体力測定
お読みいただきましてありがとうございます。
至らない点が多々あるかと思いますが、見守るお気持ちで読んでいただけますと幸いでございます。
僕とクルミが幼い頃に、出会っていた事が判明してから、一週間が経った。
二回目に助けて貰った時に光り輝く女性がクルミと確信し、助けてくれたお礼を言った時、実は僕とクルミが幼い頃に会っていた事を伝えられた。僕がまた、会いたいと思っていた女の子がクルミだと分かった。
それに、クルミが「マジカルピンク」になったということも‥
――――
「虹ヶ浜学園 高等部の校庭」
僕達、一年生は、全身紺色のジャージを着用し、年に一度の体力測定をする為、校庭に出ていた。
クラス毎に行うのではなく、1学年全員で一斉に行うらしい。
1学年全員で1,000人超え。その余りにも多い人数でも余裕で広さが余る校庭。
巨大な敷地だからこそできる。さすがマンモス学園。
しかし、コムラ先生が着ていたジャージと同じ色を着ることになるとは思わなかった。
何でも、学年毎にジャージの色が違い、三年生は、赤色。二年生は、緑色。で、僕達一年生は、紺色。
むしろコムセンが、自分のジャージの色を変えるべきだと思うのは、僕だけだろうか?
僕は朝礼台の上で僕達と一緒にウォーミングアップのラジオ体操をしているコムセンを見ながら思った。
「よし、始めるぞ。皆、位置につけ。」
ラジオ体操が終わり朝礼台の上から拡声器を使って指示を飛ばすのは、僕達と同じ色のジャージを着たコムセン。
何でも彼は、学年主任らしい。
僕達は、コムセンの指示に従い、ある程度の間隔を空け、ラインを跨ぐように並んでいる。
真ん中のラインを挟むように左右1メートルの位置にもそれぞれラインが引かれている。
これから行うのは、反復横跳び。
僕から、若干、距離を空けて座っているのは僕の計測係のクラスメイトの「チトセ ミドリ」。
男女に分かれて、それぞれ交替で計測係をやる。僕のパートナーはこの「チトセ ミドリ」だ。
「チトセ ミドリ」は、少し天然な性格のいわゆるドジっ娘だ。
僕は、クルミにいいところを見せようと思ったが残念な事にクルミは別の男子とパートナーとなった。
こればかりは仕方がない。先ほどからクルミを探してみたが、一向に見当たらない。朝教室であったからいるはずなのだが、校庭が広すぎて見つけることが出来ないでいた。
「頑張って~。」
横で座っている。「チトセ ミドリ」から声援が飛ぶ。
…おっと、集中しなくちゃ…。
クルミと一緒で無くとも、やることは変わらない。
声援を送ってくれた「チトセ ミドリ」に軽く頷き、返事をする。
その時に、背後から何か突き刺さる視線を感じた。
だが、振り向いて確認をする間も無く、朝礼台のコムセンから合図がある。
「あー、あー、準備はいいかぁ?おまえらぁ。」
僕は、反復横跳びに意識を集中させる為、若干の前傾姿勢。
「よし、始めっ。」
コムセンの合図で約500人の生徒が一斉に動き出した。
――――
「うおぉ――。」
僕は、合図と同時に「右っ、左っ、左っ、右っ、右っ、左っ‥‥」
と、持てる限りの力を出し、高速で移動する。だが、速ければ良いというものではない。左右のラインを踏むか超えるかで1ポイント。足がラインに届かなければならない。
跨いでもポイントは入るが、必要最小限の動きでポイントを得る為には、ラインを踏むこと。
身体は熱烈に、頭は冷静に、僕は確実にラインを踏む。
うぉぉ
ぉぉぉぉ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ぉぉぉぉぉぉ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「はい、終了ー。」
長かった20秒が終わった。
僕はやり遂げた。これといったミスもせず力を出し尽くした。
僕は、大きく肩で息をして身体中の血液に酸素を取り込む。
「はぁ、はぁ、はぁ」
確か、昨夜調べた男子高校一年生の平均が確か「56ポイント」だった。僕は、それをどの位、上回っているだろう。自信しかなかった。
ある程度、呼吸が落ち着いき、僕の計測係の「チトセ ミドリ」に尋ねる。
「どうだった?」
「凄いよ、56だよ。」
…平均だった。
―ガックシ‥‥‥
僕は、その場で肩を落とす。
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