足音
私は歩く
足音がどれだけ高く響き渡らせるかが問題だ
足音は石畳の地面に唯一足跡を残す方法だ
私の足跡は世界に残らないものだから、
むしろ軽やかに歩いていく
心音を刻むように均等に
水切り石のように段々早く
足音を鳴らした
階段を二個飛ばしで飛び降りる
右足から着地し、左足を後から降ろす
止まれの合図が胸の中で鳴ったかのように
すると、足音が綺麗に響いた
そうやって、足音を気にしていると
誰かの音も気になっていく
靴の種類
歩き方
性格
感情
そういったものは足音に顕れてくる
人生が透けて見えるかのようだ
激しく駆けていくのは真面目な人だし
踏み固めるように足をたたき付けるのは
不真面目な人だったりする
前者は好きだけど後は嫌い
歩く
いつも通りの町中を歩く
私は
歩く