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普通の学園生活  作者: かいくいきい
第一幕

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32/36

陰謀



コムセンとスミレ先生が暴走していた中、さすが救世主のミカン。一発で黙らせた。そしてその後の話。

僕が大魔王を悪と思っていたのは、魔女っ娘レンジャーの物語で大魔王が悪だった為だ。僕が大好きな魔女っ娘レンジャーは大魔王が作成者だという事。あえて自分自身を悪役に使うとは…。そしてそれを皆に秘密にしていたがこその大きな勘違いだった。…あー、恥ずかし。

ともあれ、自分の事を含め様々なことを知れたと思う。



「いや、これはあなたが持っていて下さい。役に立つ時が来ますので。」


再度、僕は大魔王に封印石を渡そうと正方形の箱をポケットから取り出したが、大魔王に突っ返されてしまった。

…まぁ、そこまで邪魔にならないから良いのだが、僕は、再び、正方形の箱をポケットに入れた。


「それに封印石の色、黒よりも黒いですよね。先ほども申しましたがその封印石には、すでに私の力が封印されているのですよ。本当は無色透明ですからね。もう少しだけ容量に空きがありますので、さらに私の力を封印することも出来ますが私の動きを一瞬だけ止めるくらいにしかなりませんから、私には特に警戒するものではありませんよ。」


僕は、大魔王の言った言葉を聞き考えた。

…封印石に力が封印されているのに大魔王から不調な感じが全くしない。それってもしかして…。


「そういえば、大魔王は負の感情とかいうのは大丈夫なのか?未だに大魔王に流れ入っているんじゃ無いのか?それが大魔王の力?」


僕は、大分前の話しを蒸し返した。

…確か妖精王が現れる前だったかなぁ…。


「よく、何話も前の事を思い出しましたね。負の感情は、今も私の中に入ってきますよ。人の欲が無くならない限り負の感情はあります。ですが人の欲はある意味、成長にもつながります。それを止めることは出来ません。あまりにも負の感情が私の中に入ってくると力が暴走しますが、妖精王がいるので心配はいりません。先程みたいにしてもらうだけですから…。」


そう言って、大魔王は僕達に安心するようにと促した。


…先程みたいにとは串刺しのことだろう。

あの串刺しには、それなりの意味があったようだ。見た目的にはアウトだが、大魔王なら死なないらしいし、まぁ大丈夫だろう。ただの妖精王の我儘かと思った…。我儘ではないよな…。


大魔王の寛容さを再確認した。

だが、わからない事もまだ残っている。


「じゃぁ、校長先生の目的は?大魔王を倒すとも言っていた。」


大魔王がこんな感じで人類に全くと言っていいほど害がない。それなのに校長先生は大魔王の力を弱めてくれと僕に依頼してきた。校長先生の目的が分からない。それにあの時の威圧感も…。なにか大魔王に対して特別な因縁があるのだろうか?実は僕と同じで魔女っ娘レンジャーの熱烈なファンだったりして…。


大魔王なら校長先生の真意を知っているだろうと思い大魔王に尋ねてみた。


「その事でしたら学園に戻ればわかりますよ。」


そう言った大魔王はニコニコしていた。


――――


「うーん。久しぶりの地上だー。」


僕は太陽の下で背伸びをする。今、僕は、学園の校庭に戻っていた。

背後には、校庭の隅にひっそりと佇む百葉箱がある。

この百葉箱に飛び込んだ時はまだ暗かった空が明るい。

試練という名の遊園地で遊び…いや、挑戦し大魔王と会った

その大魔王の話だが、僕だけが大魔王が悪だと盛大な勘違いをしていた。でもそれなら、なぜ校長先生は大魔王の力を封印するように僕へ言ったのだろう…。しかも時間を止めてまで…。


「遅かったのぉ。やっと戻ったか。」

「校長先生。今、戻りました」


校庭に戻った僕を出迎えたのは校長先生だった。

校長先生はあの時と同様に笑顔を絶やさない。


…労いの言葉も無し。普通、こういう時は「無事でよかった」とか「お疲れ様」とか労いの言葉が先ではないのだろうか?

それに、相変わらず背筋に悪寒が走る笑顔を振りまいていた。


「それで大魔王の力は封印できたのかのぉ?」


僕を見て校長先生は白々しく嬉しそうに声を上げた。

僕はポケットの中から正方形の箱を取り出し校長先生に見せる。


「封印石の中に大魔王の力が入っています。」


…嘘は言っていない。

最初から大魔王の力が入っていたとは言わないが…。


「そうか。そういえば、他の者たちはどうしたのじゃ?たしか、サイトウと言ったかのう…。儂の魔法を解いた生徒は。それに、コムラ先生たちも姿が見えぬ。」


…校長先生は、クルミに魔法を解除されたと思っているらしい。確かに猫の口から魔法が放たれて時間が動き出したとは思わないよな…。


「ええい。答えぬか。」

「皆はここにいますよ。」


そう言い僕は右足で地面をノックする。

正確には僕の影。その僕の影の色が濃くなり黒よりも黒い影となる。


「もっとパンケーキ食べたかったぜ。」

「オー、ベリー、マブシィ。」


そして黒よりも黒い影から這い出るように出てきたのは、コムセンとスミレ先生。

コムセンはモジャモジャの髪を無造作に搔きながら、スミレ先生は例のサングラスを架けながら。


「相変わらずここの校庭はひろいなぁ…。」

「この校庭で反復横跳びをしていたお父さんは、とっても素敵だったわぁ~。」

「やっと、戻ってこれた―。」


続いて黒よりも黒い影から出てきたのは、親父、お袋、姉ちゃん。

親父は虹ケ浜学園の校庭を見渡しながら、お袋は目を閉じ当時の思い出に耽りながら、姉ちゃんは嬉しそうにぴょんぴょんよ飛びながら。


「よいしょっと。」

「ふにゃ~~。」


次に黒よりも黒い影から出てきたのは、クルミとミカン。

クルミはトレードマークのポニーテールを揺らしながら、ミカンは伸びをしながら。


「虹ケ浜校長先生。お久しぶりです。」


そして最後に黒よりも黒い影から出てきたのは、大魔王だった。

大魔王は黒よりも黒い影から飛び出すとくるりと空中で一回転し校長先生の目の前に着地した。


「会いたかったぞ。大魔王。いや、理事長。」


大魔王の姿をみて校長先生は、好戦的な表情をした。




…理事長って、大魔王が?


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