焼き芋の皮は剥く派? 食べる派?
小鳥の鳴き声がする、と君は言った。
「どんな?」
君の手を握り息を殺した。
「……すずめ?」
君は首を傾げた様だった。
綺麗と言うよりカワイイ鳴き声がする。
「耳が良いんだね」
「鼻もいいよ。美味しそうな匂いがする」
君は得意げにクスクス笑う。
降参だ。
「焼き芋屋さんがいてね」
熱いよ、と小さな手に握らせると、大きなお芋、と君は感心した様に言う。
「食べきれない」
大きい方を君に渡したのは失敗だったか。
「残ったら僕が食べるよ」
半分でいいよと、君は僕の手を引っ張って熱い芋を半分乗せてくれた。
表面を撫でる僕に、皮も食べるといいよと君は笑う。
「え、皮も食べるの?」
「え、食べないの?」
僕たちは不思議そうにかおを見合わせた…と思う。
「皮にも栄養があるんだよ」
メッ、と窘めた君は多分母親を真似てしかめっ面をしてるんだろう。
「歯に挟まらないかな」
「そういう時の為に糸ようじがあるんだよ」
クスクスと君は無邪気に笑い声を立てる。
いただきますをして、楽しそうに焼き芋を頬張っているらしい君。
釣られるようにして、僕も手探りで皮ごとかぶりついてみる。
「ん~、香ばしい?」
で、やっぱり歯に挟まる。
でも、分け合ってわいわいやるのは楽しい気分だ。