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エルフ、砂に生きる  作者: 初荷(ウイニィ)
隣国にて~災難〜
136/196

出港、嵐、波濤

プロットが六割も完成していないのに見切り投稿です(*ノωノ)

完成してからとなると、いつ更新になるか不透明だったんです






ひと息ついたのち、稽古を再開する。


日課の朝の稽古の続きだ。


肩幅に立ち、刀は左の腰に佩いている。


左手を腰に持って行くが鞘は握らず拳をあてがい、右の手のひらを左の拳にのせる。


そこから踏み出すように居合一閃。


右手に握り締めたのは腰の刀ではなく作り出した【水刃】。


刀に纏わせたものではなく、水で作り出した刀だ。


先程までは真剣でいつもの型をなぞっていたが、次は水の刀で同じことを繰り返す。


水鳥流の道場で繰り返していた型だ。


三十分以上かけて終わらせると、移動して稽古の締めに掛かる。


「すううぅぅぅ……ふうーっ」


大きく息を吸って吐く。


目の前には女性の胴ほどもある丸太が地面に突き刺さっている。


本当は鋼の棒や板が良かったのだが入手できずに諦めた。なんというか……勿体ない使い方をするとか言われ、売ってもらえなくなったのだ。


再度胸いっぱいに息を吸い込むと、歯を食いしばって水刃で丸太を左右交互に叩き付ける。


本当は裂帛の気合と共に剣を振るのだが、うるさいと怒られてからこのやり方になった。あそこは剣術道場だから許されていたのだなぁ。ちなみにバドとの散歩の時、砂漠で声を出して素振りをしたら、怯えられてしばらく近寄ってくれなかった。


水の刀で叩き続けていくうちに、噛み締めた歯の隙間から息が漏れていく。


ついには漏れ出る息も尽き、息を止めたまま振るい続けるが───


“バンッ”


維持が出来なくなった水刃は、丸太を叩きしなに飛び散った。


“ぜはーぜはーぜはー……“


飛ばす水刃、纏わせる水刃、ならばこれはもう水刃ではないだろう。


水刀だ。


刀と呼ぶからには相手の武器と切り結べなくてはならない。


剣、槍、斧だけでなく、相手となる武器は様々だ。


水を刀にする以上、相手の攻撃を受け止められなくてはならない。


受け損なったとき待ち構えるのは自身の死である。


水の刀を振るう状況に出くわしたくはないが、使えるからには鍛錬は怠れない。鍛錬の結果は確実に表れているのだから。


それでは今朝の稽古はこれにて終了。






いつもの日課をこなしていたが、実は今日これから航海にでる。


思いついての一人旅ではない。


隣国、イグライツ帝国への外交使節団の一員としてである。


外交官として国の貴族が向かうのだったら参加はしていなかったのだが、緑化研究所員としてナスリーンが同行するとなると話は違う。王族の肩書にて参加はしないと謂えども、血族であることに変わりはない。


俺も水術師の予備要員というよりも、その役目は彼女の護衛としての同行だ。彼女が希望を出してそれが通った所を見ると、向こう()には俺の情報が行き渡っているに違いない。


また使節団は二・三十名ほどらしいが、詳しい内容は把握してはいない。だが友好使節としての色が強いとは聞いているので危ない事はないはずだ。


船では最後の積み込み作業の真っ最中でそれも直に終わるだろう。


「二人とも気を付けてね。面白そうな本が売っていたら買ってきてね」


ちゃっかり自分の要望を伝えるエステルが、サミィとバドを連れて見送りに来てくれている。


とはいっても、サミィはエステルの肩の上でだらりと伸びているし、バドは俺達を起点に港を飛び回っている。


飛んで付いてこられても困るので、サミィからよく言って?聞かせたが大丈夫だろうか。




なんて思っていたのも要らぬ心配だった。


船が離岸し岸壁のエステルたちに手を振っている間、バドは名残惜しそうに船の周囲を旋回していたが、彼女たちが豆粒になるほど遠くになると、ひと声鳴いて港に戻っていった。


