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AIのべりすと2.0「タイトルなし」

改札を抜けた瞬間、舞は思わず足を止めた。


天井の高いコンコースに白い蛍光灯の光が降り注いでいる。床は磨き上げられた石で、行き交う人々の足音が乾いたリズムを刻んでいた。時刻表の電光掲示板が、見慣れない地名を次々と映し出している。


「ここが……ゲキド街?」


隣で松風が、荷物を肩に担ぎ直しながら呟いた。彼女の声には、戸惑いとそれから少しの笑いが混じっている。


「あの、『ゲキド街ではよくあること』ってやつ?」


「やめてよ。炎の匂いが染み付いてむせる展開だけは勘弁してほしい」


舞は袖口で鼻を押さえる真似をして、それから小さく笑った。実際のところ、この街には火薬の匂いも砲弾の痕もない。ただ、平日の午前のどこか眠たいような空気が漂っているだけだ。


二人はつい先日一人前の魔女として認められたばかりだった。新しい暮らしを求めて、この街にたどり着いた。魔女の宅急便よろしく、ほうきに乗って空からというわけにはいかなかったけれど――電車で、この街にやってきた。


「まずは、どこか落ち着ける場所を探さないとね」


松風が言った。ふいに改札口の脇で、一人の女の人が駅員と何か言い争っているのが目に入った。長い銀色の髪を後ろで束ねた、背の高い美人だ。けれどその表情は今にも泣き出しそうに曇っている。


「どうかしたんですか?」


舞が声をかけると女の人は振り返った。切れ長の瞳が、少しだけ安心したように緩む。


「それが……切符を、どこかで落としてしまったらしくて」


「切符を?」


弱音ハク、と名乗ったその人は俯きがちに説明した。改札を通ろうとしたら、切符が見当たらない。ポケットを探しても、鞄の中をひっくり返してもどこにもない。駅員は規則だから、と言って改札を通してくれない。


「魔法で、見つけてあげましょうか」


舞が言うと、ハクは目を丸くした。


「そんなこと、できるんですか?」


「まあ、やってみます」


舞は手のひらを軽く握り、集中した。けれど――。


「あれ?」


眉をひそめて、彼女は首を傾げた。


「どうしたの?」


「うん……切符、いっぱい見つかるんだけど」


「いっぱい?」


「自動改札の中に、回収された切符が山ほどあるみたい。どれがハクさんの切符なのか、わかんない」


松風が腕を組んだ。


「そりゃそうだよね。切符って、どれも同じに見えるもの」


舞は唇を噛んで、考え込んだ。ウィッチクエストの魔法は、確かに何でもできる。けれどそれではゲームとしても物語としても面白くない。大切なのは、知恵を絞ること。工夫すること。


「ねえ、ハクさん」


舞は顔を上げた。


「その切符、どこにしまってたか覚えてますか?」


「ええ、ポケットに」


「じゃあ――」


舞は目を輝かせた。


「ポケットと、おしゃべりできるようになる魔法をかけてみる」


「ポケットと、おしゃべり?」


松風が声を上げた。


「なるほど、舞冴えてる! ポケットにどこで落としたか聞けばいいんだ」


「正解」


舞は小さくガッツポーズをした。


「魔法をかける対象は、私自身。魔女の持ち物なら魔法を信じる力も強いもの。切符そのものに働きかけるより、ずっと確実よ」


彼女は両手を胸の前で組み、静かに呪文を紡いだ。声には出さない。ただ、イメージを練り上げる。自分のポケットが、小さな口を持っているところを。それが、遠慮がちにけれど確かに、語りかけてくる情景を。


「……見えた」


舞は目を開けた。


「ポケットがね、白い布を出そうとしたときに切符を落としたって言ってる。その場所には、大きな鏡と水の出る金属の筒があったって」


「白い布って、ハンカチでしょ」


松風が即座に応じた。


「鏡と、水の出る筒……トイレだ。手を洗うときに、落としたんだ」


「うん、私もそう思う」


舞はハクに向き直った。


「ハクさん、途中でおトイレに行きませんでしたか? 乗り換えの駅とか」


ハクはしばらく考えてから、はっとしたように顔を上げた。


「そういえば……乗り換えの待ち時間に、一度」


「その駅です。きっと」


舞は駅員のところへ行き、事情を説明した。駅員は半信半疑だったが、それでも電話をかけてくれた。数分後、受話器を置いた駅員が驚いた顔でこちらを見た。


「本当に、あったそうです。トイレの洗面台の下に」


「やった!」


舞は小さく跳ねた。ハクは両手で口を覆い、それから深く頭を下げた。


「ありがとうございます。本当に、ありがとう」


その声は、少し震えていた。


「どういたしまして」


舞は笑って、手を振った。


改札を出て、二人は並んで歩き出した。街の空気は、まだどこか知らない匂いがした。けれど、悪くないと舞は思った。


「ねえ」


松風が言った。


「最初のクエスト、クリアだね」


「うん」


舞は空を見上げた。白い雲が、ゆっくりと流れていた。


「ゲキド街、案外いいところかもしれない」


「まだ駅しか見てないけどね」


「それでも、さ」


舞は笑った。新しい街での最初の一日が、静かに始まろうとしていた。

ーーーーここから筆者コメントーーーー

キャラクターとしての行動解釈はちゃんと出来ているんですが、TRPG特有のメタ解釈のところがそのまま混ざり込んじゃってる部分が気になります。特に、『ゲキド街ではよくあること』はGMが採用しないと言っている要素で、逆に歌の得意な種族としてボカロキャラが住んでいるという採用された部分はカットされている。このあたりの取捨選択がいまいちです。

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