腕の水刀で叩き落とす。
しかし限界がきていたようで、水刀は霧散してしまった。
「あぁ……左腕」
歩くのも億劫になりじゅうたんに乗って左腕を拾いに行く。
俺の左腕。土で汚れていたので水術で濯ぎ、じゅうたんの収納魔法陣へ入れたが、そういえば眼帯も切り飛ばされていたことに気付き、見つけるとこれも回収する。
「こりゃ使えんな」
眼帯は下半分が切れており、今頃になって左頬あたりが痛み出す。左目は見えているのだがこの痛みは何だろう。
まずい、倦怠感が……眼帯も魔法陣に放り込むと、じゅうたんを上昇させる。
帰る方向を間違えないようにしないと……かろうじて狩りの時の天幕が視認できたのでじゅうたんを発進させる。
下でヴィクターが何やら声を張り上げているので、水球を上から落としてやると静かになった。
俺は薄れる意識の中、うつぶせになりながらも顔を上げ、じゅうたんの操縦に意識を集中させた。
★☆★☆
“第三騎士団、まもなく到着いたします!”
“魔導部隊はどうなっている!”
“殿の二人はまだ戻らぬか!?”
天幕群は蜂の巣をつついたような騒ぎであった。
見物に来ていた貴族たちは既に帰路についていたが、ここまでの最短の街道は討伐隊優先になった為、彼らは迂回路を通っての移動となった。
しかしその中にラスタハール使節団の姿は無く、彼らは皇帝イグライツと席を共にしていた。
「二頭目の魔熊か……」
オルセン伯爵の口からは何度目かの同じセリフが漏れ出てしまう。
ヴィクターとヴィリュークが戻ってくれば、新たな情報を得ることが出来るのだが、彼らがいない以上新たな情報を得るには斥候を出すよりほかはなく、既に数少ない対魔獣の斥候が森に入っている。
ヴィリュークの帰還を待つエステルとナスリーンの二人は、いまだかつてない不安に苛まれていた。
「どうしよう、エステル。大丈夫よね」
「ええ、ヴィリュークの事だから大丈夫、大丈夫……」
不安を払拭しようと、身を寄せあう二人。
その様子を見ながらも、皇帝イグライツと騎士団長は彼らが魔熊に後れを取るとは考えていなかった。
各騎士団でのランク付けは、宮廷内での定番の話であったし、ヴィクターは低い身分ながらも常に上位に数えられていた。
相応の身分であったなら、騎士団内では三指に数えられていただろう。
先日の夜会でも、そのヴィクターが評価し、鎬を削ったエルフ。
ヴィクターとは直接話したことは無かったが、ルーカス・イグライツは彼の実力を感じ取っていた。
「奥からなにか飛んでくるぞ!」
兵たちが続々と揃う中、誰かが警戒の声を上げるが、それも次の言葉で解かれる。
「じゅうたんだ、じゅうたんが空を飛んでいる!」
その言葉を合図に、天幕から新たなじゅうたんが飛び出した。
じゅうたんの上には二人の女性。
兵士たちのざわめきを余所に、迎え出る新たなじゅうたん。
上空で二枚のじゅうたんが並んだ時、二つの悲鳴が響き渡った。
「きゃあぁぁぁ!!!?!」
「ヴィリューク!」
じゅうたんたちは連なって天幕前に着地。そこで初めて彼女たちの悲鳴の原因が明らかになった。
一人戻ったエルフの剣士は、傷だらけになって帰還した。
傷を負っただけでなく、左腕も失って。
お読みいただきありがとうございました。
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