バドは本当に元気になった。羽艶もいいし毛並みもいい。身体はまだまだ小さいが、走るのも飛ぶのも達者になった。


「帰ってくる頃には大きくなっているのかしらね」


「どうだろう。なっているといいな」


船縁で隣り合っているナスリーンへはそう言ったが、俺は厳しいと思っている。


産まれてから俺の手に来るまでに、バドの成長期は過ぎてしまっている可能性が高い。


栄養状態は良くなったが正常なグリフォンの大きさ、つまり馬ほどの大きさになるのは難しいだろう。


将来は大きめの猫くらいで成長が止まると見ているが、それはそれで俺は一向に構わない。


今の大きさなら愛でやすいし、今の大きさだと狩れる相手も精々鶏サイズだ。そして今の大きさなら腹ペコでも鶏一羽を食べきれない。


それに今の大きさなら、じゅうたんで連れまわせるからな。


波しぶきが大きくなったのを合図に、俺達は連れ立って船室へ降りていった。






船に乗ったことがない者からすると、帆船の速度は今一つピンとこないものがある。


しかも周りが一面海では、進んでいく時の景色の流れからでは速度が分かりにくい。


それでも船乗りたちには分かるようで、聞くところによると一般的な馬車かそれ以上の速度らしい。


けれども船種や風次第で速度は変わるとか。


その程度?と思うかもしれないが、帆船のサイズを思い出してほしい。あの大きさと重量で、馬車かそれ以上。十分な速度ではなかろうか。


え?じゅうたん?ああ、エルフのじゅうたんと比較してはいけない。じゅうたんの速度は反則的だ。個々の性能にもよるが、ワイバーンと格闘戦(ドッグファイト)出来る代物である。


それでも俺は海上でじゅうたんを使いたくない。


何故って塩の臭いが浸みるのだ。浸みてしまうと丸洗いしないと落ちてくれない。


人力で洗うには石畳の上にじゅうたんを敷き、水を何度もぶちまけて、手のひらよりも大きいブラシで洗っていく。


水をかけてはブラシで擦る。それも何度も、何度もだ。


水術を使えば多少の手間は省けるが、飽くまで多少である。


水術師をもってしてでも、じゅうたんの洗濯は重労働なのだ。


話しが反れた。


つまり海上でじゅうたんを広げるのは、非常事態に陥った時である。


という事で非常事態が発生した。


しかしじゅうたんを広げているのは海上ではなく、ナスリーンの船室内で宙に浮かせて彼女はその上で横たわり息も絶え絶えなのだ。




事は出港してから十日目の事。


ラスタハール王国からイグライツ帝国までは、海路で十日から十四日目安だ。


天気と風によるので行きの目安これくらいだが、帰りは海流を逆行するのでもう少し日にちがかかる。


その十日目で嵐に会った。


前日からその予兆は確認しており、本来であれば手近な湾内で嵐が過ぎ去るのを待つのだが、航行位置と嵐の到来が早かったせいで間に合わなかったのである。




嵐。


風にあおられ、うねる波で船は翻弄された。


海に慣れていない使節団の面々は、船の中心部の船室で船酔いの為半死半生だ。


ナスリーンもその中に含まれダウンしており、何度もえづいてもはや胃の中には吐くものも残っていない。


「なんであなたはへいきなのぉ~」


紡ぐ言葉に力がない。


「多分じゅうたんの立体機動で鍛えられたからだろう」


「なにそれぇ……ずるいぃぃ」


それを駆使したいつぞやの湖畔でのレースは楽しかったな。


「あ」


ふと気づいてじゅうたんを取り出す。


「ナスリーン、じゅうたんに移って。きっとマシになるから」


一縷の望みに縋る様に、ナスリーンはノロノロと寝台から身を起こしてじゅうたんに横たわった。


それを確認するとじゅうたんを起動───するが、船の揺れに合わせてじゅうたんも揺れる。


「ううぅぅぅぅ」


言葉になっていないが、抗議表明であることは間違いない。


「それをこうする」


するとじゅうたんは船の揺れに対しての同期を止め、ピタリと水平を保って停止した。身体的揺れは改善されたが、周囲が揺れる様を見てしまうと、その視界で酔ってしまうかもしれない。


「うぅ、ゆれはなくなったけどゆれているぅぅぅ」


「船体は揺れているから見ては駄目だ。目をつむって寝ていれば、酔いも収まるさ。取り敢えず口をすすいで。水を置いておくが、飲むのは腹の不快感が収まってからな」


寝台に忘れてあった枕を、横臥している彼女の頭の下に差し込んでやる。


”少し眠るといい”と言い残し、俺は彼女の船室を後にした。




“ゴンゴンゴン”


「バラク船長、いるかい」


揺れる船内の壁に手を突きながら、辿り着いた扉をノックするとすぐさま返事がある。


「おう、入ってくれ」


そのままに部屋に入ると、壁の棚には見慣れない道具が並び、中央に打ち付けられた机には海図が広げられている。


「おう、エルフの兄さんかい。うちの連中はノックする礼儀正しい奴ぁいなくてよ、あんたの爪の垢を煎じて飲ませてぇや。───んで、どうした?」


「いや、みんな軒並みダウンしていて、手持無沙汰なんだ」


などと話している間も船は上下左右に揺れている。


棚の物も含めて部屋の中の道具はしっかりと固定されているので問題ない。バラク船長は固定されている椅子の上で悠然とし、俺は壁に手をつき揺れを膝で吸収して身体を安定させている。


「エルフってなぁ森の民じゃないのか?それに陸の奴らで、このレベルの嵐が平気な奴はあんたが初めてだ」


「まぁ、しごき……ん゛ん゛。鍛えているからな」


「なぁんか聞いちゃいけねぇ臭いがプンプンすらぁな。くわばらくわばら」


彼はそう言いながら右手で目の前を払い、拳を握ると机をゴンゴンと叩いた。船乗り特有の魔除けのまじないのようだ。


「今どの辺まで来ているんだい?」


揺れる船室を横切り、船長の対面の椅子に腰かけると、机の上の海図を覗き込んだ。


「昨日の日の入り頃の星の具合ではこの辺だ。それから半日以上経って、今の船足から察するに、目的地まで二日か三日。嵐を抜けて帆を張れれば、もっと早く港に着ける計算だ」


「船足って……速度か。目印も無いのに分かるものなんだな」


バラク船長が海図に指し示す位置を見ながら素朴な疑問を投げかける。


「ああ。ロープを付けたブイを船首から船尾まで流して、その流れる時間で船足を計算する。代々受け継がれた船乗りの知恵って奴さ」


「その船乗りの知恵って奴で、嵐を避けられなかったのか?」


「その件についてはすまねぇ。いやさ、雲が接近して星が見えなくなるのは海も陸も一緒だろ?昨晩の当直が居眠りしやがってこのざまさ。罰として、あいつの上陸は一番最後になったがな!」


船乗りの全員で船を動かしている以上、海の上で罰を与えて運航に支障がでてはいけない。となると効果的なのは、入港後のお楽しみを一番最後に回すことらしい。


繁華街へ酒と飯と女を楽しみに行く仲間を、指をくわえて見ながら耐えるのだ。


「そいつは可愛そうに」






航行中は常に交代で見張りが立つ。


昼夜問わず、それが嵐であっても、だ。


この航路は何度も行き来がなされ、岩礁や暗礁がないことは確認されている。それでも見張りが立つのは、海は何が起こるか分からないからだ。と、聞かされた。


船首と左右の舷側に命綱をつけた見張りがいるのだが、波が迫るたびに身を小さくし舷側を掴んで降り注ぐ水をやり過ごす。


「───!」


「……!───!」


甲板で何かあったのだろうか。船尾楼にある船長室の中までやり合っているのが聞こえてくる。


バラク船長と二人して耳をそばだてていると、強風の中一人の男の声が聞こえた。


“今、引き揚げる!”


同時に揺れに耐えながら立ち上がった。


「落水か」

「波にさらわれたか」


傾ぐ船体に、覚束ない足取り。


いくつかの扉をくぐり抜け甲板に飛び出すと、潮水交じりの雨風が顔を叩きつけてくる。


「右舷!くるぞ!」


警告の声にその方向を見ると、舷側を波が乗り越えるところだった。右舷の見張りは舷側の影に隠れてやり過ごしていたが、左舷の見張りは命綱を引いている最中。


引いていた相方の綱を握り締め、身を縮こませてやり過ごそうとしている彼に向けて、咄嗟に水術の領域を被せてやると、海水は領域に沿って海へ流れ落ちていった。


「兄さん助かるぜ!」


バラク船長は俺の水術の行使を瞬時に理解すると、素早く駆け寄り落水者の命綱に手をかける。


それに遅れて俺も綱に取り付くと三人がかりで引っ張り始めるが、水で綱が湿り、揺れで足元が覚束なく、雨風でうまく力が入れられない。




ならば一つずつ、だ。


“剛力招来”


体幹がぶれぬ様に力を込め重心を落とす。


“ぶしゅぅ~”


握り締めた綱に術を通し、水分を飛ばして乾かす。引き上げるまで握りやすくなっていればいいのだ。


“領域展開”


綱を中心に俺達三人の周囲を水避けの領域で包み込む。


「これなら楽勝だぜ!」

「あんがとよ、兄さん!」


「波が来るぞぉぉぉ!」


背後の舷側から声が浴びせられる。


波が舷側を乗り越えるのを見やり、素早く領域を雨樋(あまどい)のようなU字に変形。だがそのせいで横殴りの雨に叩かれる。


救助者に海水が当たらないように領域をくねらせると同時に、雨樋状の領域へ波が突っ込んで来た。


「「お、おぉ?!」」


綱に引き上げている二人の上を波は通過し、波は救助者の真横を流れ落ちる。


「急げ!」


命綱の最後尾の俺が引き始めると、我に返った前の二人も力を合わせ、ものの数秒で落水者は引き揚げられたのだった。




「無事か!」


「……助かった、恩に着る!」


甲板に引き上げられた男は、少し息を詰まらせたがすぐに返事を寄越してきた。この様子なら問題ないだろう。


それよりも危険なのは、命綱もつけずに飛び出してきた俺とバラク船長だ。


「次の波が来る前に戻るぞ」


「おう」






それくらい用心していたのだ。


しかし用心していても回避できない時がある。


早足で船室への扉へ向かったところへ、大波への警告の声が響く。


身構え、水避けの領域を自分の周囲まで広げた時に、それは襲ってきた。


波はあっという間に前を歩いていたバラク船長を飲み込み、船長は波に身体をカチあげられ、仰向けになって流されていく。


俺はその様を領域の内側から目の当たりにしていた。


目が合い、真横を流されていく船長。


咄嗟に伸びた手は、船長の足首を握り締めるのに間に合ったが、この体勢では領域も役立たずであった。


波は船長と俺諸共反対側まで押し流すと───そのまま舷側を乗り越えていった。






全身への衝撃は海に落ちたからか。


放してなるものかと握りしめた足首だったが、その持ち主が足搔いたせいで頭を蹴られて放してしまう。


こうなるとどこにいるか分からない。


領域を広げ、水を踏み付けると、海中から一気に海上へ飛び出し降り立ち素早く辺りを見渡す。


船は?まだ遠くない!


船長は……見つけた!


どちらの身体強化にするか迷ったが、遠ざかる船を見て腹が決まる。


“疾駆招来”


「船長!」


激しい風と波の音の中、バラク船長はこちらに気付いてくれた───海面を走る俺に目を見開きながら。


「手を!」


差し伸べられる手を握り、海から引っこ抜く。


勢いあまって宙に浮いている間に背中に担ぐと、領域の強度が足りず、船長の重さで足首まで海にめり込んだ。だが領域を強化しながら足を引っこ抜くと、視界の隅にある船目掛けて駆け出した。


「兄さん、すまねぇ」


「なんの、これしき」


足元の悪いうねる海面 迫る大波を回避しながら船を目指す。船長を背負いながら海面を走るので返事も途切れがちになる。


接近するにつれ俺達を呼ぶ声が聞こえてくる


『せーんちょーう!』

『う゛ぃりゅーくさーん!』


「おーい、ここだー!」


背中の上でバラク船長が声を張り上げる。


波風の中でもよく通る声だったのか、すぐさま船上の人影が慌ただしく動き回る。


それでも海はお構いなしにうねりを上げ、波を打ち付け、俺達も船も翻弄し続ける。


なんとか船の下まで辿り着くと、頭上からロープが投げおろされる。そのロープには等間隔で結び目が連なっていた。


その結び目一つで助かった昔話を思い出しながら、ロープの下まで移動すると背中の船長を先に促す。


バラク船長もロープを掴むと四の五の言わず、ロープで上げられるだけでなく、自身の膂力でぐいぐいと登って行く。


さすが海の男。あっという間に舷側を乗り越え姿が見えなくなった。




★☆★☆




「船長ご無事で!」


「馬鹿野郎!こんなもん恥だ、恥!早くエルフの兄さん助けるぞ!」


見張りの部下が声をかけながら俺の腰に命綱を巻いていく。


しかしみっともない姿をさらしちまった。おまけに海の男が陸のモンに助けられるとか!


舷側から下を覗き込むと、エルフの兄さんが船足に負けじと海面を駆けている。


とんでもねぇ水術だ。


「兄さん掴まれ!」


俺が今使っていたロープを見張りが再投下する。船体から遠目に投げ入れるが、風にあおられて戻されてしまった。


さっきの俺の時とは違い、この位置は危険だ。


「まっ───」


『波が来るぞー!』


俺の制止の声より先に、警告の声が上がる。


「離れろ!」


エルフの兄さんに声をかけると、彼は船体の真下でロープを手に取った所だった。


二の句を継ぐ前に船体にぶつかった波が舷側を超え、当然波にぶつかられた船体は反対側へ押しやられ───


船体はエルフの兄さんを弾き飛ばした。


「兄さん!」

「ヴィリュークさん!」


彼は宙を舞って海に落ち、海中に沈み込むと見えなくなってしまう。


「くっ!!ボートを降ろせ!救命資材はありったけ投げ入れろ!待機中の連中を呼び出して捜索に当たらせるんだ!それから───」


「オヤジ!無理です!この波風でオヤジが戻ってこれたのだって奇跡なんすよ!」


見張りに立っていた甲板長が宥めてくるが、納得できるわけがない。


「るせぇ!!二人そろって遭難か死ぬはずだったのに、俺だけ生きてられるか!あの人を助けンだよ!」


甲板長を我鳴りつけ、舷側を握りしめて声を張り上げる。


「兄さん、ヴィリュークさん───ヴィリューーク!!!」


海面には命令で投げ入れられた救命資材の空樽や板切れが浮いていたが、肝心のそれらに取り付く要救助者は見当たらなかった。



お読みいただきありがとうございました。

ブクマ、感想お待ちしております。

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[一言] プロットが進んでないのはまさかバドに盛り上がった私のせいか!?
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